平成29年度(2017年度)過去問

平成29年・2017|問16|行政不服審査法

行政不服審査法の定める執行停止に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 処分庁の上級行政庁または処分庁のいずれでもない審査庁は、必要があると認めるときは、審査請求人の申立てによりまたは職権で、処分の効力、処分の執行または手続の続行の全部または一部の停止その他の措置をとることができる。
  2. 審査庁は、処分、処分の執行または手続の続行により生ずる重大な損害を避けるために緊急の必要があると認めるときは、審査請求人の申立てがなくとも、職権で執行停止をしなければならない。
  3. 審理員は、必要があると認める場合には、審査庁に対し、執行停止をすべき旨の意見書を提出することができ、意見書の提出があった場合、審査庁は、速やかに執行停止をしなければならない。
  4. 執行停止をした後において、執行停止が公共の福祉に重大な影響を及ぼすことが明らかとなったとき、その他事情が変更したときには、審査庁は、その執行停止を取り消すことができる。
  5. 処分庁の上級行政庁または処分庁が審査庁である場合には、処分の執行の停止によって目的を達することができる場合であっても、処分の効力の停止をすることができる。

>解答と解説はこちら


【答え】:4

【解説】

1.処分庁の上級行政庁または処分庁のいずれでもない審査庁は、必要があると認めるときは、審査請求人の申立てによりまたは職権で、処分の効力、処分の執行または手続の続行の全部または一部の停止その他の措置をとることができる。
1・・・誤り
処分庁の上級行政庁または処分庁のいずれでもない審査庁は、必要があると認める場合には、審査請求人の申立てにより、処分庁の意見を聴取した上、執行停止をすることができます。
ただし、処分の効力、処分の執行または手続の続行の全部または一部の停止以外の措置をとることはできません(行政不服審査法25条3項)。
分かりやすくいうと
処分庁の上級行政庁または処分庁のいずれでもない審査庁は、処分庁を指揮監督する権限はないので、「職権」で「執行停止」や「その他の措置」を行うことはできません
あくまでも、「申立てがあった場合」に限って、「執行停止」や「手続きの続行停止」などができるだけです。
関連ポイントについては、個別指導で解説いたします!
2.審査庁は、処分、処分の執行または手続の続行により生ずる重大な損害を避けるために緊急の必要があると認めるときは、審査請求人の申立てがなくとも、職権で執行停止をしなければならない。
2・・・誤り
審査請求人の申立てがあった場合において、処分、処分の執行または手続の続行により生ずる重大な損害を避けるために緊急の必要があると認めるときは、審査庁は、執行停止をしなければなりません(行政不服審査法25条4項)。
「処分、処分の執行または手続の続行により生ずる重大な損害を避けるために緊急の必要がある」場合でも、審査庁は申立てがなければ執行停止はできません。
審査請求人からの申立てがあった場合に限って、執行停止がしなければなりません。
3.審理員は、必要があると認める場合には、審査庁に対し、執行停止をすべき旨の意見書を提出することができ、意見書の提出があった場合、審査庁は、速やかに執行停止をしなければならない。
3・・・誤り
執行停止の申立てがあったとき、又は、審理員から執行停止をすべき旨の意見書の提出を受けたときは、審査庁は、速やかに、執行停止をするかどうかを決定しなければなりません(行政不服審査法25条7項)。
執行停止をするかどうかを決めるのは、審査庁で、必ずしも執行停止をしなければならない、わけではありません。
よって、誤りです。
4.執行停止をした後において、執行停止が公共の福祉に重大な影響を及ぼすことが明らかとなったとき、その他事情が変更したときには、審査庁は、その執行停止を取り消すことができる。
4・・・正しい
執行停止をした後において、執行停止が公共の福祉に重大な影響を及ぼすことが明らかとなったとき、その他事情が変更したときは、審査庁は、その執行停止を取り消すことができます行政不服審査法26条)。
5.処分庁の上級行政庁または処分庁が審査庁である場合には、処分の執行の停止によって目的を達することができる場合であっても、処分の効力の停止をすることができる。
5・・・誤り
処分の効力の停止は、処分の効力の停止以外の措置によって目的を達することができるときは、することができません(行政不服審査法25条6項)。
言い換えると、処分の効力の停止以外の措置によって目的を達することができるときは、その措置を行いなさい!ということです。この点は分かりづらいので、個別指導で分かりやすく解説します!

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平成29年度(2017年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:物権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 人権 問33 民法:債権
問4 経済的自由 問34 民法:債権
問5 内閣 問35 民法:親族
問6 財政 問36 商法
問7 憲法の概念 問37 会社法
問8 取消しと撤回 問38 会社法
問9 無効な行政行為 問39 会社法
問10 執行罰 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・社会
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識・政治
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 国家賠償法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・社会
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 地方自治法 問54 基礎知識・情報通信
問25 行政法の判例 問55 基礎知識・その他
問26 行政不服審査法 問56 基礎知識・情報通信
問27 民法:総則 問57 基礎知識・個人情報保護
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:総則 問60 著作権の関係上省略

平成29年・2017|問17|行政事件訴訟法

許認可の申請拒否処分の取消訴訟に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。

  1. 申請拒否処分の取消訴訟には、申請された許認可を命ずることを求める義務付け訴訟を併合提起できるが、当該申請拒否処分の取消訴訟のみを単独で提起することも許される。
  2. 申請拒否処分の取消訴訟を提起した者は、終局判決の確定まで、申請された許認可の効果を仮に発生させるため、当該申請拒否処分の効力の停止を申し立てることができる。
  3. 申請拒否処分の取消訴訟については、出訴期間の制限はなく、申請を拒否された者は、申請された許認可がなされない限り、当該申請拒否処分の取消訴訟を提起できる。
  4. 申請拒否処分の取消訴訟の係属中に当該申請拒否処分が職権で取り消され、許認可がなされた場合には、当該取消訴訟は訴えの利益を失い、請求は棄却されることとなる。
  5. 申請拒否処分の取消訴訟において、当該申請拒否処分の取消しの判決が確定した場合には、その判決の理由のいかんにかかわらず、処分庁は、再度、申請拒否処分をすることは許されない。

>解答と解説はこちら


【答え】:1

【解説】

1.申請拒否処分の取消訴訟には、申請された許認可を命ずることを求める義務付け訴訟を併合提起できるが、当該申請拒否処分の取消訴訟のみを単独で提起することも許される。
1・・・正しい
申請型義務付けの訴えを提起するときは、「取消訴訟又は無効等確認の訴え」をその義務付けの訴えに併合して提起しなければなりません(行政事件訴訟法37条の3の3項2号)
これは、義務付け訴訟を行う場合、併合提起してください!ということで
単独で取消訴訟を提起することは可能です(行政事件訴訟法3条2項)。
2.申請拒否処分の取消訴訟を提起した者は、終局判決の確定まで、申請された許認可の効果を仮に発生させるため、当該申請拒否処分の効力の停止を申し立てることができる。
2・・・誤り
処分の取消しの訴え(処分の取消訴訟)の提起があった場合において、処分、処分の執行又は手続の続行により生ずる重大な損害を避けるため緊急の必要があるときは、裁判所は、申立てにより、決定をもって、「処分の効力」、「処分の執行又は手続の続行」の全部又は一部の停止(「執行停止)をすることができます(行政事件訴訟法25条2項)。
あくまでも、取消訴訟の執行停止は、「処分の効力」、「処分の執行又は手続の続行」を「停止」させるものです。
「許認可の効果を仮に発生させる」ことはできません。
3.申請拒否処分の取消訴訟については、出訴期間の制限はなく、申請を拒否された者は、申請された許認可がなされない限り、当該申請拒否処分の取消訴訟を提起できる。
3・・・誤り
取消訴訟は、処分又は裁決があったことを知った日から6か月を経過したときは、原則、提起することができません(行政事件訴訟法14条)。
したがって、「出訴期間の制限なく」という記述は誤りです。

対比ポイントについては、個別指導で解説します!

4.申請拒否処分の取消訴訟の係属中に当該申請拒否処分が職権で取り消され、許認可がなされた場合には、当該取消訴訟は訴えの利益を失い、請求は棄却されることとなる。
4・・・誤り
拒否処分の取消訴訟の係属中に当該申請拒否処分が職権で取り消され、許認可がなされた場合には、当該訴訟は訴えの利益を失います
そのため、訴訟要件を満たさなくなり却下されます。
5.申請拒否処分の取消訴訟において、当該申請拒否処分の取消しの判決が確定した場合には、その判決の理由のいかんにかかわらず、処分庁は、再度、申請拒否処分をすることは許されない。
5・・・誤り
処分又は裁決を取り消す判決は、その事件について、処分又は裁決をした行政庁その他の関係行政庁を拘束します(行政事件訴訟法33条1項)。
つまり、取消判決があると、行政庁には、その判決の趣旨に従って行動しなければなりません。これは、同一事情の下では同一理由に基づく同一処分をすることができなくなることを指し
別の理由によって、同一処分をすることはできます。
したがって、本肢の場合、別の理由に基づいて、処分庁は、再度、申請拒否処分をすることは許されるので誤りです。

この辺りはきちんと理解すれば、簡単な内容ですね!

これくらいは理解して、当然と思えるくらいにしておきましょう!

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平成29年度(2017年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:物権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 人権 問33 民法:債権
問4 経済的自由 問34 民法:債権
問5 内閣 問35 民法:親族
問6 財政 問36 商法
問7 憲法の概念 問37 会社法
問8 取消しと撤回 問38 会社法
問9 無効な行政行為 問39 会社法
問10 執行罰 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・社会
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識・政治
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 国家賠償法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・社会
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 地方自治法 問54 基礎知識・情報通信
問25 行政法の判例 問55 基礎知識・その他
問26 行政不服審査法 問56 基礎知識・情報通信
問27 民法:総則 問57 基礎知識・個人情報保護
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:総則 問60 著作権の関係上省略

平成29年・2017|問15|行政不服審査法

行政不服審査法の定める審査請求人に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 法人でない社団であっても、代表者の定めがあるものは、当該社団の名で審査請求をすることができる。
  2. 審査請求人は、国の機関が行う処分について処分庁に上級行政庁が存在しない場合、特別の定めがない限り、行政不服審査会に審査請求をすることができる。
  3. 審査請求人は、処分庁が提出した反論書に記載された事項について、弁明書を提出することができる。
  4. 審査請求人の代理人は、特別の委任がなくても、審査請求人に代わって審査請求の取下げをすることができる。
  5. 共同審査請求人の総代は、他の共同審査請求人のために、審査請求の取下げを含め、当該審査請求に関する一切の行為をすることができる。

>解答と解説はこちら


【答え】:1

【解説】

1.法人でない社団であっても、代表者の定めがあるものは、当該社団の名で審査請求をすることができる。
1・・・正しい
法人でない社団で代表者の定めがあるものは、当該社団の名で審査請求をすることができます行政不服審査法10条)。
例えば、町内会や、マンション管理組合は、代表者が定まっていれば、社団の名前(〇〇町内会、××管理組合)で、審査請求ができます。
2.審査請求人は、国の機関が行う処分について処分庁に上級行政庁が存在しない場合、特別の定めがない限り、行政不服審査会に審査請求をすることができる。
2・・・誤り
処分庁に上級行政庁がない場合の審査請求は、当該「処分庁」に対して行うことになります(行政不服審査法4条1号)。
本肢は「行政不服審査会」が誤りです。
正しくは「当該処分庁」です。上級行政庁とは、処分庁を指揮監督する権限を有する行政庁を指します。
例えば、「税務署長」の上級行政庁は「国税局長」です。
3.審査請求人は、処分庁が提出した反論書に記載された事項について、弁明書を提出することができる。
3・・・誤り
処分庁が審理員に提出するのが弁明書です(行政不服審査法29条2項)
一方、
審査請求人が提出することができるのが反論書です(行政不服審査法第30条1項)。
処分庁の弁明に対して、審査請求人が反論するという流れです。
正しくは、審査請求人は、処分庁が提出した弁明書に記載された事項について、反論書を提出することができる。
4.審査請求人の代理人は、特別の委任がなくても、審査請求人に代わって審査請求の取下げをすることができる。
4・・・誤り
審査請求人の代理人は、各自、審査請求人のために、当該審査請求に関する一切の行為をすることができます。ただし、審査請求の取下げは、特別の委任を受けた場合に限り、することができます行政不服審査法12条2項)。
本肢は、「特別の委任がなくても、審査請求人に代わって審査請求の取下げをすることができる」というのは誤りです。

本肢は、対比して勉強していただき部分なので、個別指導で対比部分を解説いたします!

5.共同審査請求人の総代は、他の共同審査請求人のために、審査請求の取下げを含め、当該審査請求に関する一切の行為をすることができる。
5・・・誤り
総代は、各自、他の共同審査請求人のために、審査請求の取下げを除き、当該審査請求に関する一切の行為をすることができます行政不服審査法11条3項)。
本肢は、「審査請求の取下げを含め」が誤りです。
「審査請求の取下げを含めず」であれば、正しいです。

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平成29年度(2017年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:物権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 人権 問33 民法:債権
問4 経済的自由 問34 民法:債権
問5 内閣 問35 民法:親族
問6 財政 問36 商法
問7 憲法の概念 問37 会社法
問8 取消しと撤回 問38 会社法
問9 無効な行政行為 問39 会社法
問10 執行罰 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・社会
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識・政治
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 国家賠償法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・社会
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 地方自治法 問54 基礎知識・情報通信
問25 行政法の判例 問55 基礎知識・その他
問26 行政不服審査法 問56 基礎知識・情報通信
問27 民法:総則 問57 基礎知識・個人情報保護
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:総則 問60 著作権の関係上省略

平成29年・2017|問14|行政不服審査法

行政不服審査法の定める審査請求の対象に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 全ての行政庁の処分は、行政不服審査法または個別の法律に特別の定めがない限り、行政不服審査法に基づく審査請求の対象となる。
  2. 地方公共団体の機関がする処分(その根拠となる規定が条例または規則に置かれているものに限る。)についての審査請求には、当該地方公共団体の定める行政不服審査条例が適用され、行政不服審査法は適用されない。
  3. 地方公共団体は、自己に対する処分でその固有の資格において処分の相手方となるものに不服がある場合、行政不服審査法に基づく審査請求をした後でなければ当該処分の取消訴訟を提起することができない。
  4. 行政指導の相手方は、当該行政指導が違法だと思料するときは、行政不服審査法に基づく審査請求によって当該行政指導の中止を求めることができる。
  5. 個別の法律により再調査の請求の対象とされている処分は、行政不服審査法に基づく審査請求の対象とはならない。

>解答と解説はこちら


【答え】:1

【解説】

1.全ての行政庁の処分は、行政不服審査法または個別の法律に特別の定めがない限り、行政不服審査法に基づく審査請求の対象となる。
1・・・正しい
行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為に関する不服申立てについては、他の法律に定めがある場合を除くほか、この法律に定めるところによります(行政不服審査法1条2項)。
これを言い換えると、行政庁の処分等に対する不服審査について、
個別の法律で定めがあれば、その法律の手続きに従い
個別の法律で定めがなければ、この行政不服審査法で定める手続きに従う
ということです。
2.地方公共団体の機関がする処分(その根拠となる規定が条例または規則に置かれているものに限る。)についての審査請求には、当該地方公共団体の定める行政不服審査条例が適用され、行政不服審査法は適用されない。
2・・・誤り
行政手続法では、
地方公共団体の機関がする処分(根拠規定が条例又は規則に置かれているものに限る。)及び行政指導、地方公共団体の機関に対する届出(根拠規定が条例又は規則に置かれているものに限る。)並びに地方公共団体の機関が命令等を定める行為については、行政手続法の一部を適用しないというルールがあります(行政手続法3条3項)。しかし、行政不服審査法にはそのようなルールはありません。
したがって、地方公共団体の機関がする処分についても、不服審査法の適用はあります。
3.地方公共団体は、自己に対する処分でその固有の資格において処分の相手方となるものに不服がある場合、行政不服審査法に基づく審査請求をした後でなければ当該処分の取消訴訟を提起することができない。
3・・・誤り
国の機関又は地方公共団体その他の公共団体若しくはその機関に対する処分で、これらの機関又は団体がその固有の資格において、当該処分の相手方となるもの及びその不作為については、行政不服審査法は適用しません(行政不服審査法7条2項)。
よって、地方公共団体が固有の資格で受ける処分(地方公共団体自身が受ける処分)については、地方公共団体は審査請求はできません
したがって、「行政不服審査法に基づく審査請求をした後でなければ」という記述が誤りです。
4.行政指導の相手方は、当該行政指導が違法だと思料するときは、行政不服審査法に基づく審査請求によって当該行政指導の中止を求めることができる。
4・・・誤り
行政手続法では
法令に違反する行為の是正を求める行政指導(その根拠となる規定が法律に置かれているものに限る。)の相手方は、当該行政指導が当該法律に規定する要件に適合しないと思料するときは、当該行政指導をした行政機関に対し、その旨を申し出て、当該行政指導の中止その他必要な措置をとることを求めることができます(行政手続法36条の2第1項)。一方、
行政不服審査法には、このようなルールはありません。
つまり、「審査請求によって」行政指導の中止を求めることはできません。
そもそも、行政指導「行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為」に該当しません
5.個別の法律により再調査の請求の対象とされている処分は、行政不服審査法に基づく審査請求の対象とはならない。
5・・・誤り
個別の法律により再調査の請求の対象とされている処分は、行政不服審査法に基づく審査請求の対象です。

行政庁の処分につき、処分庁以外の行政庁に対して審査請求をすることができる場合において、
法律に再調査の請求をすることができる旨の定めがあるときは、当該処分に不服がある者は、処分庁に対して再調査の請求をすることができます(行政不服審査法5条)。

つまり、再調査請求の対象とされている処分がなされた場合、
審査請求もしくは、再調査請求を選んで、行う形となります。

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平成29年度(2017年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:物権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 人権 問33 民法:債権
問4 経済的自由 問34 民法:債権
問5 内閣 問35 民法:親族
問6 財政 問36 商法
問7 憲法の概念 問37 会社法
問8 取消しと撤回 問38 会社法
問9 無効な行政行為 問39 会社法
問10 執行罰 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・社会
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識・政治
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 国家賠償法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・社会
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 地方自治法 問54 基礎知識・情報通信
問25 行政法の判例 問55 基礎知識・その他
問26 行政不服審査法 問56 基礎知識・情報通信
問27 民法:総則 問57 基礎知識・個人情報保護
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:総則 問60 著作権の関係上省略

平成29年・2017|問13|行政手続法

行政手続法の定める聴聞に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。なお、調書は、聴聞の審理の経過を記載した書面であり、報告書は、不利益処分の原因となる事実に対する当事者等の主張に理由があるかどうかについての意見を記載した書面である。

  1. 聴聞の主宰者は、調書を作成し、当該調書において、不利益処分の原因となる事実に対する当事者および参加人の陳述の要旨を明らかにしておかなければならない。
  2. 聴聞の主宰者は、聴聞の終結後、速やかに報告書を作成し、調書とともに行政庁に提出しなければならない。
  3. 聴聞の当事者または参加人は、聴聞の主宰者によって作成された調書および報告書の閲覧を求めることができる。
  4. 聴聞の終結後、聴聞の主宰者から調書および報告書が提出されたときは、行政庁は、聴聞の再開を命ずることはできない。
  5. 行政庁は、不利益処分の決定をするときは、調書の内容および報告書に記載された聴聞の主宰者の意見を十分に参酌してこれをしなければならない。

>解答と解説はこちら


【答え】:4

【解説】

1.聴聞の主宰者は、調書を作成し、当該調書において、不利益処分の原因となる事実に対する当事者および参加人の陳述の要旨を明らかにしておかなければならない。
1・・・正しい
聴聞の主宰者は、聴聞の審理の経過を記載した調書を作成し、当該調書において、不利益処分の原因となる事実に対する当事者及び参加人の陳述の要旨を明らかにしておかなければなりません(行政手続法24条1項)。
よって正しいです。

行政手続法24条の詳細解説はこちら>>

2.聴聞の主宰者は、聴聞の終結後、速やかに報告書を作成し、調書とともに行政庁に提出しなければならない。
2・・・正しい
聴聞の主宰者は、聴聞の終結後速やかに、不利益処分の原因となる事実に対する当事者等の主張に理由があるかどうかについての意見を記載した報告書を作成し、聴聞調書とともに行政庁に提出しなければなりません(行政手続法24条3項)。
よって正しいです。
聴聞については、流れが大切なので、個別指導では、聴聞の流れについても解説しております!
3.聴聞の当事者または参加人は、聴聞の主宰者によって作成された調書および報告書の閲覧を求めることができる。
3・・・正しい
聴聞の当事者又は参加人は、聴聞調書及び報告書の閲覧を求めることができます(行政手続法24条4項)。
よって正しいです。
この辺りはしっかり覚えておきましょう!
4.聴聞の終結後、聴聞の主宰者から調書および報告書が提出されたときは、行政庁は、聴聞の再開を命ずることはできない。
4・・・誤り
行政庁は、聴聞の終結後に生じた事情にかんがみ必要があると認めるときは、聴聞の主宰者に対し、提出された報告書を返戻して聴聞の再開を命ずることができます(行政手続法25条)。
したがって本肢は誤りです。

具体例については、個別指導で解説します!

行政手続法25条の詳細解説はこちら>>

5.行政庁は、不利益処分の決定をするときは、調書の内容および報告書に記載された聴聞の主宰者の意見を十分に参酌してこれをしなければならない。
5・・・正しい
行政庁は、不利益処分の決定をするときは、聴聞調書の内容及び報告書に記載された主宰者の意見を十分に参酌してこれをしなければなりません(行政手続法26条)。
よって正しいです。

行政手続法26条の詳細解説はこちら>>

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平成29年度(2017年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:物権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 人権 問33 民法:債権
問4 経済的自由 問34 民法:債権
問5 内閣 問35 民法:親族
問6 財政 問36 商法
問7 憲法の概念 問37 会社法
問8 取消しと撤回 問38 会社法
問9 無効な行政行為 問39 会社法
問10 執行罰 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・社会
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識・政治
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 国家賠償法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・社会
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 地方自治法 問54 基礎知識・情報通信
問25 行政法の判例 問55 基礎知識・その他
問26 行政不服審査法 問56 基礎知識・情報通信
問27 民法:総則 問57 基礎知識・個人情報保護
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:総則 問60 著作権の関係上省略

平成29年・2017|問11|行政手続法

次の文章は、行政手続法1条1項の条文である。空欄[ ア ]~[ オ ]に当てはまる語句の組合せとして、正しいものはどれか。

第1条 この法律は、[ ア ]、行政指導及び[ イ ]に関する手続並びに[ ウ ]等を定める手続に関し、共通する事項を定めることによって、行政運営における[ エ ]の確保と透明性(略)の向上を図り、もって[ オ ]に資することを目的とする。

  1. ア:行政行為 イ:届出 ウ:行政計画 エ:迅速性 オ:国民の権利利益の保護
  2. ア:処分 イ:公証 ウ:行政契約 エ:効率性 オ:行政の適正な運営
  3. ア:行政行為 イ:公証 ウ:命令 エ:公正 オ:国民の権利利益の保護
  4. ア:行政行為 イ:通知 ウ:行政計画 エ:効率性 オ:行政の適正な運営
  5. ア:処分 イ:届出 ウ:命令 エ:公正 オ:国民の権利利益の保護

>解答と解説はこちら


【答え】:5

【解説】

行政手続法1条の「行政手続法の目的」については
覚えておく必要があります。
本肢のア~オはそれぞれ、キーワードなので、これらは覚えておく必要があります。

行政手続法第1条(目的等)
この法律は、処分、行政指導及び届出に関する手続並びに命令等を定める手続に関し、共通する事項を定めることによって、行政運営における公正の確保と透明性(行政上の意思決定について、その内容及び過程が国民にとって明らかであることをいう。第46条において同じ。)の向上を図り、もって国民の権利利益の保護に資することを目的とする。

第1条 この法律は、[ ア:処分 ]、行政指導及び[ イ:届出 ]に関する手続並びに[ ウ:命令 ]等を定める手続に関し、共通する事項を定めることによって、行政運営における[ エ:公正 ]の確保と透明性(略)の向上を図り、もって[ オ:国民の権利利益の保護 ]に資することを目的とする。

行政手続法1条の詳細解説はこちら>>

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平成29年度(2017年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:物権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 人権 問33 民法:債権
問4 経済的自由 問34 民法:債権
問5 内閣 問35 民法:親族
問6 財政 問36 商法
問7 憲法の概念 問37 会社法
問8 取消しと撤回 問38 会社法
問9 無効な行政行為 問39 会社法
問10 執行罰 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・社会
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識・政治
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 国家賠償法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・社会
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 地方自治法 問54 基礎知識・情報通信
問25 行政法の判例 問55 基礎知識・その他
問26 行政不服審査法 問56 基礎知識・情報通信
問27 民法:総則 問57 基礎知識・個人情報保護
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:総則 問60 著作権の関係上省略

平成29年・2017|問12|行政手続法

処分理由の提示に関する次の記述のうち、法令および最高裁判所の判例に照らし、妥当なものはどれか。

  1. 行政手続法が、不利益処分をする場合に同時にその理由を名宛人に示さなければならないとしているのは、名宛人に直接義務を課し、またはその権利を制限するという同処分の性質にかんがみたものであるから、行政手続法には、申請に対する拒否処分に関する理由の提示の定めはない。
  2. 一級建築士免許取消処分をするに際し、行政庁が行政手続法に基づいて提示した理由が不十分であったとしても、行政手続法には理由の提示が不十分であった場合の処分の効果に関する規定は置かれていないから、その違法により裁判所は当該処分を取り消すことはできない。
  3. 行政手続法は、不利益処分をする場合にはその名宛人に対し同時に当該不利益処分の理由を示さなければならないと定める一方、「当該理由を示さないで処分をすべき差し迫った必要がある場合はこの限りでない。」としている。
  4. 青色申告について行政庁が行った更正処分における理由附記の不備という違法は、同処分に対する審査裁決において処分理由が明らかにされた場合には、治癒され、更正処分の取消事由とはならない。
  5. 情報公開条例に基づく公文書の非公開決定において、行政庁がその処分理由を通知している場合に、通知書に理由を附記した以上、行政庁が当該理由以外の理由を非公開決定処分の取消訴訟において主張することは許されない。

>解答と解説はこちら


【答え】:3

【解説】

1.行政手続法が、不利益処分をする場合に同時にその理由を名宛人に示さなければならないとしているのは、名宛人に直接義務を課し、またはその権利を制限するという同処分の性質にかんがみたものであるから、行政手続法には、申請に対する拒否処分に関する理由の提示の定めはない。
1・・・妥当ではない
行政庁は、不利益処分をする場合には、その名あて人に対し、同時に、当該不利益処分の理由を示さなければなりません行政手続法14条1項)。
これは、名宛人(処分を受ける者)に直接義務を課し、またはその権利を制限するという性質を考慮してのルールです。したがって、この部分は妥当です。しかし、申請に対する拒否の部分が妥当ではありません。
行政庁は、申請により求められた許認可等を拒否する処分(申請に対する拒否処分)をする場合は、申請者に対し、同時に、当該処分の理由を示さなければなりません行政手続法8条1項)。
つまり、申請に対する拒否処分に関しても、理由提示の定めがあるので、妥当ではありません

行政手続法8条の詳細解説はこちら>>

行政手続法14条の詳細解説はこちら>>

2.一級建築士免許取消処分をするに際し、行政庁が行政手続法に基づいて提示した理由が不十分であったとしても、行政手続法には理由の提示が不十分であった場合の処分の効果に関する規定は置かれていないから、その違法により裁判所は当該処分を取り消すことはできない。
2・・・妥当ではない
「一級建築士免許取消処分」は、不利益処分です。そして、判例では、一級建築士の免許取消処分において、行政庁が提示した理由が不十分として、その取消処分は違法とし、さらに取り消されています(最判平23.6.7)。
3.行政手続法は、不利益処分をする場合にはその名宛人に対し同時に当該不利益処分の理由を示さなければならないと定める一方、「当該理由を示さないで処分をすべき差し迫った必要がある場合はこの限りでない。」としている。
3・・・妥当
行政手続法14条には「行政庁は、不利益処分をする場合には、その名あて人に対し、同時に、当該不利益処分の理由を示さなければならない。ただし、当該理由を示さないで処分をすべき差し迫った必要がある場合は、この限りでない。」と規定されています。
4.青色申告について行政庁が行った更正処分における理由附記の不備という違法は、同処分に対する審査裁決において処分理由が明らかにされた場合には、治癒され、更正処分の取消事由とはならない。
4・・・妥当ではない
判例では、「更正における付記理由不備の瑕疵は、後日これに対する審査裁決において処分の具体的根拠が明らかにされたとしても、それにより治癒されるものではない」と判示しています(最判昭47.12.5:理由付記の不備と瑕疵の治癒)。
簡単に言えば、更正をする際に、理由をきちんと書いていなかった場合、後日審査裁決の時にきちんとした処分理由を明らかにしても、ダメですよ!ということです。
5.情報公開条例に基づく公文書の非公開決定において、行政庁がその処分理由を通知している場合に、通知書に理由を附記した以上、行政庁が当該理由以外の理由を非公開決定処分の取消訴訟において主張することは許されない。
5・・・妥当ではない
判例では、「一たび通知書に理由を付記した以上、実施機関が当該理由以外の理由を非公開決定処分の取消訴訟において主張することを許さないものとする趣旨をも含むと解すべき根拠はない」と判示しています。(最判平11.11.19:公文書の非公開決定における理由の差替え)。
分かりやすく言えば、「○○」という理由で公文書の非公開決定処分をした後で、その処分の取消訴訟で「××」という別の理由で非公開にしたと主張してもよいということです。

これも事案も一緒に勉強したほうが良いでしょう!

また、問題文の理解判決文の理解も重要です!

個別指導では、事案・問題文の理解、判決文の理解も一緒に解説しております!

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平成29年度(2017年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:物権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 人権 問33 民法:債権
問4 経済的自由 問34 民法:債権
問5 内閣 問35 民法:親族
問6 財政 問36 商法
問7 憲法の概念 問37 会社法
問8 取消しと撤回 問38 会社法
問9 無効な行政行為 問39 会社法
問10 執行罰 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・社会
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識・政治
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 国家賠償法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・社会
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 地方自治法 問54 基礎知識・情報通信
問25 行政法の判例 問55 基礎知識・その他
問26 行政不服審査法 問56 基礎知識・情報通信
問27 民法:総則 問57 基礎知識・個人情報保護
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:総則 問60 著作権の関係上省略

平成29年・2017|問10|行政法・執行罰

執行罰に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。

  1. 執行罰とは、行政上の義務の不履行について、罰金を科すことにより、義務の履行を促す制度であり、行政上の強制執行の一類型とされる。
  2. 執行罰は、行政上の義務の履行確保のために科されるものであるが、行政機関の申立てにより、非訟事件手続法の定める手続に従って、裁判所の決定によって科される。
  3. 執行罰は、刑罰ではないため、二重処罰の禁止の原則の適用はなく、同一の義務の不履行について、これを複数回にわたり科すことも認められる。
  4. 執行罰については、それを認める一般法は存在せず、これを認める個別の法令の定めが必要であるが、行政代執行法は、執行罰の規定を条例で定めることも明文で許容している。
  5. 執行罰は、多くの法令において、各種の届出義務などの軽微な手続上の義務への違反に科されることとされている。

>解答と解説はこちら


【答え】:3

【解説】

1.執行罰とは、行政上の義務の不履行について、罰金を科すことにより、義務の履行を促す制度であり、行政上の強制執行の一類型とされる。
1・・・妥当ではない
執行罰とは、義務の不履行に対して、過料を課すことを予告し、その予告によって、義務者に心理的圧迫を加えて間接的に義務の履行を強制することを言います。「罰」という漢字が含まれていますが、「罰」ではありません。
もし、義務を履行すれば、過料を取られることはないからです。
ただし、義務を履行しないと、何度も「過料」を科されることがあるので注意が必要です。つまり、「罰金を科す」が妥当ではありません。
「過料を科す」であれば妥当です。
2.執行罰は、行政上の義務の履行確保のために科されるものであるが、行政機関の申立てにより、非訟事件手続法の定める手続に従って、裁判所の決定によって科される。
2・・・妥当ではない
執行罰を科すのに、行政機関の申立ては不要です。
執行罰は、行政上の義務の履行確保のために科されるものです。非訟事件手続法には従いません。
一方、「秩序罰」は、非訟事件手続法の定める手続に従って、裁判所の決定によって科されます。
これは、執行罰と秩序罰の違いは?非訟事件手続法とは何か?

個別指導で解説します。

3.執行罰は、刑罰ではないため、二重処罰の禁止の原則の適用はなく、同一の義務の不履行について、これを複数回にわたり科すことも認められる。
3・・・妥当
執行罰は、刑罰ではないため、二重処罰の禁止の原則の適用はありません。
したがって、選択肢1の解説の通り、義務を履行しないと、何度も「過料」を科されることがあります。
よって、本肢は妥当です。
4.執行罰については、それを認める一般法は存在せず、これを認める個別の法令の定めが必要であるが、行政代執行法は、執行罰の規定を条例で定めることも明文で許容している。
4・・・妥当ではない
行政上の義務の履行確保(代執行・執行罰・直接強制・行政上の強制徴収)に関しては、別に法律で定めるものを除いては、この法律で定めます(行政代執行法1条)。
上記の通り、執行罰に関する規定は「法律」で定める必要があり「条例」で定めることはできません
5.執行罰は、多くの法令において、各種の届出義務などの軽微な手続上の義務への違反に科されることとされている。
5・・・妥当ではない
各種の届出義務などの軽微な手続上の義務への違反に科されるものは「秩序罰」です。
執行罰は、砂防法36条のみです。

砂防法36条
私人においてこの法律もしくはこの法律に基づいて発する命令による義務を怠るときは、国土交通大臣もしくは都道府県知事は一定の期限をしめし、もし期限内に履行しないとき、もしくは、履行が不十分なときは500円以内において指定する過料に処することを予告して、履行を命ずることができる。

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平成29年度(2017年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:物権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 人権 問33 民法:債権
問4 経済的自由 問34 民法:債権
問5 内閣 問35 民法:親族
問6 財政 問36 商法
問7 憲法の概念 問37 会社法
問8 取消しと撤回 問38 会社法
問9 無効な行政行為 問39 会社法
問10 執行罰 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・社会
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識・政治
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 国家賠償法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・社会
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 地方自治法 問54 基礎知識・情報通信
問25 行政法の判例 問55 基礎知識・その他
問26 行政不服審査法 問56 基礎知識・情報通信
問27 民法:総則 問57 基礎知識・個人情報保護
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:総則 問60 著作権の関係上省略

平成29年・2017|問5|憲法・内閣

内閣に関する次の記述のうち、憲法の規定に照らし、妥当なものはどれか。

  1. 内閣総理大臣は、国会の同意を得て国務大臣を任命するが、その過半数は国会議員でなければならない。
  2. 憲法は明文で、閣議により内閣が職務を行うべきことを定めているが、閣議の意思決定方法については規定しておらず、慣例により全員一致で閣議決定が行われてきた。
  3. 内閣の円滑な職務遂行を保障するために、憲法は明文で、国務大臣はその在任中逮捕されず、また在任中は内閣総理大臣の同意がなければ訴追されない、と規定した。
  4. 法律および政令には、その執行責任を明確にするため、全て主任の国務大臣が署名し、内閣総理大臣が連署することを必要とする。
  5. 内閣の存立は衆議院の信任に依存するので、内閣は行政権の行使について、参議院に対しては連帯責任を負わない。

>解答と解説はこちら


【答え】: 4

【解説】

1.内閣総理大臣は、国会の同意を得て国務大臣を任命するが、その過半数は国会議員でなければならない。
1・・・妥当ではない
内閣総理大臣は、国務大臣を任命します(憲法68条1項)。
ただし、国務大臣の過半数は、国会議員の中から選ばれなければなりません(憲法68条1項但し書き)。
つまり、本肢のような「国会の同意」は不要です。
2.憲法は明文で、閣議により内閣が職務を行うべきことを定めているが、閣議の意思決定方法については規定しておらず、慣例により全員一致で閣議決定が行われてきた。
2・・・妥当ではない
憲法には、「閣議」についての規定はありません
閣議により内閣が職務を行うべきことは、内閣法4条で定めています。
また、閣議の意思決定方法については規定しておらず慣例により全員一致で閣議決定が行われています。
3.内閣の円滑な職務遂行を保障するために、憲法は明文で、国務大臣はその在任中逮捕されず、また在任中は内閣総理大臣の同意がなければ訴追されない、と規定した。
3・・・妥当ではない
国務大臣は、その在任中内閣総理大臣の同意がなければ、訴追されません。ただし、在任期間が切れると、訴追されます(=訴追の権利は、害されない)(憲法75条)。
その点は、妥当です。しかし、「国務大臣はその在任中逮捕されず」という記述は妥当ではありません。

似たようなルールが憲法50条で規定されています。

国会議員は原則として国会の会期中逮捕されず、会期前に逮捕された議員は、その議院の要求があれば、会期中これを釈放しなければならないという特権があります(憲法50条)。

この2つとひっかける問題です。

国務大臣は過半数が国会議員であればよいので、国会議員でない可能性もあります。
そのため、「国務大臣はその在任中逮捕されず」という記述は妥当ではありません。

4.法律および政令には、その執行責任を明確にするため、全て主任の国務大臣が署名し、内閣総理大臣が連署することを必要とする。
4・・・妥当
法律及び政令には、すべて主任の国務大臣が署名し、内閣総理大臣が連署することを必要とします(憲法74条)。
したがって、妥当です。
5.内閣の存立は衆議院の信任に依存するので、内閣は行政権の行使について、参議院に対しては連帯責任を負わない。
5・・・妥当ではない
内閣は、行政権の行使について、国会(衆議院と参議院の両方)に対し連帯して責任を負います(憲法66条3項)。
したがって、「内閣は、参議院に対しては連帯責任を負わない」という記述は妥当ではありません。

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平成29年度(2017年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:物権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 人権 問33 民法:債権
問4 経済的自由 問34 民法:債権
問5 内閣 問35 民法:親族
問6 財政 問36 商法
問7 憲法の概念 問37 会社法
問8 取消しと撤回 問38 会社法
問9 無効な行政行為 問39 会社法
問10 執行罰 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・社会
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識・政治
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 国家賠償法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・社会
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 地方自治法 問54 基礎知識・情報通信
問25 行政法の判例 問55 基礎知識・その他
問26 行政不服審査法 問56 基礎知識・情報通信
問27 民法:総則 問57 基礎知識・個人情報保護
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:総則 問60 著作権の関係上省略

平成29年・2017|問9|行政法・無効な行政行為

無効の行政行為に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。

  1. 無効の行政行為については、それを争う訴訟として無効確認訴訟が法定されており、その無効を実質的当事者訴訟や民事訴訟において主張することは許されない。
  2. 無効の行政行為については、それを取り消すことはできないから、たとえ出訴期間内であっても、それに対して提起された取消訴訟は不適法とされる。
  3. 無効の行政行為については、当該処分の取消訴訟について、個別法に審査請求前置が規定されていても、直ちに無効確認訴訟を提起することが許される。
  4. 無効の行政行為については、客観的に効力が認められないのであるから、その無効を主張する者は、何人でも、無効確認訴訟を提起して、これを争うことができる。
  5. 無効の行政行為については、その執行は認められず、これを何人も無視できるから、無効確認訴訟には、仮の救済のための執行停止制度の準用はなされていない。

>解答と解説はこちら


【答え】:3

【解説】

1.無効の行政行為については、それを争う訴訟として無効確認訴訟が法定されており、その無効を実質的当事者訴訟や民事訴訟において主張することは許されない。
1・・・妥当ではない
無効の行政行為を争う場合、「無効確認訴訟」で争ってもよいですが、
処分の無効を前提として「当事者訴訟」や「民事訴訟(争点訴訟)」で争うことも可能です。
したがって、本肢は誤りです。
この問題は理解しないと本試験で得点できない部分なので、個別指導で解説します!
2.無効の行政行為については、それを取り消すことはできないから、たとえ出訴期間内であっても、それに対して提起された取消訴訟は不適法とされる。
2・・・妥当ではない
無効な行政行為について、取消訴訟で争うことも可能です。
ただし、その場合、出訴期間内に訴えを提起する必要があります。
つまり、無効な行政行為について、出訴期間内に取消訴訟をすることは適法です。
したがって、本肢は妥当ではありません。
3.無効の行政行為については、当該処分の取消訴訟について、個別法に審査請求前置が規定されていても、直ちに無効確認訴訟を提起することが許される。
3・・・妥当
審査請求前置主義が個別法で規定されている場合であったとしても、無効な行為については、初めから効力は発生しないので、審査請求をせずに、直ちに無効確認訴訟を提起することができます。
4.無効の行政行為については、客観的に効力が認められないのであるから、その無効を主張する者は、何人でも、無効確認訴訟を提起して、これを争うことができる。
4・・・妥当ではない
無効確認訴訟については、誰でも訴訟できるわけではありません。
原告適格である必要があります。
予防的無効確認の訴え」の場合、「処分や裁決に続く処分によって損害を受ける恐れのある者
補充的無効確認の訴え」の場合、「処分や裁決の無効確認を求めるにつき法律上の利益を有している者」に限られます。
5.無効の行政行為については、その執行は認められず、これを何人も無視できるから、無効確認訴訟には、仮の救済のための執行停止制度の準用はなされていない。
5・・・妥当ではない
執行停止についても、無効等確認訴訟に準用されています(行政事件訴訟法第38条3項)。
そもそも、無効な行為とは、処分に重大かつ明白な瑕疵がある場合です。
これは、訴訟提起して争って初めて、裁判所が判断する内容なので、判決が出るまで分かりません。
したがって、仮の救済のための執行停止制度は、取消訴訟の場合と同様必要です。

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平成29年度(2017年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:物権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 人権 問33 民法:債権
問4 経済的自由 問34 民法:債権
問5 内閣 問35 民法:親族
問6 財政 問36 商法
問7 憲法の概念 問37 会社法
問8 取消しと撤回 問38 会社法
問9 無効な行政行為 問39 会社法
問10 執行罰 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行政不服審査法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・社会
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識・政治
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・経済
問21 国家賠償法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・社会
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 地方自治法 問54 基礎知識・情報通信
問25 行政法の判例 問55 基礎知識・その他
問26 行政不服審査法 問56 基礎知識・情報通信
問27 民法:総則 問57 基礎知識・個人情報保護
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:総則 問60 著作権の関係上省略