法律の留保とは、行政機関が一定の行政活動を行う場合、あらかじめ法律によってその権限が定められていなければならない(法律の根拠・授権が必要)という原則です。
例えば、不動産を所有している人は、「固定資産税」が課せられます。これも、法律によって定められているから課せられるのです。
行政機関が勝手に、時計を持っている人には「時計税」を課します!といっても法律にそのようなルールは定められていないので、それはできません。
法律の留保の範囲
行政のすべての活動に「法律の留保の原則」が当てはまるかというと、色々な考え方があります。
それが、①侵害留保説、②全部留保説、③権力留保説、④重要事項留保説
①侵害留保説
行政書士試験では、この侵害留保説を覚えておきましょう!
侵害留保説とは、「国民の自由」や「財産」を侵害する行政活動のみ、法律の根拠が必要ということです。
上記事例の、税金を課す行為については、国民の財産を侵害する行政活動と言えます。そのため、法律に「〇〇税は課していいですよ!」と規定されていなければ、〇〇税を課すことができないということです。
つまり、上記「時計税」は法律に規定されていないので課すことができないということです。
②全部留保説
全ての行政活動について法律の根拠が必要という考え方です。
「国民の自由」や「財産」を侵害する行為だけでなく、侵害しない行為であっても法律の根拠が必要ということです。
この考えによると、警察官が、道案内をする場合も法律の根拠が必要ということになります。
そして、行政書士試験のレベルであれば、③権力留保説、④重要事項留保説は勉強しなくてもよいでしょう!
法律による行政の原理
法律の法規創造力 |
国民の権利義務に関するルールは法律のみ定めることができ、行政機関は、法律の授権なく法規を作れない |
法律の優位 |
行政活動は法律に違反してはならず、違反したら、取消されたり、無効となる |
法律の留保 |
一定の行政の活動が行われるためには、法律の根拠・授権が必要 |
行政法の一般原則