最判昭53.6.16:余目町個室付浴場事件

論点

  1. 行政権の濫用に相当する違法な行政処分に公定力があるか?

事案

有限会社Xは、個室付浴場業(ソープランドや風俗店)を営むために、山形県余目町(あまるめまち)に土地を購入し、個室付浴場業用の建物の建築確認の申請をし、建築確認を得た上で、建物の建築を完成させた。

また、個室付浴場業の営業許可についても、Xは受けていた。

ところが、当該個室付浴場業の建築に反対した地元住民から反対運動が起こったため、余目町と山形県Yは、個室付浴場業の開業を阻止するための方策を考えた。

その方策は、風俗営業等取締法(風営法)に「児童福祉施設から200m以内では、個室付浴場業の営業を禁止する」といる法律を利用することであった。

当該個室付浴場から200m以内にある無認可の児童遊園があり、この児童遊園について、認可を与えた。

これにより、上記風営法により、Xは、当該個室付浴場業を開業できなくなった。

それにも関わらず、Xは個室付浴場業の営業を開始した。

そのため、Xは風営法違反で起訴された。

判決

行政権の濫用に相当する違法な行政処分に公定力があるか?

→ない(公定力はない

まず、本件児童遊園設置の認可処分は、行政権の著しい濫用によるものとして違法である。

(この点は「最判昭53.5.26:余目町個室付浴場事件」参照)

Xの個室付浴場業の営業に先立つ児童遊園設置の認可処分が行政権の濫用に相当する違法性を帯びているときには、児童遊園の存在を理由に、Xの個室付浴場業の営業を規制する根拠にすることは許されない。

そして、本件当時余目町において、Xの個室付浴場業の営業の規制以外に、「児童遊園を無認可施設から認可施設に整備する必要性、緊急性があったこと」をうかがわせる事情は認められない。

したがって、「Xの個室付浴場業の営業の規制」を主たる動機、目的とする余目町の「児童遊園設置の認可処分」は、行政権の濫用に相当する違法性があり、Xの個室付浴場業の営業に対しこれを規制しうる効力を有しない
(Xのソープランド営業を規制する効力はない)

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