2017年過去問

平成29年・2017|問55|一般知識・その他

日本の著作権に関する次のア~オの記述のうち、妥当なものの組合せはどれか。

ア.裁判所の出す判決は、裁判官らによって書かれているが、その公共性の高さから著作権が認められていない。
イ.著作権法の目的は、権利者の保護、著作物の普及推進、国民経済の発展の三つとされている。
ウ.著作物に該当するかどうかは、創作性、表現性、財産性の三つから判断することとされている。
エ.データベースは著作物ではないので著作権法の保護の対象とならない。
オ.原作を映画化したり脚色した作品も、原作とは別に著作権法上保護の対象となる。

  1. ア・ウ
  2. ア・オ
  3. イ・ウ
  4. イ・エ
  5. エ・オ

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【答え】:2

【解説】

ア.裁判所の出す判決は、裁判官らによって書かれているが、その公共性の高さから著作権が認められていない。
ア・・・妥当
次の各号のいずれかに該当する著作物は、著作権法上の保護の対象外(非保護著作物)である(著作権法13条)。
  1. 憲法その他の法令
  2. 国若しくは地方公共団体の機関、独立行政法人又は地方独立行政法人が発する告示、訓令、通達その他これらに類するもの
  3. 裁判所の判決、決定、命令及び審判並びに行政庁の裁決及び決定で裁判に準ずる手続により行われるもの
  4. 前3号に掲げるものの翻訳物及び編集物で、国若しくは地方公共団体の機関、独立行政法人又は地方独立行政法人が作成するもの

本肢の「裁判所の出す判決」は上記3号にあたるので、著作権が認められていません

イ.著作権法の目的は、権利者の保護、著作物の普及推進、国民経済の発展の三つとされている。
イ・・・妥当ではない
著作権法は、「①著作物並びに実演、レコード、放送及び有線放送に関し著作者の権利及びこれに隣接する権利を定め」、「②これらの文化的所産の公正な利用に留意しつつ」、「③著作者等の権利の保護を図り」、もって文化の発展に寄与することを目的としています(著作権法1条)。
「③権利者の保護」は目的とされています。
しかし、「著作物の普及推進」や「国民経済の発展」については目的とされていません。
したがって、本肢は妥当でないです。
ウ.著作物に該当するかどうかは、創作性、表現性、財産性の三つから判断することとされている。
ウ・・・妥当ではない
著作物とは、「①思想又は感情を創作的に表現したもの」であって、「②文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」をいいます(著作権法2条)。
つまり、上記①②の両方を満たす場合に、著作物に該当します。
「①創作性」と「②表現性」は判断基準になっても「財産制」は判断基準にはなりません。
したがって、妥当ではありません。
エ.データベースは著作物ではないので著作権法の保護の対象とならない。
エ・・・妥当ではない
データベースでその情報の選択又は体系的な構成によって創作性を有するものは、著作物として保護します(著作権法12条の2)。
したがって、本肢は妥当ではありません。
オ.原作を映画化したり脚色した作品も、原作とは別に著作権法上保護の対象となる。
オ・・・妥当
著作権法では、原作以外の、原作を映画化したり脚色した作品も「著作隣接権」として著作権法上の保護の対象となっています(著作権法89条以降4章)。

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平成29年度(2017年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:物権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 人権 問33 民法:債権
問4 経済的自由 問34 民法:債権
問5 内閣 問35 民法:親族
問6 財政 問36 商法
問7 憲法の概念 問37 会社法
問8 取消しと撤回 問38 会社法
問9 無効な行政行為 問39 会社法
問10 執行罰 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・社会
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識・政治
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 国家賠償法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・社会
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 地方自治法 問54 基礎知識・情報通信
問25 行政法の判例 問55 基礎知識・その他
問26 行政不服審査法 問56 基礎知識・情報通信
問27 民法:総則 問57 基礎知識・個人情報保護
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:総則 問60 著作権の関係上省略

平成29年・2017|問35|民法・相続

遺言に関する次のア~オの記述のうち、民法の規定に照らし、正しいものの組合せはどれか。

ア.15歳に達した者は、遺言をすることができるが、遺言の証人または立会人となることはできない。

イ.自筆証書によって遺言をするには、遺言者が、その全文、日付および氏名を自書してこれに押印しなければならず、遺言を変更する場合には、変更の場所を指示し、変更内容を付記して署名するか、または変更の場所に押印しなければ効力を生じない。

ウ.公正証書によって遺言をするには、遺言者が遺言の趣旨を公証人に口授しなければならないが、遺言者が障害等により口頭で述べることができない場合には、公証人の質問に対してうなずくこと、または首を左右に振ること等の動作で口授があったものとみなす。

エ.秘密証書によって遺言をするには、遺言者が、証書に署名、押印した上、その証書を証書に用いた印章により封印し、公証人一人および証人二人以上の面前で、当該封書が自己の遺言書である旨ならびにその筆者の氏名および住所を申述する必要があるが、証書は自書によらず、ワープロ等の機械により作成されたものであってもよい。

オ.成年被後見人は、事理弁識能力を欠いている場合には遺言をすることができないが、一時的に事理弁識能力を回復した場合には遺言をすることができ、その場合、法定代理人または3親等内の親族二人の立会いのもとで遺言書を作成しなければならない。

  1. ア・ウ
  2. ア・エ
  3. イ・ウ
  4. イ・オ
  5. エ・オ

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【答え】:2

【解説】

ア.15歳に達した者は、遺言をすることができるが、遺言の証人または立会人となることはできない。
ア・・・正しい
15歳に達した者は、遺言をすることができます民法961条)。
これは、単独で有効な遺言を書くことができることを意味します。
また、未成年者は、遺言の証人又は立会人となることができません(民法974条1号)。つまり、15歳に達した者であっても未成年者の場合は、遺言の証人または立会人となることはできません。

よって、本肢は正しいです。

イ.自筆証書によって遺言をするには、遺言者が、その全文、日付および氏名を自書してこれに押印しなければならず、遺言を変更する場合には、変更の場所を指示し、変更内容を付記して署名するか、または変更の場所に押印しなければ効力を生じない。
イ・・・誤り
自筆証書によって遺言をするには、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければなりません(民法968条1項本文)。
そして、自筆証書中の加除その他の変更は、遺言者が、その場所を指示し、これを変更した旨を付記して特にこれに署名し、かつ、その変更の場所に印を押さなければ、その効力を生じません(同条3項)。署名と押印は、どちらも行う必要があります。そのため、「署名または押印」となっているので誤りです。
ウ.公正証書によって遺言をするには、遺言者が遺言の趣旨を公証人に口授しなければならないが、遺言者が障害等により口頭で述べることができない場合には、公証人の質問に対してうなずくこと、または首を左右に振ること等の動作で口授があったものとみなす。
ウ・・・誤り
公正証書によって遺言をするには、遺言者が遺言の趣旨を公証人に口授して行う必要があります(民法969条2号)。
そして、口がきけない者が公正証書によって遺言をする場合には、遺言者は、公証人及び証人の前で、遺言の趣旨を通訳人の通訳により申述し、又は自書して、上記口授に代えなければなりません(民法969条の2の2項)。
つまり、「うなずくこと、または首を左右に振ること等の動作」だけで口授があったものとはみなされません。よって、誤りです。
エ.秘密証書によって遺言をするには、遺言者が、証書に署名、押印した上、その証書を証書に用いた印章により封印し、公証人一人および証人二人以上の面前で、当該封書が自己の遺言書である旨ならびにその筆者の氏名および住所を申述する必要があるが、証書は自書によらず、ワープロ等の機械により作成されたものであってもよい。
エ・・・正しい
秘密証書によって遺言をするには、次に掲げる方式すべてを満たす必要があります(民法970条)。
  1. 遺言者が、その証書に署名し、印を押すこと。
  2. 遺言者が、その証書を封じ、証書に用いた印章をもってこれに封印すること
  3. 遺言者が、公証人一人及び証人二人以上の前に封書を提出して、自己の遺言書である旨並びにその筆者の氏名及び住所を申述すること
  4. 公証人が、その証書を提出した日付及び遺言者の申述を封紙に記載した後、遺言者及び証人とともにこれに署名し、印を押すこと。

証書を自書で行うことは要件となっていないので、ワープロ等の機械により作成されたものであってもよいです。

よって、本肢は正しいです。

オ.成年被後見人は、事理弁識能力を欠いている場合には遺言をすることができないが、一時的に事理弁識能力を回復した場合には遺言をすることができ、その場合、法定代理人または3親等内の親族二人の立会いのもとで遺言書を作成しなければならない。
オ・・・誤り
成年被後見人が事理を弁識する能力を一時回復した時において遺言をするには、医師二人以上の立会いがなければなりません(民法973条1項)。
本肢は「法定代理人または3親等内の親族二人の立会いのもとで遺言書を作成しなければならない」となっているので誤りです。正しくは「医師二人以上立会い」が必要です

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平成29年度(2017年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:物権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 人権 問33 民法:債権
問4 経済的自由 問34 民法:債権
問5 内閣 問35 民法:親族
問6 財政 問36 商法
問7 憲法の概念 問37 会社法
問8 取消しと撤回 問38 会社法
問9 無効な行政行為 問39 会社法
問10 執行罰 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・社会
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識・政治
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 国家賠償法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・社会
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 地方自治法 問54 基礎知識・情報通信
問25 行政法の判例 問55 基礎知識・その他
問26 行政不服審査法 問56 基礎知識・情報通信
問27 民法:総則 問57 基礎知識・個人情報保護
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:総則 問60 著作権の関係上省略

平成29年・2017|問34|民法・不法行為

不法行為に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当なものはどれか。

  1. 景観の良否についての判断は個々人によって異なる主観的かつ多様性のあるものであることから、個々人が良好な景観の恵沢を享受する利益は、法律上保護される利益ではなく、当該利益を侵害しても、不法行為は成立しない。
  2. 人がその品性、徳行、名声、信用などについて社会から受けるべき客観的な社会的評価が低下させられた場合だけではなく、人が自己自身に対して与えている主観的な名誉感情が侵害された場合にも、名誉毀損による不法行為が成立し、損害賠償の方法として原状回復も認められる。
  3. 宗教上の理由から輸血拒否の意思表示を明確にしている患者に対して、輸血以外に救命手段がない場合には輸血することがある旨を医療機関が説明しないで手術を行い輸血をしてしまったときでも、患者が宗教上の信念に基づいて当該手術を受けるか否かを意思決定する権利はそもそも人格権の一内容として法的に保護に値するものではないので、不法行為は成立しない。
  4. 医師の過失により医療水準に適(かな)った医療行為が行われず患者が死亡した場合において、医療行為と患者の死亡との間の因果関係が証明されなくても、医療水準に適った医療行為が行われていたならば患者がその死亡の時点においてなお生存していた相当程度の可能性の存在が証明されるときは、不法行為が成立する。
  5. 交通事故の被害者が後遺症のために身体的機能の一部を喪失した場合には、その後遺症の程度が軽微であって被害者の現在または将来における収入の減少が認められないときでも、労働能力の一部喪失を理由とする財産上の損害が認められる。

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【答え】:4

【解説】

1.景観の良否についての判断は個々人によって異なる主観的かつ多様性のあるものであることから、個々人が良好な景観の恵沢を享受する利益は、法律上保護される利益ではなく、当該利益を侵害しても、不法行為は成立しない。
1・・・妥当ではない
判例によると「良好な景観に近接する地域内に居住する者が有するその景観の恵沢を享受する利益は、法律上保護に値するものと解するのが相当である」としています(最判平18.3.30)。
よって、本肢は「個々人が良好な景観の恵沢を享受する利益は、法律上保護される利益ではなく」が妥当ではありません。不法行為が成立する場合もあります。
2.人がその品性、徳行、名声、信用などについて社会から受けるべき客観的な社会的評価が低下させられた場合だけではなく、人が自己自身に対して与えている主観的な名誉感情が侵害された場合にも、名誉毀損による不法行為が成立し、損害賠償の方法として原状回復も認められる。
2・・・妥当ではない
他人の名誉を毀き損した者に対しては、裁判所は、被害者の請求により、損害賠償に代えて、又は損害賠償とともに、名誉を回復するのに適当な処分を命ずることができます(民法723条)。
そして、判例によると、
「民法723条にいう名誉とは、人がその品性、徳行、名声、信用等の人格的価値について社会から受ける客観的な評価、すなわち社会的名誉を指すものであつて、人が自己自身の人格的価値について有する主観的な評価、すなわち「名誉感情は含まない」ものと解すべきである」としています(最判昭45.12.18)。したがって、「名誉感情が侵害された場合にも、名誉毀損による不法行為が成立し」は妥当ではありません。
3.宗教上の理由から輸血拒否の意思表示を明確にしている患者に対して、輸血以外に救命手段がない場合には輸血することがある旨を医療機関が説明しないで手術を行い輸血をしてしまったときでも、患者が宗教上の信念に基づいて当該手術を受けるか否かを意思決定する権利はそもそも人格権の一内容として法的に保護に値するものではないので、不法行為は成立しない。
3・・・妥当ではない
患者が宗教上の信念からいかなる場合にも輸血を受けることは拒否するとの固い意思を有し、輸血を伴わないで肝臓の腫瘍を摘出する手術を受けることができるものと期待して入院した事案において、判例では、「このことを医師が知っており、右手術の際に輸血を必要とする事態が生ずる可能性があることを認識したにもかかわらず、ほかに救命手段がない事態に至った場合には輸血するとの方針を採っていることを説明しないで右手術を施行し、患者に輸血をしたなど

判示の事実関係の下においては、

医師は、患者が右手術を受けるか否かについて意思決定をする権利を奪われたことによって被った精神的苦痛を慰謝すべく不法行為に基づく損害賠償責任を負う」としています(最判平12.2.29)。

よって、「患者が宗教上の信念に基づいて当該手術を受けるか否かを意思決定する権利はそもそも人格権の一内容として法的に保護に値するものではないので、不法行為は成立しない」は妥当ではありません。

4.医師の過失により医療水準に適(かな)った医療行為が行われず患者が死亡した場合において、医療行為と患者の死亡との間の因果関係が証明されなくても、医療水準に適った医療行為が行われていたならば患者がその死亡の時点においてなお生存していた相当程度の可能性の存在が証明されるときは、不法行為が成立する。
4・・・妥当
判例によると、
「医師が過失により医療水準にかなった医療を行わなかったこと」と「患者の死亡」との間の因果関係の存在は証明されないけれども、右医療が行われていたならば患者がその死亡の時点において なお生存していた相当程度の可能性の存在が証明される場合には、医師は、患者が右可能性を侵害されたことによって被った損害を賠償すべき不法行為責任を負う、としています(最判平12.9.22)。

つまり、本肢は妥当です。

5.交通事故の被害者が後遺症のために身体的機能の一部を喪失した場合には、その後遺症の程度が軽微であって被害者の現在または将来における収入の減少が認められないときでも、労働能力の一部喪失を理由とする財産上の損害が認められる。
5・・・妥当ではない
判例によると
「交通事故による後遺症のために身体的機能の一部を喪失した場合においても、後遺症の程度が比較的軽微であって、しかも被害者が従事する職業の性質からみて、現在又は将来における収入の減少も認められないときは、特段の事情のない限り、労働能力の一部喪失を理由とする財産上の損害は認められない」としています(最判昭56.12.22)。

「後遺症の程度が軽微であって被害者の現在または将来における収入の減少が認められないとき」は「財産上の損害は認められない」ので、本肢は妥当ではありません。

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平成29年度(2017年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:物権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 人権 問33 民法:債権
問4 経済的自由 問34 民法:債権
問5 内閣 問35 民法:親族
問6 財政 問36 商法
問7 憲法の概念 問37 会社法
問8 取消しと撤回 問38 会社法
問9 無効な行政行為 問39 会社法
問10 執行罰 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・社会
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識・政治
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 国家賠償法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・社会
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 地方自治法 問54 基礎知識・情報通信
問25 行政法の判例 問55 基礎知識・その他
問26 行政不服審査法 問56 基礎知識・情報通信
問27 民法:総則 問57 基礎知識・個人情報保護
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:総則 問60 著作権の関係上省略

平成29年・2017|問33|民法・賃貸借

Aは自己所有の甲機械(以下「甲」という。)をBに賃貸し(以下、これを「本件賃貸借契約」という。)、その後、本件賃貸借契約の期間中にCがBから甲の修理を請け負い、Cによる修理が終了した。この事実を前提とする次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当なものはどれか。

  1. Bは、本件賃貸借契約において、Aの負担に属するとされる甲の修理費用について直ちに償還請求することができる旨の特約がない限り、契約終了時でなければ、Aに対して償還を求めることはできない。
  2. CがBに対して甲を返還しようとしたところ、Bから修理代金の提供がなかったため、Cは甲を保管することとした。Cが甲を留置している間は留置権の行使が認められるため、修理代金債権に関する消滅時効は進行しない。
  3. CはBに対して甲を返還したが、Bが修理代金を支払わない場合、Cは、Bが占有する甲につき、動産保存の先取特権を行使することができる。
  4. CはBに対して甲を返還したが、Bは修理代金を支払わないまま無資力となり、本件賃貸借契約が解除されたことにより甲はAに返還された。本件賃貸借契約において、甲の修理費用をBの負担とする旨の特約が存するとともに、これに相応して賃料が減額されていた場合、CはAに対して、事務管理に基づいて修理費用相当額の支払を求めることができる。
  5. CはBに対して甲を返還したが、Bは修理代金を支払わないまま無資力となり、本件賃貸借契約が解除されたことにより甲はAに返還された。本件賃貸借契約において、甲の修理費用をBの負担とする旨の特約が存するとともに、これに相応して賃料が減額されていた場合、CはAに対して、不当利得に基づいて修理費用相当額の支払を求めることはできない。

>解答と解説はこちら


【答え】:5

【解説】

Aは自己所有の甲機械(甲)をBに賃貸し、その後、本件賃貸借契約の期間中にCがBから甲の修理を請け負い、Cによる修理が終了した。

1.Bは、本件賃貸借契約において、Aの負担に属するとされる甲の修理費用について直ちに償還請求することができる旨の特約がない限り、契約終了時でなければ、Aに対して償還を求めることはできない。

1・・・妥当ではない
賃借人Bは、賃借物について賃貸人Aの負担に属する必要費を支出したときは、賃貸人Aに対し、直ちにその償還を請求することができます(民法608条1項)。
よって、甲の修理費用について直ちに償還請求することができる旨の特約がなくても
賃借人Bは、Aに対して、修理費用について直ちに償還請求できます。よって、妥当ではありません。

Aは自己所有の甲機械(甲)をBに賃貸し、その後、本件賃貸借契約の期間中にCがBから甲の修理を請け負い、Cによる修理が終了した。

2.CがBに対して甲を返還しようとしたところ、Bから修理代金の提供がなかったため、Cは甲を保管することとした。Cが甲を留置している間は留置権の行使が認められるため、修理代金債権に関する消滅時効は進行しない。

2・・・妥当ではない
留置権の行使は、債権の消滅時効の進行を妨げません(民法300条)。つまり、Cが甲を留置していたとしても、それだけでは、消滅時効の進行を止めることができません

よって、本肢は妥当ではありません。

言い換えれば、留置しているだけでずっと放っておくと、修理代金債権は消滅時効にかかって債権が消滅してしまいます。

関連ポイントは個別指導で解説します!

Aは自己所有の甲機械(甲)をBに賃貸し、その後、本件賃貸借契約の期間中にCがBから甲の修理を請け負い、Cによる修理が終了した。

3.CはBに対して甲を返還したが、Bが修理代金を支払わない場合、Cは、Bが占有する甲につき、動産保存の先取特権を行使することができる。

3・・・妥当ではない
先取特権者は、この法律その他の法律の規定に従い、その「債務者の財産」について、他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を有します(民法303条)そして、本肢は、BがCに対して修理の依頼をしているため、修理代金の債務者はBです。

つまり、Cは、債務者Bの財産に対して先取特権を行使することができますが、
Aの財産(甲)に対して先取特権は行使できません。

よって、甲の所有者はAなので、甲につき、動産保存の先取特権を行使することができません。

したがって、妥当ではありません。

Aは自己所有の甲機械(甲)をBに賃貸し、その後、本件賃貸借契約の期間中にCがBから甲の修理を請け負い、Cによる修理が終了した。

4.CはBに対して甲を返還したが、Bは修理代金を支払わないまま無資力となり、本件賃貸借契約が解除されたことにより甲はAに返還された。本件賃貸借契約において、甲の修理費用をBの負担とする旨の特約が存するとともに、これに相応して賃料が減額されていた場合、CはAに対して、事務管理に基づいて修理費用相当額の支払を求めることができる。

4・・・妥当ではない
義務なく他人のために事務の管理を始めた者(管理者)は、その事務の性質に従い、最も本人の利益に適合する方法によって、その事務の管理(事務管理)をしなければなりません(民法697条)。本肢を見ると、BC間で請負契約を締結しているので、Cは甲を管理する義務が発生します。

よって、「事務管理」ではありません

したがって、「CはAに対して、事務管理に基づいて修理費用相当額の支払を求めることができる」というのは妥当ではありません。

事務管理についてのポイントは個別指導で解説します!

Aは自己所有の甲機械(甲)をBに賃貸し、その後、本件賃貸借契約の期間中にCがBから甲の修理を請け負い、Cによる修理が終了した。

5.CはBに対して甲を返還したが、Bは修理代金を支払わないまま無資力となり、本件賃貸借契約が解除されたことにより甲はAに返還された。本件賃貸借契約において、甲の修理費用をBの負担とする旨の特約が存するとともに、これに相応して賃料が減額されていた場合、CはAに対して、不当利得に基づいて修理費用相当額の支払を求めることはできない。

5・・・妥当
法律上の原因なく他人の財産又は労務によって利益を受け」、そのために他人に損失を及ぼした者(受益者)は、その利益の存する限度において、これを返還する義務を負います(民法703条:不当利得の返還義務)。本肢を見ると、「甲の修理費用を賃借人Bの負担とする旨の特約が存する」ということは、賃貸人Aは利益を得ているように見えますが、「これに相応して賃料が減額されていた」となっているので、Aは得た利益分、不利益も受けています。つまり、Aについて不当利得は成立しません最判平7.9.19)。

よって、Aは不当利得の返還義務は生じません。

「CはAに対して、不当利得に基づいて修理費用相当額の支払を求めることはできない。」というのは妥当です。

不当利得の詳細解説は個別指導で行います!

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平成29年度(2017年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:物権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 人権 問33 民法:債権
問4 経済的自由 問34 民法:債権
問5 内閣 問35 民法:親族
問6 財政 問36 商法
問7 憲法の概念 問37 会社法
問8 取消しと撤回 問38 会社法
問9 無効な行政行為 問39 会社法
問10 執行罰 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・社会
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識・政治
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 国家賠償法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・社会
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 地方自治法 問54 基礎知識・情報通信
問25 行政法の判例 問55 基礎知識・その他
問26 行政不服審査法 問56 基礎知識・情報通信
問27 民法:総則 問57 基礎知識・個人情報保護
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:総則 問60 著作権の関係上省略

平成29年・2017|問32|民法・連帯債務

共同事業を営むAとBは、Cから事業資金の融資を受けるに際して、共に弁済期を1年後としてCに対し連帯して1,000万円の貸金債務(以下「本件貸金債務」という。)を負担した(負担部分は2分の1ずつとする。)。この事実を前提とする次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当でないものはどれか。

  1. 本件貸金債務につき、融資を受けるに際してAが法律行為の目的及び取引上の社会通念に照らして重要な錯誤に陥っており、錯誤に基づく取消しを主張してこれが認められた場合であっても、これによってBが債務を免れることはない。
  2. 本件貸金債務につき、A・C間の更改により、AがCに対して甲建物を給付する債務に変更した場合、Bは本件貸金債務を免れる。
  3. 本件貸金債務につき、弁済期到来後にAがCに対して弁済の猶予を求め、その後更に期間が経過して、弁済期の到来から起算して時効期間が満了した場合に、Bは、Cに対して消滅時効を援用することはできない。
  4. 本件貸金債務につき、Cから履行を求められたAが、あらかじめ共同の免責を得ることをBに通知することなくCに弁済した。その当時、BはCに対して500万円の金銭債権を有しており、既にその弁済期が到来していた場合、BはAから500万円を求償されたとしても対抗することができる。
  5. 本件貸金債務につき、AがCに弁済した後にBに対してその旨を通知しなかったため、Bは、これを知らずに、Aに対して事前に弁済する旨の通知をして、Cに弁済した。この場合に、Bは、Aの求償を拒み、自己がAに対して500万円を求償することができる。

>解答と解説はこちら


【答え】:3

【解説】

1.共同事業を営むAとBは、Cから事業資金の融資を受けるに際して、共に弁済期を1年後としてCに対し連帯して1,000万円の貸金債務を負担した(負担部分は2分の1ずつとする。)。

本件貸金債務につき、融資を受けるに際してAが法律行為の目的及び取引上の社会通念に照らして重要な錯誤に陥っており、錯誤に基づく取消しを主張してこれが認められた場合であっても、これによってBが債務を免れることはない。

1・・・妥当
連帯債務者A、連帯債務者B、債権者Cという状況でAが錯誤による取消しが認められた。「錯誤による取消し」は相対効なので、

他の連帯債務者Bには錯誤により取消しの効果は生じないです。

よって、妥当です。

そもそも、「絶対効と相対効」が分からない方は、個別指導で解説します!

2.共同事業を営むAとBは、Cから事業資金の融資を受けるに際して、共に弁済期を1年後としてCに対し連帯して1,000万円の貸金債務を負担した(負担部分は2分の1ずつとする。)。

本件貸金債務につき、A・C間の更改により、AがCに対して甲建物を給付する債務に変更した場合、Bは本件貸金債務を免れる。

2・・・妥当
連帯債務者A、連帯債務者B、債権者Cという状況でAC間で更改があった。これにより、Aの旧債務は消滅します。

「更改」は絶対効なので

連帯債務者Bの債務は消滅します。

よって、妥当です。

本肢は「更改」をきちんと理解すべきなので、個別指導で解説します!

3.共同事業を営むAとBは、Cから事業資金の融資を受けるに際して、共に弁済期を1年後としてCに対し連帯して1,000万円の貸金債務を負担した(負担部分は2分の1ずつとする。)。

本件貸金債務につき、弁済期到来後にAがCに対して弁済の猶予を求め、その後更に期間が経過して、弁済期の到来から起算して時効期間が満了した場合に、Bは、Cに対して消滅時効を援用することはできない。

3・・・妥当ではない
連帯債務者A、連帯債務者B、債権者Cという状況で弁済期到来後にAがCに対して弁済の猶予を求めているので
「Aは債務の承認」をしたことになります。これにより、Aの時効は更新します。

「債務の承認」は相対効なので

他の連帯債務者Bの時効は更新しません。

そのため、Bは、弁済期の到来から起算して時効期間が満了した場合に、消滅時効を援用することはできます。

よって、本肢は妥当ではありません。

本問は「共同の免責を得る」といった言葉の理解も必要なので、個別指導では、その点も含めて、具体例を出しながら解説します!

4.共同事業を営むAとBは、Cから事業資金の融資を受けるに際して、共に弁済期を1年後としてCに対し連帯して1,000万円の貸金債務を負担した(負担部分は2分の1ずつとする。)。

本件貸金債務につき、Cから履行を求められたAが、あらかじめ共同の免責を得ることをBに通知することなくCに弁済した。その当時、BはCに対して500万円の金銭債権を有しており、既にその弁済期が到来していた場合、BはAから500万円を求償されたとしても対抗することができる。

4・・・妥当
連帯債務者A、連帯債務者B、債権者Cという状況でAは、あらかじめ共同の免責を得ることをBに通知することなくCに弁済しています。一方、「BはCに対して500万円の金銭債権(反対債権)を有しており、既にその弁済期が到来していた」ということなので、Bは相殺できる状態にあったといえます。

それにもかかわらず、Aは「共同の免責を得ることをBに通知せずに弁済をしているので

AはBに求償することができません民法443条)。

よって、BはAから500万円を求償されたとしても対抗することができるので妥当です。

5.共同事業を営むAとBは、Cから事業資金の融資を受けるに際して、共に弁済期を1年後としてCに対し連帯して1,000万円の貸金債務を負担した(負担部分は2分の1ずつとする。)。

本件貸金債務につき、AがCに弁済した後にBに対してその旨を通知しなかったため、Bは、これを知らずに、Aに対して事前に弁済する旨の通知をして、Cに弁済した。この場合に、Bは、Aの求償を拒み、自己がAに対して500万円を求償することができる。

5・・・妥当
連帯債務者A、連帯債務者B、債権者Cという状況でAは、Cに弁済したにも関わらず、弁済した旨の通知をしなかった。Aが弁済をしたことを知らずに、Bが、Aに事前に通知した上で弁済した。

この場合、Bが保護されるので、BはAに対して求償することができます民法443条2項)。

本問はもっと詳しく解説しないと理解できないと思うので、個別指導で詳細な解説をします!

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平成29年度(2017年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:物権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 人権 問33 民法:債権
問4 経済的自由 問34 民法:債権
問5 内閣 問35 民法:親族
問6 財政 問36 商法
問7 憲法の概念 問37 会社法
問8 取消しと撤回 問38 会社法
問9 無効な行政行為 問39 会社法
問10 執行罰 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・社会
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識・政治
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 国家賠償法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・社会
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 地方自治法 問54 基礎知識・情報通信
問25 行政法の判例 問55 基礎知識・その他
問26 行政不服審査法 問56 基礎知識・情報通信
問27 民法:総則 問57 基礎知識・個人情報保護
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:総則 問60 著作権の関係上省略

平成29年・2017|問31|民法・物権的請求権

物権的請求権等に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当なものはどれか。

  1. Aが所有する甲土地の上に、Bが権原なく乙建物を建設してこれをCに譲渡した場合、無権原で乙建物を建設することによってAの土地所有権を侵害したのはBであるから、AはBに対してのみ乙建物の取去を求めることができる。
  2. 第三者が抵当不動産を不法占有することによって同不動産の交換価値の実現が妨げられ、抵当権者の優先弁済権の行使が困難となるような状態があるときは、抵当権に基づく妨害排除請求権が認められるが、抵当権は占有を目的とする権利ではないため、抵当権者が占有者に対し直接自己への抵当不動産の明渡しを求めることは常にできない。
  3. 占有者がその占有を奪われたときは、占有回収の訴えにより、その物の返還を請求することはできるが、損害の賠償を請求することはできない。
  4. 第三者が賃貸不動産を不法占有している場合、賃借人は、その賃借権が対抗要件を具備しているか否かを問わず、その不法占有者に対して、当該不動産に関する賃借権に基づく妨害排除請求を行うことができる。
  5. Dが所有する丙土地の上に、Eが権原なく丁建物を建設し、自己所有名義で建物保存登記を行った上でこれをFに譲渡したが、建物所有権登記がE名義のままとなっていた場合、Dは登記名義人であるEに対して丁建物の収去を求めることができる。

>解答と解説はこちら


【答え】:5

【解説】

1.Aが所有する甲土地の上に、Bが権原なく乙建物を建設してこれをCに譲渡した場合、無権原で乙建物を建設することによってAの土地所有権を侵害したのはBであるから、AはBに対してのみ乙建物の取去を求めることができる。
1・・・妥当ではない
判例によると、「建物収去・土地の明渡請求できる相手」は「現実に建物を所有することによってその土地を占拠し、土地所有権を侵害している者」としています(最判昭35.6.17)。
よって、本肢は
Aは、「建物の現所有者であるC」に対して建物の収去を求めることができます。したがって、本肢は妥当でありません。
2.第三者が抵当不動産を不法占有することによって同不動産の交換価値の実現が妨げられ、抵当権者の優先弁済権の行使が困難となるような状態があるときは、抵当権に基づく妨害排除請求権が認められるが、抵当権は占有を目的とする権利ではないため、抵当権者が占有者に対し直接自己への抵当不動産の明渡しを求めることは常にできない。
2・・・妥当ではない
判例によると、「抵当不動産の占有者に対する抵当権に基づく妨害排除請求権の行使に当たり、抵当不動産の所有者において抵当権に対する侵害が生じないように抵当不動産を適切に維持管理することが期待できない場合には、抵当権者は、当該占有者に対し、直接自己への抵当不動産の明渡しを求めることができる」としています(最判平17.3.10)。
したがって、本肢は妥当ではありません。本肢は理解しておかないと、本試験で類題が出題されても解けないです。

そのため、個別指導では、具体例を入れて解説します!

3.占有者がその占有を奪われたときは、占有回収の訴えにより、その物の返還を請求することはできるが、損害の賠償を請求することはできない。
3・・・妥当ではない
占有者がその占有を奪われたときは、占有回収の訴えにより、「その物の返還請求」及び「損害賠償請求」をすることができます(民法200条)。
よって、本肢は「損害賠償請求ができない」となっているので妥当ではありません。関連ポイントもあるので、個別指導では、「関連ポイント」と「具体例」を入れて解説します!
4.第三者が賃貸不動産を不法占有している場合、賃借人は、その賃借権が対抗要件を具備しているか否かを問わず、その不法占有者に対して、当該不動産に関する賃借権に基づく妨害排除請求を行うことができる。
4・・・妥当ではない
不動産の賃借人は、対抗要件を備えた場合において、その不動産を第三者が占有しているとき、その第三者に対して返還請求ができます(民法605条の4の2号)。
よって、「賃借権が対抗要件を具備していないと、その不法占有者に対して、賃借権に基づく妨害排除請求を行うことができない」ので、妥当ではありません。具体例などは個別指導で解説します。
5.Dが所有する丙土地の上に、Eが権原なく丁建物を建設し、自己所有名義で建物保存登記を行った上でこれをFに譲渡したが、建物所有権登記がE名義のままとなっていた場合、Dは登記名義人であるEに対して丁建物の収去を求めることができる。
5・・・妥当
判例によると、
D所有地上の建物を取得し、自らの意思に基づいてその旨の登記を経由したEは、たとい右建物をFに譲渡したとしても、引き続き右登記名義を保有する限り、Dに対し、建物所有権の喪失を主張して建物収去・土地明渡しの義務を免れることはできない」としています(最判平6.2.8)。
つまり、Dは、Eに対して、建物収去・土地の明渡請求ができるので妥当です。これは非常にややこしいので、個別指導で細かく分解して解説します。

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平成29年度(2017年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:物権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 人権 問33 民法:債権
問4 経済的自由 問34 民法:債権
問5 内閣 問35 民法:親族
問6 財政 問36 商法
問7 憲法の概念 問37 会社法
問8 取消しと撤回 問38 会社法
問9 無効な行政行為 問39 会社法
問10 執行罰 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・社会
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識・政治
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 国家賠償法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・社会
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 地方自治法 問54 基礎知識・情報通信
問25 行政法の判例 問55 基礎知識・その他
問26 行政不服審査法 問56 基礎知識・情報通信
問27 民法:総則 問57 基礎知識・個人情報保護
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:総則 問60 著作権の関係上省略

平成29年・2017|問30|民法・時効

Aは、甲不動産をその占有者Bから購入し引渡しを受けていたが、実は甲不動産はC所有の不動産であった。BおよびAの占有の態様および期間に関する次の場合のうち、民法の規定および判例に照らし、Aが、自己の占有、または自己の占有にBの占有を併せた占有を主張しても甲不動産を時効取得できないものはどれか。

  1. Bが悪意で5年間、Aが善意無過失で10年間
  2. Bが悪意で18年間、Aが善意無過失で2年間
  3. Bが悪意で5年間、Aが善意無過失で5年間
  4. Bが善意無過失で7年間、Aが悪意で3年間
  5. Bが善意無過失で3年間その後悪意となり2年間、Aが善意無過失で3年間その後悪意となり3年間

>解答と解説はこちら


【答え】:3

【解説】

下記解説は簡易的な解説です。

下記選択肢すべてにおいて、詳細な考え方については、個別指導で解説します!

1.Bが悪意で5年間、Aが善意無過失で10年間
1・・・時効取得できる
一定期間(下記参照)、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した者は、その所有権を取得します(民法162条)。
  1. 善意無過失の場合、10年間占有が必要
  2. 悪意もしくは有過失の場合、20年間占有が必要

「B⇒A」

Aは、善意無過失で10年間占有しているので、時効取得できます。

2.Bが悪意で18年間、Aが善意無過失で2年間

2・・・時効取得できる

「Bが悪意で18年間」、「Aが善意無過失で2年間」占有しているので、

AはBの占有の状態を承継することができます。

Bの占有状態は「悪意・18年間占有」の2つを指します。

そのため、Aが承継すると

Aは、「悪意」で、かつ、18年+2年=「20年間」占有したことになるので
時効取得できます。

3.Bが悪意で5年間、Aが善意無過失で5年間
3・・・時効取得できない
「Bが悪意で5年間」、「Aが善意無過失で5年間」占有しています。
  • Aが占有の状態を承継したとすると、Aは悪意で、10年間占有したことになります。これでは時効取得できません。
  • Aが占有の状態を承継しないとすると、Aのみで考えます。

    Aが善意無過失で5年間しか占有していないので、これでも時効取得できません。

よって、本肢は時効取得できません。

4.Bが善意無過失で7年間、Aが悪意で3年間
4・・・時効取得できる
「Bが善意無過失で7年間」、「Aが悪意で3年間」なのでAが占有の状態を承継すると考えるとAは善意無過失で10年間占有することになります。
よって、時効取得できます。
5.Bが善意無過失で3年間その後悪意となり2年間、Aが善意無過失で3年間その後悪意となり3年間
5・・・時効取得できる
「Bが善意無過失で3年間その後悪意となり2年間」、「Aが善意無過失で3年間その後悪意となり3年間」

善意悪意・過失の有無占有開始時で判断します。つまり、「Bは善意無過失で5年間」「Aは善意無過失で6年間」占有したことになります。
Aが占有の状態を承継すると考えるとAは善意無過失で11年間占有することになるので
時効取得できます。

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平成29年度(2017年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:物権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 人権 問33 民法:債権
問4 経済的自由 問34 民法:債権
問5 内閣 問35 民法:親族
問6 財政 問36 商法
問7 憲法の概念 問37 会社法
問8 取消しと撤回 問38 会社法
問9 無効な行政行為 問39 会社法
問10 執行罰 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・社会
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識・政治
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 国家賠償法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・社会
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 地方自治法 問54 基礎知識・情報通信
問25 行政法の判例 問55 基礎知識・その他
問26 行政不服審査法 問56 基礎知識・情報通信
問27 民法:総則 問57 基礎知識・個人情報保護
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:総則 問60 著作権の関係上省略

平成29年・2017|問29|民法・物権

物権の成立に関する次のア~オの記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当でないものの組合せはどれか。

ア.他人の土地の地下または空間の一部について、工作物を所有するため、上下の範囲を定めて地上権を設定することは認められない。
イ.一筆の土地の一部について、所有権を時効によって取得することは認められる。
ウ.構成部分の変動する集合動産について、一括して譲渡担保の目的とすることは認められない。
エ.土地に生育する樹木について、明認方法を施した上で、土地とは独立した目的物として売却することは認められる。
オ.地役権は、継続的に行使され、かつ、外形上認識することができるものに限り、時効によって取得することができる。

  1. ア・イ
  2. ア・ウ
  3. イ・エ
  4. ウ・エ
  5. エ・オ

>解答と解説はこちら


【答え】:2

【解説】

ア.他人の土地の地下または空間の一部について、工作物を所有するため、上下の範囲を定めて地上権を設定することは認められない。
ア・・・妥当ではない
地下又は空間は、工作物を所有するため、上下の範囲を定めて地上権の目的とすることができます民法269条の2)。
よって、本肢は妥当ではありません。
  • 空間の具体例⇒モノレール
  • 地下の具体例⇒「地下鉄」や「地下を通る高速道路」
イ.一筆の土地の一部について、所有権を時効によって取得することは認められる。
イ・・・妥当
判例によると
「占有は事実上の支配であり、土地の一部に事実上の支配を及ぼすことも可能であるから、1筆の土地の一部について時効取得することができる」としています(大判大13.10.7)。
取得時効の事例でいうと
隣地境界あたりで、一部が他人地だったけど
それを知らずに、ずっと自分の土地と思い込んで占有していて
その部分のみ時効取得する事例が多いです。よって、本肢は妥当です。
ウ.構成部分の変動する集合動産について、一括して譲渡担保の目的とすることは認められない。
ウ・・・妥当ではない
判例によると、
構成部分の変動する集合動産であつても、その種類所在場所及び量的範囲を指定するなどの方法により目的物の範囲が特定される場合には、一個の集合物として譲渡担保の目的となりうる」としています(最判昭54.2.15)。
「構成部分の変動する集合動産」とは、「倉庫にあるモノ」です。「倉庫の所在地」や「どの種類」「どれだけの量」を指定することで、これら全部を一個の集合物として譲渡担保権の設定をすることができます。よって、本肢は妥当ではありません。具体例については個別指導で解説します!
エ.土地に生育する樹木について、明認方法を施した上で、土地とは独立した目的物として売却することは認められる。
エ・・・妥当
原則として、立木は土地の構成部分、つまり、土地の一部にすぎません。
理由は、土地に根を張って生存しているからです。
しかし、立木だけ売りたい・買いたいという場合もあります。その場合に「明認方法」というルールがあります。明認方法の具体的な方法としては、所有者を明示する標札を立てる、立木を削って名前を書く、墨書きをする、などがあります。これにより、土地に生育する樹木について、土地とは独立した目的物として売却することは認められます

よって、本肢は妥当です。

オ.地役権は、継続的に行使され、かつ、外形上認識することができるものに限り、時効によって取得することができる。
5・・・妥当
地役権は、継続的に行使され、かつ、外形上認識することができるものに限り、時効によって取得することができます(民法283条)。
よって、本肢は妥当です。関連ポイントについては、個別指導で解説します!

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平成29年度(2017年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:物権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 人権 問33 民法:債権
問4 経済的自由 問34 民法:債権
問5 内閣 問35 民法:親族
問6 財政 問36 商法
問7 憲法の概念 問37 会社法
問8 取消しと撤回 問38 会社法
問9 無効な行政行為 問39 会社法
問10 執行罰 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・社会
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識・政治
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 国家賠償法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・社会
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 地方自治法 問54 基礎知識・情報通信
問25 行政法の判例 問55 基礎知識・その他
問26 行政不服審査法 問56 基礎知識・情報通信
問27 民法:総則 問57 基礎知識・個人情報保護
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:総則 問60 著作権の関係上省略

平成29年・2017|問27|民法・社団や組合

自然人A(以下「A」という。)が団体B(以下「B」という。)に所属している場合に関する次のア~オの記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当なものの組合せはどれか。

ア.Bが法人である場合に、AがBの理事として第三者と法律行為をするときは、Aは、Bの代表としてではなく、Bの構成員全員の代理人として当該法律行為を行う。
イ.Bが権利能力のない社団である場合には、Bの財産は、Bを構成するAら総社員の総有に属する。
ウ.Bが組合である場合には、Aは、いつでも組合財産についてAの共有持分に応じた分割を請求することができる。
エ.Bが組合であり、Aが組合の業務を執行する組合員である場合は、Aは、組合財産から当然に報酬を得ることができる。
オ.Bが組合であり、Aが組合の業務を執行する組合員である場合に、組合契約によりAの業務執行権限を制限しても、組合は、善意無過失の第三者には対抗できない。

  1. ア・ウ
  2. ア・エ
  3. イ・ウ
  4. イ・オ
  5. エ・オ

>解答と解説はこちら


【答え】:4

【解説】

自然人Aが団体Bに所属している。

ア.Bが法人である場合に、AがBの理事として第三者と法律行為をするときは、Aは、Bの代表としてではなく、Bの構成員全員の代理人として当該法律行為を行う。

ア・・・妥当ではない
「団体Bが法人である」「AがBの理事として」という言葉から、下記ルールを考えます。理事は、一般社団法人を代表します(一般社団法人及び一般財団法人に関する法律77条1項本文)。そのため、Bが法人である場合、理事Aは法人Bの代表として法律行為を行います。

本肢は「理事AはBの構成員全員の代理人として当該法律行為を行う」が妥当ではありません。

自然人Aが団体Bに所属している。

イ.Bが権利能力のない社団である場合には、Bの財産は、Bを構成するAら総社員の総有に属する。

イ・・・妥当
権利能力のない労働組合(任意団体)の財産は、実質的には社団の総社員(全加入者)で総有(共有)するものだから、総社員の同意で、「総有の廃止」や「財産の処分」についてルールを決めない限り、現社員と元社員は、当然には、財産に関して、「共有の持分権」や、「財産の分割請求権」はありません最判昭32.11.14)。
よって、本肢は妥当です。この辺りは、対比して勉強すべき部分なので、対比部分については、個別指導で解説します!

自然人Aが団体Bに所属している。

ウ.Bが組合である場合には、Aは、いつでも組合財産についてAの共有持分に応じた分割を請求することができる。

ウ・・・妥当ではない
各組合員の「出資その他の組合財産」は、総組合員の「共有」に属します(民法668条)。
そして、上記「共有」は「合有」を意味します。「合有」は「共有」と同じく持分はあるのですが、
組合員は、清算前に組合財産の分割を求めることができません民法676条3項)。

よって、「Aは、いつでも組合財産についてAの共有持分に応じた分割を請求することができる」わけではないので妥当ではないです。

あくまでも清算した時に残余財産があるときに限り、分配されます。

自然人Aが団体Bに所属している。

エ.Bが組合であり、Aが組合の業務を執行する組合員である場合は、Aは、組合財産から当然に報酬を得ることができる。

エ・・・妥当ではない
受任者は、特約がなければ、委任者に対して報酬を請求することができません(民法648条1項)。
このルールは組合の業務を決定し、又は執行する組合員について準用します(民法671条)。

そして、
「組合(会社)」と「組合の業務を執行する組合員(個人)」は委任契約です。そのため、上記のように委任契約のルールが準用されています。

上記をまとめると

「組合の業務を執行する組合員は、特約がなければ、組合に対して報酬を請求することができない」ということです。

本肢は「業務執行組合員Aは、組合財産から当然に報酬を得ることができる」は妥当ではありません。

当然には報酬を得ることができません。

自然人Aが団体Bに所属している。

オ.Bが組合であり、Aが組合の業務を執行する組合員である場合に、組合契約によりAの業務執行権限を制限しても、組合は、善意無過失の第三者には対抗できない。

オ・・・妥当
民法上の組合において、組合規約等で業務執行者の代理権限を制限しても、その制限は善意無過失の第三者に対抗できません最判昭38.5.31)。
よって、本肢は妥当です。

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平成29年度(2017年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:物権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 人権 問33 民法:債権
問4 経済的自由 問34 民法:債権
問5 内閣 問35 民法:親族
問6 財政 問36 商法
問7 憲法の概念 問37 会社法
問8 取消しと撤回 問38 会社法
問9 無効な行政行為 問39 会社法
問10 執行罰 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・社会
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識・政治
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 国家賠償法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・社会
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 地方自治法 問54 基礎知識・情報通信
問25 行政法の判例 問55 基礎知識・その他
問26 行政不服審査法 問56 基礎知識・情報通信
問27 民法:総則 問57 基礎知識・個人情報保護
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:総則 問60 著作権の関係上省略

平成29年・2017|問57|一般知識・個人情報保護等

情報公開法制と個人情報保護法制に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。

  1. 個人情報の保護に関する法律は、国の行政機関には適用されるが、地方公共団体には適用されない。これに対し、情報公開法制は、国の行政機関の保有する情報の公開に関する法律も国の行政機関地方公共団体の情報公開条例の二本立てとなっている(改)。
  2. 行政機関の保有する情報の公開に関する法律は、国・地方公共団体を問わず、等しく適用される。これに対し、個人情報保護法制は、国の法律と地方公共団体の条例の二本立てとなっている。
  3. 情報公開法制・個人情報保護法制に基づく開示請求については、法定受託事務に関する文書・情報の場合、地方公共団体が当該文書・情報を管理している場合においても、主務大臣がその開示の許否を判断する。
  4. 個人情報の訂正請求に対する地方公共団体による拒否決定について、地方公共団体の個人情報保護に関する審査会が示した決定に不服のある者は、国の情報公開・個人情報保護審査会に対し審査請求をすることができる。
  5. 国の行政機関の長は、国に対する開示請求に係る文書に、国・地方公共団体等の事務または事業に関する情報が含まれており、監査・検査など当該事務事業の性質上、公開によりその適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるときには、その開示を拒否することができる。

>解答と解説はこちら


【答え】:5

【解説】

1.個人情報の保護に関する法律は、国の行政機関には適用されるが、地方公共団体には適用されない。これに対し、情報公開法制は、国の行政機関の保有する情報の公開に関する法律も国の行政機関地方公共団体の情報公開条例の二本立てとなっている(改)。。
1・・・妥当ではない
「個人情報の保護に関する法律は、・・・地方公共団体には適用されない」が誤りです。地方公共団体にも適用されます。後半部分は妥当です。
2.行政機関の保有する情報の公開に関する法律は、国・地方公共団体を問わず、等しく適用される。これに対し、個人情報保護法制は、国の法律と地方公共団体の条例の二本立てとなっている。
2・・・妥当ではない
「情報公開法」については、国の行政機関には適用されますが、地方公共団体の機関には適用されません。よって、妥当ではないです。
後半部分についても、妥当ではありません。なぜなら、個人情報保護法は、国の行政機関だけでなく、地方公共団体の機関も適用されるので、必ずしもの法律と地方公共団体の条例の二本立てとなってるわけではないです。あくまでも、個人情報保護法の範囲内で条例を制定できるに過ぎないです。
3.情報公開法制・個人情報保護法制に基づく開示請求については、法定受託事務に関する文書・情報の場合、地方公共団体が当該文書・情報を管理している場合においても、主務大臣がその開示の許否を判断する。
3・・・妥当ではない
情報公開法制・個人情報保護法制どちらにおいても、地方公共団体に対する開示請求については、条例で対応する形になります。
よって、法定受託事務に関する文書・情報の場合、
地方公共団体が管理していれば、その地方公共団体の長が開示するかどうかを判断します。
したがって、主務大臣は妥当ではありません。
4.個人情報の訂正請求に対する地方公共団体による拒否決定について、地方公共団体の個人情報保護に関する審査会が示した決定に不服のある者は、国の情報公開・個人情報保護審査会に対し審査請求をすることができる。
4・・・妥当ではない
個人情報の訂正請求に対する地方公共団体による拒否決定についての審査請求先は、情報公開・個人情報保護審査会(総務省)ではありません。よって、誤りです。
審査請求先は、条例で定められます。
5.国の行政機関の長は、国に対する開示請求に係る文書に、国・地方公共団体等の事務または事業に関する情報が含まれており、監査・検査など当該事務事業の性質上、公開によりその適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるときには、その開示を拒否することができる。
5・・・妥当行政機関の長は、開示請求があったときは、原則、開示請求者に対し、当該行政文書を開示しなければなりません。
ただし、例外として、「国の機関、独立行政法人等、地方公共団体又は地方独立行政法人が行う事務又は事業に関する情報であって、公にすることにより、監査、検査、取締り、試験又は租税の賦課若しくは徴収に係る事務に関し、正確な事実の把握を困難にするおそれ又は違法若しくは不当な行為を容易にし、若しくはその発見を困難にするおそれがあるもの」については、開示しなくてもよい(不開示情報)です(情報公開法5条6号イ)。

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平成29年度(2017年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:物権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 人権 問33 民法:債権
問4 経済的自由 問34 民法:債権
問5 内閣 問35 民法:親族
問6 財政 問36 商法
問7 憲法の概念 問37 会社法
問8 取消しと撤回 問38 会社法
問9 無効な行政行為 問39 会社法
問10 執行罰 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・社会
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識・政治
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 国家賠償法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・社会
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 地方自治法 問54 基礎知識・情報通信
問25 行政法の判例 問55 基礎知識・その他
問26 行政不服審査法 問56 基礎知識・情報通信
問27 民法:総則 問57 基礎知識・個人情報保護
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:総則 問60 著作権の関係上省略