行政事件訴訟法の類型でも勉強した通り、主観訴訟の中の抗告訴訟の一つに「不作為の違法確認の訴え」があります。
主観訴訟とは、個人の権利利益の救済を目的とし、自分自身に直接関係する行政活動に対する訴訟を指し、抗告訴訟とは、行政庁の公権力の行使に関して違法でないかと不服がある場合の訴訟です。
不作為の違法確認の訴えとは?
不作為の違法確認の訴え(不作為の違法確認訴訟)とは、行政庁が法令に基づく申請に対し、相当の期間内に何らかの処分又は裁決をすべきであるにかかわらず、これをしないことについての違法の確認を求める訴訟を言います。
簡単に言えば、申請をしたにも関わらず、相当期間が経過しても、処分や裁決を下さない場合に、それは違法だ!と訴訟提起することです。
例えば、宅建業の免許の申請をしたにも関わらず、いつまで経っても、許可処分も不許可処分も下さない場合に、申請者は不作為の違法確認の訴えを提起できます。
ただ、不作為の違法確認の訴えで勝訴したとしても、不作為の行政庁に対して、何らかの応答(許可処分や不許可処分)をしなさいという命令としての意味しか持ちません。
申請者としては、許可処分をください!と主張したい場合もあります。そのような場合はあとで解説する義務付け訴訟を行います。
そうすれば、許可処分を義務付ける効力を持ちます。
相当期間とは?
ここでいう「相当期間」とは、その処分をするのに通常必要とする期間を言います。標準処理期間と必ずしも一致するわけではないので、標準処理期間が経過したからといって直ちに不作為の違法だと主張することはできません。
不作為の違法確認訴訟の原告適格
不作為の違法確認の訴えは、処分又は裁決について申請をした者に限って提起できます。
注意すべき点は、その申請が適法である必要はありません。現に申請をしていれば、不適法と却下されるような申請であっても、却下処分がされていない以上、不作為状態なので、不作為の違法確認訴訟を提起できます。
不作為の違法確認訴訟の出訴期間
行政庁の不作為が続いている限り、申請をした者はいつでもこの訴えを提起することができます。