令和7年度の行政書士試験対策の個別指導開講

共有

共有とは?

共有とは、目的物を複数のもので所有することを言います。

例えば、マンション一室を夫Aと妻Bが二人で所有するのが共有です。

共有の持分

「持分」とは、「所有権の割合」を指します。

例えば、5000万円のマンション一室を夫Aと妻Bがそれぞれ2500万円ずつ出し合って購入した場合、「夫Aの持分=1/2」、「妻Bの持分=1/2」です。

共有物の使用

各共有者は、共有物の全部について、その持分に応じた使用をすることができます(民法249条)。言い換えると、少しでも持分を持てば、共有物の全部を使用することができます。

上記事例で、もし、妻Bが500万円しか出しておらず、持分が1/9しかなかったとしても、妻Bはマンション一室の全部を使用することができます。

上記「持分に応じた使用」がイメージしづらいので、個別指導で解説します。ここはイメージできれば簡単です。

共有物の保存・管理・変更行為

保存行為

保存行為」とは、「共有物の現状を維持する行為」です。
例えば、台風で建物の屋根の一部が壊れて雨漏りしている場合の屋根の修繕行為です。
これは、共有者は「単独」で行えます(民法252条ただし書)。

管理行為

管理行為」とは、「共有物の性質を変えることなく、共有物を利用・改良する行為」です。
例えば、上記事例のマンション一室を他人に賃貸する行為です。賃貸するだけなので、マンション一室の建物が別のモノに変わることはありません(=性質は変わっていない)。
これは、「持分の価格の過半数」で行えます(民法252条本文)。

変更行為

変更行為」とは、「共有物の性質や形状に変更を加えること」です。
例えば、共有物である山林を伐採して宅地にしたり、共有物である建物を増築したりすることです。
これは、「共有者全員の同意」があって初めて行えます(民法251条)。

共有物に関する負担

共有物の持分放棄・共有者の死亡

「共有者の一人がその持分を放棄したとき」、又は「共有者の一人が死亡して相続人がないとき」は、その持分は、他の共有者に帰属する。

ただし、共有者の一人が相続人なく死亡して、もし、特別縁故者がいた場合、特別縁故者への財産分与の対象になり、特別縁故者への財産分与がされない場合、他の共有者のものとなります。(最判平元.11.24

共有物の分割

各共有者は、いつでも共有物の分割請求ができます。

ただし、5年を超えない期間内で、分割を禁止する特約(不分割特約)が付いている場合は、その期間内は分割請求はできません(民法256条1項)。

不分割特約更新することができますが、更新後も、不分割特約の期間は、更新の時から5年以内で定めなければなりません。

そして、分割の方法は、下記3つがあります。

現物分割

「現物分割」とは、共有物を物理的に2つ以上に分けることです。

例えば、土地であれば、土地を分割(分筆)して、分けます。

代金分割

「代金分割」とは、共有物を売却して得た代金を共有者の持分に応じて分ける方法です。

例えば、持分1/2ずつで、ABがロレックスの時計(100万円相当)を共有していて、この時計を売って、100万円で売れた場合、AとBがそれぞれ50万円ずつもらう方法です。

価格賠償

「価格賠償」とは、共有者の1人が共有物を取得し、取得した共有者が、他の共有者にお金(代償金)払う分割方法です。

例えば、持分1/2ずつで、ABがロレックスの時計(100万円相当)を共有していて、Aがこの時計を取得し、AがBに50万円を支払う分割方法です。

共有物の担保責任

各共有者は、他の共有者が分割によって取得した物について、売主と同じく、その持分に応じて担保の責任を負います(民法261条)。

理解学習について

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民法テキストの目次

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参考条文

(共有物の使用)
第249条 各共有者は、共有物の全部について、その持分に応じた使用をすることができる。

(共有持分の割合の推定)
第250条 各共有者の持分は、相等しいものと推定する。

(共有物の変更)
第251条 各共有者は、他の共有者の同意を得なければ、共有物に変更を加えることができない。

(共有物の管理)
第252条 共有物の管理に関する事項は、前条の場合を除き、各共有者の持分の価格に従い、その過半数で決する。ただし、保存行為は、各共有者がすることができる。

(共有物に関する負担)
第253条 各共有者は、その持分に応じ、管理の費用を支払い、その他共有物に関する負担を負う。
2 共有者が一年以内に前項の義務を履行しないときは、他の共有者は、相当の償金を支払ってその者の持分を取得することができる。

(持分の放棄及び共有者の死亡)
第255条 共有者の一人が、その持分を放棄したとき、又は死亡して相続人がないときは、その持分は、他の共有者に帰属する。

(共有物の分割請求)
第256条 各共有者は、いつでも共有物の分割を請求することができる。ただし、五年を超えない期間内は分割をしない旨の契約をすることを妨げない。
2 前項ただし書の契約は、更新することができる。ただし、その期間は、更新の時から五年を超えることができない。

第257条 前条の規定は、第二百二十九条に規定する共有物については、適用しない。

(裁判による共有物の分割)
第258条 共有物の分割について共有者間に協議が調わないときは、その分割を裁判所に請求することができる。
2 前項の場合において、共有物の現物を分割することができないとき、又は分割によってその価格を著しく減少させるおそれがあるときは、裁判所は、その競売を命ずることができる。

(分割における共有者の担保責任)
第261条 各共有者は、他の共有者が分割によって取得した物について、売主と同じく、その持分に応じて担保の責任を負う。

(特別縁故者に対する相続財産の分与)
第958条の3 前条の場合において、相当と認めるときは、家庭裁判所は、被相続人と生計を同じくしていた者、被相続人の療養看護に努めた者その他被相続人と特別の縁故があった者の請求によって、これらの者に、清算後残存すべき相続財産の全部又は一部を与えることができる。
2 前項の請求は、第九百五十八条の期間の満了後三箇月以内にしなければならない。

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