民法改正に伴い、選択肢ウは使えなくなりましたので、解説は省略します。
無効または取消しに関する次のア~オの記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当でないものはいくつあるか。
ア.BがAに騙されてAから金銭を借り入れ、CがBの保証人となった場合、CはAの詐欺を理由としてAB間の金銭消費貸借契約を取り消すことができる。
イ.BがAに騙されてAから絵画を購入し、これをCに転売した場合、その後になってBがAの詐欺に気がついたとしても、当該絵画を第三者に譲渡してしまった以上は、もはやBはAとの売買契約を取り消すことはできない。
ウ.BがAから絵画を購入するに際して、Bに要素の錯誤が認められる場合、無効は誰からでも主張することができるから、Bから当該絵画を譲り受けたCも当然に、AB間の売買契約につき錯誤無効を主張することができる。
エ.BがAに強迫されて絵画を購入した場合、Bが追認をすることができる時から取消権を5年間行使しないときは、追認があったものと推定される。
オ.未成年者であるBが親権者の同意を得ずにAから金銭を借り入れたが、後に当該金銭消費貸借契約が取り消された場合、BはAに対し、受領した金銭につき現存利益のみを返還すれば足りる。
- 一つ
- 二つ
- 三つ
- 四つ
- 五つ
【答え】:4
【解説】
ア・・・妥当ではない
判例によると、
「被保佐人が銀行から金銭を借り受けた場合に、その債務を保証した者は、その当時、債務者が被保佐人であることを知っていたかどうかにかかわらず,被保佐人が締結した金銭消費貸借契約を取り消すことができない」としています(大判昭20.5.21)。
よって、保証人CはAの詐欺を理由としてAB間の金銭消費貸借契約を取り消すことができません。
よって、妥当ではありません。
関連ポイントは、個別指導で解説します!
イ・・・妥当ではない
取消権は、追認をすることができる時から5年間行使しないときは、時効によって消滅します(民法126条)。
ここで本肢をみると「BはAの詐欺に気づく前に転売している」ため、「取消権を有することを知る前」です。
そのため、追認の効果は生じません。
よって、BはAとの売買契約を取り消すことができます。
これは理解しないと解けない問題なので、個別指導で解説します!
ウ・・・妥当ではない
民法改正に伴い、問題が使えなくなりましたので、解説は省略します。
エ・・・妥当ではない
取消権は、追認をすることができる時から5年間行使しないときは、時効によって消滅します(民法126条)。
つまり、強迫により取消しについて、追認をすることができる時から取消権を5年間行使しないときは、Bの取消権は消滅してしまいます。
「追認があったものと推定される」わけではないので、妥当ではありません。
オ・・・妥当
取り消された行為は、初めから無効とみなします(民法121条)。
そして、その行為の時に「意思無能力者」や「制限行為能力者」であった者は、その行為によって現に利益を受けている限度において、返還の義務を負います(121条の2の3項)。
よって、本肢は妥当です。
本肢の理解と関連ポイントは個別指導で解説します!
平成23年度(2011年度)|行政書士試験の問題と解説
問1 | 基礎法学 | 問31 | 民法:債権 |
---|---|---|---|
問2 | 基礎法学 | 問32 | 民法:債権 |
問3 | 新しい人権 | 問33 | 民法・債権 |
問4 | 参政権 | 問34 | 民法:債権 |
問5 | 精神的自由 | 問35 | 民法:親族 |
問6 | 国会 | 問36 | 商法 |
問7 | 法の下の平等 | 問37 | 会社法 |
問8 | 行政法 | 問38 | 会社法 |
問9 | 行政法 | 問39 | 会社法 |
問10 | 行政法 | 問40 | 会社法 |
問11 | 行政手続法 | 問41 | 憲法 |
問12 | 行政手続法 | 問42 | 行政法 |
問13 | 行政手続法 | 問43 | 行政法 |
問14 | 行政不服審査法 | 問44 | 行政法・40字 |
問15 | 法改正により削除 | 問45 | 民法・40字 |
問16 | 行政事件訴訟法 | 問46 | 民法・40字 |
問17 | 行政事件訴訟法 | 問47 | 基礎知識・政治 |
問18 | 行政事件訴訟法 | 問48 | 基礎知識・政治 |
問19 | 国家賠償法 | 問49 | 基礎知識・経済 |
問20 | 国家賠償法 | 問50 | 基礎知識・経済 |
問21 | 地方自治法 | 問51 | 基礎知識・社会 |
問22 | 地方自治法 | 問52 | 基礎知識・社会 |
問23 | 地方自治法 | 問53 | 基礎知識・社会 |
問24 | 行政法 | 問54 | 基礎知識・個人情報保護 |
問25 | 行政法 | 問55 | 基礎知識・個人情報保護 |
問26 | 行政法 | 問56 | 基礎知識・個人情報保護 |
問27 | 民法:総則 | 問57 | 基礎知識・情報通信 |
問28 | 民法:総則 | 問58 | 著作権の関係上省略 |
問29 | 民法:物権 | 問59 | 著作権の関係上省略 |
問30 | 民法:物権 | 問60 | 著作権の関係上省略 |