令和7年度の行政書士試験対策の個別指導開講

請負

請負とは?

請負契約は、請負人がある仕事を完成することを約束し、注文者(依頼者)がその仕事の結果に対してその報酬を支払うことを約束する契約を言います(民法632条)。

請負契約は、有償で、双務契約であり、諾成契約です。

請負の報酬

報酬の支払時期

請負の報酬は、仕事の目的物の引渡しと同時に、支払わなければなりません(民法633条本文)。つまり、「仕事の完成」と「報酬の支払い」が同時履行の関係ではなく「目的物の引渡し」と「報酬の支払い」が道理履行の関係があります

注文者が受ける利益の割合に応じた報酬

注文者の責めに帰することができない事由によって仕事を完成することができなくなったとき、または、②請負が仕事の完成前に解除されたとき

請負人が既に行った仕事の結果のうち可分な部分を注文者に引き渡すことによって注文者が利益を受けるときは、その部分は、仕事が完成したとみなし、請負人は、注文者が受ける利益の割合に応じて報酬を請求することができます(民法634条)。

請負契約の解除

注文者による契約の解除

請負人が仕事を完成しない間は、注文者は、いつでも損害を賠償して契約解除ができます(民法641条)。

注文者についての破産手続の開始による解除

注文者が破産手続開始の決定を受けたときは、請負人又は破産管財人は、契約の解除をすることができます(民法642条本文)。

ただし、仕事を完成した後は、請負人は契約解除ができません(民法642条ただし書き)。

完成した目的物の所有権の帰属

請負の目的物が完成した場合の所有権については、

1.まず、当事者間で特約があれば、その特約に従います。

2.次に特約がない場合、「材料の全部又は主要部分の提供者」が誰かを考えます。
材料の全部又は主要部分の提供者」が注文者であれば、目的物の所有権は注文者に帰属します(大判昭7.5.9)。
材料の全部又は主要部分の提供者」が請負人であり、かつ請負代金の支払いがほとんど支払われていない場合、目的物の所有権は請負人に帰属します(大判大3.12.26)。

もし、「材料の全部又は主要部分の提供者」が請負人であっても、請負代金の大部分または全部を支払っている場合は、目的物の所有権は注文者に帰属します(大判昭18.7.20、最判昭44.9.12)。

請負人の担保責任の制限

請負契約によって完成したモノに欠陥(契約不適合)があった場合、注文者は、請負人に対して「契約不適合責任」を追及することができます。

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民法テキストの目次

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参考条文

(請負)
第632条 請負は、当事者の一方がある仕事を完成することを約し、相手方がその仕事の結果に対してその報酬を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。

(報酬の支払時期)
第633条 報酬は、仕事の目的物の引渡しと同時に、支払わなければならない。ただし、物の引渡しを要しないときは、第六百二十四条第一項の規定を準用する。

(注文者が受ける利益の割合に応じた報酬)
第634条 次に掲げる場合において、請負人が既にした仕事の結果のうち可分な部分の給付によって注文者が利益を受けるときは、その部分を仕事の完成とみなす。この場合において、請負人は、注文者が受ける利益の割合に応じて報酬を請求することができる。
一 注文者の責めに帰することができない事由によって仕事を完成することができなくなったとき。
二 請負が仕事の完成前に解除されたとき。

(請負人の担保責任の制限)
第636条 請負人が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない仕事の目的物を注文者に引き渡したとき(その引渡しを要しない場合にあっては、仕事が終了した時に仕事の目的物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しないとき)は、注文者は、注文者の供した材料の性質又は注文者の与えた指図によって生じた不適合を理由として、履行の追完の請求、報酬の減額の請求、損害賠償の請求及び契約の解除をすることができない。ただし、請負人がその材料又は指図が不適当であることを知りながら告げなかったときは、この限りでない。

(目的物の種類又は品質に関する担保責任の期間の制限)
第637条 前条本文に規定する場合において、注文者がその不適合を知った時から一年以内にその旨を請負人に通知しないときは、注文者は、その不適合を理由として、履行の追完の請求、報酬の減額の請求、損害賠償の請求及び契約の解除をすることができない。
2 前項の規定は、仕事の目的物を注文者に引き渡した時(その引渡しを要しない場合にあっては、仕事が終了した時)において、請負人が同項の不適合を知り、又は重大な過失によって知らなかったときは、適用しない。

(注文者による契約の解除)
第641条 請負人が仕事を完成しない間は、注文者は、いつでも損害を賠償して契約の解除をすることができる。

(注文者についての破産手続の開始による解除)
第642条 注文者が破産手続開始の決定を受けたときは、請負人又は破産管財人は、契約の解除をすることができる。ただし、請負人による契約の解除については、仕事を完成した後は、この限りでない。
2 前項に規定する場合において、請負人は、既にした仕事の報酬及びその中に含まれていない費用について、破産財団の配当に加入することができる。
3 第一項の場合には、契約の解除によって生じた損害の賠償は、破産管財人が契約の解除をした場合における請負人に限り、請求することができる。この場合において、請負人は、その損害賠償について、破産財団の配当に加入する。

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