行政書士のここまでの勉強、行政不服審査法、行政事件訴訟法と勉強してきました。これらは、争訟による救済制度です。もし、公権力の行使によって、金銭的に損害を受けた場合、行政不服審査法や行政事件訴訟法での救済だけでは不十分です。そのため、国家賠償や損失補償という制度があります。
そもそも、国家賠償法は、憲法17条を受けて制定されました。
憲法17条
何人も、公務員の不法行為により、損害を受けたときは、法律の定めるところにより、国又は公共団体に、その賠償を求めることができる。
一方、損失補償は、憲法29条3項で定めております。しかし、国家賠償法のように、一般法はなく、個別の法律で損失補償の規定がされています。ただし、たとえ、個別法に損失補償の規定がない場合も、上記憲法29条3項を根拠に(直接適用して)損失補償されることもあります。
憲法29条3項
私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用ひることができる。
国家賠償 | 違法行為による損害の賠償を求める制度 |
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損失補償 | 適法行為ではあるもの損失を受けた場合に補償を求める制度 |
そして、国家賠償には、「国家賠償法1条による損害賠償責任」と「国家賠償法2条による損害賠償責任」があります。
1条 | 公権力の行使について、故意または過失により他人に損害を与えた場合(過失責任) |
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2条 | 営造物の設置管理の瑕疵により他人に損害を与えた場合(無過失責任) |
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