令和7年度の行政書士試験対策の個別指導開講

不法行為

不法行為とは?

「不法行為」とは、故意(わざと)または過失(不注意)により他人の身体や物等に対して、違法な行為によって損害を与えることを言います。

例えば、AがB所有の建物を放火して建物を燃やしてしまった場合、不法行為をしたAは、被害者Bに対して損害賠償をしなければなりません。

一般不法行為の成立要件

一般不法行為の成立要件は、下記を全て満たす場合です(民法709条)。

  1. 加害者に故意・過失がある
  2. 加害者が責任能力を有する
    →責任能力とは、自己の行為の責任を弁識するに足りる知能を言う(民法712条)
  3. 加害者が違法な行為をした
  4. 被害者が損害を受けた
  5. 加害行為と損害の間に因果関係がある

金銭賠償の原則

不法行為が成立すると、被害者は加害者に対して損害賠償請求権を有します(民法709条)。

そして、損害賠償の方法は金銭で賠償するのが原則です(民法722条、417条)。

名誉毀損の場合

他人の名誉を毀損(きそん)した場合、裁判所は、被害者の請求により、①損害賠償に代えて、「名誉を回復するのに適当な処分」を命ずることができ、又は②「損害賠償」とともに、「名誉を回復するのに適当な処分」を命ずることもできます(民法723条)。

つまり、「名誉回復のための処分」または「損害賠償+名誉回復のための処分」(いずれか一方)を裁判所は命じることができます。

近親者に対する損害賠償

他人の生命を侵害した加害者は、「被害者の父母、配偶者及び子」に対して、その財産権が侵害されなかった場合においても、損害(慰謝料)の賠償をしなければなりません(民法711条)。

上記「被害者の父母、配偶者及び子」だけでなく、長年にわたり被害者と同居してその庇護(ひご:かばって守ること)のもとに生活を維持し、将来もその継続を期待していた者(実質的に上記親族と同視できる者)も含むとしています(最判昭49.12.17)。

責任無能力者の監督者の責任

不法行為の成立要件2に該当しないことで、責任無能力者がその責任を負わない場合、原則、その責任無能力者の監督義務者が、損害賠償責任を負います(民法714条1項本文)。

ただし、例外として監督義務者が①その義務を怠らなかったとき、又は②その義務を怠らなくても損害が生ずべきであったときは、監督義務者も責任を負いません(民法714条1項ただし書)。

不法行為による損害賠償請求権の消滅時効

不法行為による損害賠償の請求権は、一般的な債権の消滅時効は適用しません。

下記いずれかに該当する場合に、時効によって消滅します(民法724条)。

  1. 被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から3年間行使しないとき。
  2. 不法行為の時から20年間行使しないとき。

具体例や下記との違いについては、個別指導で解説します!

人の生命又は身体を害する不法行為による損害賠償請求権の消滅時効

「人の生命又は身体を害する不法行為」については、より一層保護する必要があります。

そのため、上記1の「3年間」を「5年間」として時効期間を延長しています。

下記いずれかに該当する場合に、時効によって消滅します(民法724条)。

  1. 被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から5年間行使しないとき。
  2. 不法行為の時から20年間行使しないとき。

理解学習について

行政書士試験に合格するためには、膨大な量の知識を頭に入れる必要があります。そのためには「丸暗記で勉強」しても、覚えて忘れての繰り返しで、一向に実力が上がりません。そのため、着実に実力を上げるためには、理解をしながら勉強することが重要です。 もちろんすべてを理解することは難しいですが、理解すべき部分は理解していけば、膨大な量の知識を頭に入れることが可能です。 個別指導では、理解すべき部分を理解していただくために、「具体例や理由」などを入れて、詳しく分かりやすく解説しています。 また、丸暗記でよいものは、語呂合わせを使ったりして、効率的に覚えていただけるようにしています! 令和4年の合格を目指しているのであれば、是非、個別指導で一緒に勉強をしましょう! 個別指導の概要はこちら>>

民法テキストの目次

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参考条文

(不法行為による損害賠償)
第709条 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

(財産以外の損害の賠償)
第710条 他人の身体、自由若しくは名誉を侵害した場合又は他人の財産権を侵害した場合のいずれであるかを問わず、前条の規定により損害賠償の責任を負う者は、財産以外の損害に対しても、その賠償をしなければならない。

(近親者に対する損害の賠償)
第711条 他人の生命を侵害した者は、被害者の父母、配偶者及び子に対しては、その財産権が侵害されなかった場合においても、損害の賠償をしなければならない。

(責任能力)
第712条 未成年者は、他人に損害を加えた場合において、自己の行為の責任を弁識するに足りる知能を備えていなかったときは、その行為について賠償の責任を負わない。

第713条 精神上の障害により自己の行為の責任を弁識する能力を欠く状態にある間に他人に損害を加えた者は、その賠償の責任を負わない。ただし、故意又は過失によって一時的にその状態を招いたときは、この限りでない。

(責任無能力者の監督義務者等の責任)
第714条 前二条の規定により責任無能力者がその責任を負わない場合において、その責任無能力者を監督する法定の義務を負う者は、その責任無能力者が第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。ただし、監督義務者がその義務を怠らなかったとき、又はその義務を怠らなくても損害が生ずべきであったときは、この限りでない。
2 監督義務者に代わって責任無能力者を監督する者も、前項の責任を負う。

(損害賠償の方法、中間利息の控除及び過失相殺)
第722条 第四百十七条及び第四百十七条の二の規定は、不法行為による損害賠償について準用する。
2 被害者に過失があったときは、裁判所は、これを考慮して、損害賠償の額を定めることができる。

(損害賠償の方法)
第417条 損害賠償は、別段の意思表示がないときは、金銭をもってその額を定める。

(名誉毀損における原状回復)
第723条 他人の名誉を毀き損した者に対しては、裁判所は、被害者の請求により、損害賠償に代えて、又は損害賠償とともに、名誉を回復するのに適当な処分を命ずることができる。

(不法行為による損害賠償請求権の消滅時効)
第724条 不法行為による損害賠償の請求権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する。
一 被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から三年間行使しないとき。
二 不法行為の時から二十年間行使しないとき。

(人の生命又は身体を害する不法行為による損害賠償請求権の消滅時効)
第724条の2 人の生命又は身体を害する不法行為による損害賠償請求権の消滅時効についての前条第一号の規定の適用については、同号中「三年間」とあるのは、「五年間」とする。

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