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住民訴訟

住民訴訟は、住民監査請求をしたにも関わらず、①その監査結果に不服あるときや、②監査委員が勧告したが、議会や長等がその勧告に従わない場合に、裁判所に訴えを提起するものです。

この訴えは、「自己の法律上の利益に関わらないことで訴えを提起する」ことから客観訴訟(民衆訴訟)に当たります。

例えば、地方公共団体の長が、違法に公金を使っていて、裁判の結果、認容判決(勝訴)を得たとしても、住民訴訟をする住民自身の法律上の利益は何もありません。
そのため主観訴訟(抗告訴訟等)ではないことが分かります。

住民監査請求と住民訴訟の違い


住民訴訟の対象

住民訴訟は、「訴訟」なので、法律に違反したこと(違法なこと)しか対象になりません。

そのため、住民監査請求の対象となり、かつ違法であることが要件となるため、地方公共団体の執行機関における財務会計上の違法な行為または怠る事実があるときに住民訴訟を提起できます。

住民訴訟の出訴権者

住民訴訟を提起できるのは、住民監査請求をした住民に限られます。

したがって、その住民であることが要件ですし、また、事前に住民監査請求を行っている必要があります(住民監査請求前置主義)。

住民訴訟の出訴先

住民訴訟は、当該普通地方公共団体の事務所の所在地を管轄する地方裁判所の管轄に専属します。つまり、地方裁判所に訴訟提起します。

そして、ある事件で、住民訴訟が係属している場合、別訴をもって、同一の請求をすることはできません(別訴禁止)。分かりやすく言うと、ある事件で住民訴訟手続きが進んでいる場合、同じ事件について、同じ請求(訴訟)を重ねて行うことはできないということです。

住民訴訟の出訴期間

住民訴訟は、下記期間内に提起しなければなりません。

  1. 監査委員の監査の結果又は勧告に不服がある場合は、当該監査の結果又は当該勧告の内容の通知があった日から30日以内
  2. 監査委員の勧告を受けた議会、長その他の執行機関又は職員の措置に不服がある場合は、当該措置に係る監査委員の通知があった日から30日以内
  3. 監査委員が請求をした日から60日を経過しても監査又は勧告を行なわない場合は、当該60日を経過した日から30日以内
  4. 監査委員の勧告を受けた議会、長その他の執行機関又は職員が措置を講じない場合は、当該勧告に示された期間を経過した日から30日以内

住民訴訟の請求内容(類型)

住民訴訟の請求内容は、下記4つに限られます。それ以外の請求はできません。

  1. 当該執行機関又は職員に対する当該行為の全部又は一部の差止めの請求
  2. 行政処分たる当該行為の取消し又は無効確認の請求
  3. 当該執行機関又は職員に対する当該怠る事実の違法確認の請求
  4. 当該職員又は当該行為若しくは怠る事実に係る相手方に損害賠償又は不当利得返還の請求をすることを当該普通地方公共団体の執行機関又は職員に対して求める請求

住民訴訟に関する判例

  1. 贈収賄容疑で逮捕・起訴され、有罪判決が確定した場合において、懲戒免職処分をせずに、分限免職処分により退職手当の支給をしたとしても、違法な公金の支出に当たるということはできない。なぜなら、職員に懲戒事由が存する場合に、懲戒処分を行うかどうか、懲戒処分をするときにいかなる処分を選ぶかは、任命権者の裁量にゆだねられており、このことから考えて、収賄事実のみが判明していた段階において、懲戒免職処分に付さなかったことが違法であるとまで認めることは困難だから。(最判昭60.9.12)
  2. 教育委員会が公立学校の教頭で勧奨退職に応じた者を校長に任命して昇給させるとともに同日退職を承認する処分をした場合(1日だけ校長に昇給させ、翌日退職承認の処分をした場合)において、右処分が著しく合理性を欠きそのためこれに予算執行の適正確保の見地から看過し得ない瑕疵が存するものといえないときは、知事がした右の者の昇給後の号給を基礎とする退職手当の支出決定は、財務会計法規上の義務に違反する違法なものとはいえない。(最判平4.12.15)
  3. 県議会議長が、野球大会に参加する議員に出した旅行命令が違法の場合に、その命令を前提として知事の補助職員がした、議員への旅費の支出負担行為と支出命令は、財務会計法規上の義務に違反する違法なものではない。なぜなら、県議会議長が行った議員に対する旅行命令は違法なものではあるが、旅行命令の経緯等に関する事実関係の下において、県議会議長が行った旅行命令が、著しく合理性を欠き、そのために予算執行の適正確保の見地から看過し得ない瑕疵があるとまでいうことはできないから。(最判平15.1.17)

 

 

 

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