「相続の手続きを誰に頼めばいいかわからない」「遺言書を作りたいが書き方に不安がある」——そんな悩みを持つ方にとって、行政書士は身近な相談先の一つです。
行政書士は「権利義務に関する書類」の作成を業とする国家資格者であり、相続・遺言に関する多くの手続きを取り扱えます。本記事では、行政書士に依頼できる相続・遺言関連の業務を整理し、どのような場面で活用すべきかを解説します。
行政書士が対応できる相続手続き
相続が発生すると、さまざまな書類の準備や届出が必要になります。行政書士が対応できる主な相続業務は次のとおりです。
遺産分割協議書の作成
相続人全員で遺産の分け方を話し合った結果を書面にまとめるのが遺産分割協議書です。行政書士は、協議内容を正確に反映した協議書を作成し、不動産や預貯金の名義変更に使える形式で仕上げます。法的要件を満たした書面にすることで、金融機関や法務局での手続きがスムーズに進みます。
相続人調査・戸籍収集
被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本を集め、法定相続人を確定させる作業です。本籍地が複数の市区町村にまたがるケースでは、取り寄せに手間と時間がかかります。行政書士は職務上請求により、依頼者に代わって効率的に戸籍を収集できます。
相続財産調査
不動産の登記事項証明書、固定資産評価証明書、預貯金の残高証明書など、相続財産の全体像を把握するための資料収集も行政書士の業務範囲です。財産目録の作成まで一括して依頼できるため、遺産分割の話し合いに必要な情報を整理しやすくなります。
行政書士に依頼できる遺言関連業務
遺言書の作成支援も行政書士の得意分野です。特に近年注目されている制度と合わせて紹介します。
遺言書の起案・文案作成
自筆証書遺言を作成する場合、法律の要件を満たさなければ無効になるリスクがあります。行政書士に相談すれば、依頼者の希望を聞き取りながら法的に有効な文案を作成してもらえます。公正証書遺言を選ぶ場合には、公証役場との事前調整や必要書類の準備もサポートします。
法務局の自筆証書遺言書保管制度の活用
法務省が運用する「自筆証書遺言書保管制度」を利用すれば、遺言書を法務局で安全に保管でき、相続開始後の家庭裁判所による検認手続きも不要になります。行政書士は、保管制度の要件に合った遺言書の作成をサポートし、申請手続きの流れについても助言します。
行政書士に頼めない相続手続き
行政書士には業務範囲の制限があるため、以下の手続きは他の専門家に依頼する必要があります。
- 不動産の相続登記:司法書士の業務です。2024年4月から相続登記が義務化されており、期限内の対応が求められます。
- 相続税の申告:税理士の独占業務です。基礎控除を超える相続財産がある場合は税理士への相談が必要です。
- 相続人間の紛争解決:遺産分割で争いがある場合は弁護士の対応領域となります。
行政書士は、必要に応じて司法書士・税理士・弁護士と連携し、ワンストップで相続手続き全体を進められる事務所も増えています。依頼前に対応範囲を確認しておくと安心です。
行政書士に相続を依頼する費用の目安
相続手続きを行政書士に依頼した場合の一般的な費用目安は以下のとおりです。
- 相続人調査・戸籍収集:3万〜5万円程度
- 遺産分割協議書の作成:5万〜10万円程度
- 相続手続き一式(財産調査含む):10万〜20万円程度
- 遺言書の起案・作成支援:5万〜10万円程度
費用は相続人の人数や財産の複雑さによって変動します。多くの事務所では初回相談を無料で受け付けているため、まずは見積もりを取ることをおすすめします。
まとめ
行政書士は、遺産分割協議書の作成や戸籍収集、遺言書の起案など、相続・遺言に関する書類作成業務を幅広くカバーできる専門家です。不動産登記や税務申告など対応できない領域もありますが、他士業との連携体制が整った事務所を選べば、手続き全体をスムーズに進められます。
相続は期限のある手続きも多いため、早めに行政書士へ相談し、必要な書類や段取りを整理しておくことが大切です。
よくある質問
Q. 行政書士に相続手続きを依頼すると何をしてもらえますか?
A. 行政書士には、遺産分割協議書の作成、相続人調査のための戸籍収集、相続財産調査と財産目録の作成、遺言書の起案・文案作成などを依頼できます。権利義務に関する書類作成の専門家として、相続発生後に必要となる各種書類の準備を幅広くサポートしてもらえます。
Q. 行政書士に頼めない相続手続きにはどんなものがありますか?
A. 不動産の相続登記は司法書士、相続税の申告は税理士、相続人間の紛争解決は弁護士の業務となり、行政書士では対応できません。ただし、他士業と連携してワンストップで手続きを進められる事務所も増えているため、依頼前に対応範囲を確認しておくと安心です。
Q. 行政書士に相続手続きを依頼した場合の費用はどのくらいですか?
A. 一般的な目安として、相続人調査・戸籍収集は3万〜5万円、遺産分割協議書の作成は5万〜10万円、相続手続き一式は10万〜20万円、遺言書の起案・作成支援は5万〜10万円程度です。相続人の人数や財産の複雑さで変動するため、初回無料相談で見積もりを取ることをおすすめします。
Q. 遺言書の作成を行政書士に相談するメリットは何ですか?
A. 行政書士に相談すれば、法的要件を満たした有効な遺言書の文案を作成してもらえるため、形式不備で無効になるリスクを防げます。公正証書遺言を選ぶ場合は公証役場との事前調整や必要書類の準備もサポートしてもらえるほか、法務局の自筆証書遺言書保管制度の活用についても助言を受けられます。
Q. 相続人調査の戸籍収集を行政書士に任せるメリットはありますか?
A. 被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本を集める作業は、本籍地が複数の市区町村にまたがると非常に手間がかかります。行政書士は職務上請求という制度を使い、依頼者に代わって効率的に戸籍を収集できるため、時間と労力を大幅に削減でき、法定相続人の確定もスムーズに進みます。


