住所に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。争いがある場合には、最高裁判所の判例による。
- 日本国民たる年齢満18歳以上の者で引き続き一定期間以上市町村の区域内に住所を有するものは、その属する普通地方公共団体の議会の議員及び長の選挙権を有する。
- 日本国民たる普通地方公共団体の住民は、地方自治法の定めにより、条例の制定又は改廃を請求する権利を有するが、日本国籍を有しない者であっても、そこに住所を有していれば、こうした権利を有する。
- 公職選挙法上の住所とは、各人の生活の本拠、すなわち、その人の生活に最も関係の深い一般的生活、全生活の中心を指す。
- 都市公園内に不法に設置されたテントを起居の場所としている場合、テントにおいて日常生活を営んでいる者は、テントの所在地に住所を有するということはできない。
- 地方自治法に基づく住民訴訟は、当該地方公共団体内に住所を有する者のみが提起することができ、訴訟係属中に原告が当該地方公共団体内の住所を失えば、原告適格を失う。
【解説】
1.日本国民たる年齢満18歳以上の者で引き続き一定期間以上市町村の区域内に住所を有するものは、その属する普通地方公共団体の議会の議員及び長の選挙権を有する。
1・・・正しい
日本国民たる年齢満18歳以上の者で、引き続き3ヶ月以上市町村の区域内に住所を有するものは、公職選挙法の定めるところにより、その属する普通地方公共団体の議会の議員及び長の選挙権を有する(地方自治法18条)。
日本国民たる年齢満18歳以上の者で、引き続き3ヶ月以上市町村の区域内に住所を有するものは、公職選挙法の定めるところにより、その属する普通地方公共団体の議会の議員及び長の選挙権を有する(地方自治法18条)。
2.日本国民たる普通地方公共団体の住民は、地方自治法の定めにより、条例の制定又は改廃を請求する権利を有するが、日本国籍を有しない者であっても、そこに住所を有していれば、こうした権利を有する。
2・・誤り
「普通地方公共団体の議会の議員及び長の選挙権を有する者」は、政令の定めるところにより、その総数の50分の1以上の者の連署をもって、その代表者から、普通地方公共団体の長に対し、条例の制定又は改廃の請求をすることができます(地方自治法74条:直接請求)。
「普通地方公共団体の議会の議員及び長の選挙権を有する者」とは、日本国籍を有する者なので、日本国籍を有しないものは、そこに住所を有していても、条例の制定又は改廃を請求する権利は有しません。
「普通地方公共団体の議会の議員及び長の選挙権を有する者」は、政令の定めるところにより、その総数の50分の1以上の者の連署をもって、その代表者から、普通地方公共団体の長に対し、条例の制定又は改廃の請求をすることができます(地方自治法74条:直接請求)。
「普通地方公共団体の議会の議員及び長の選挙権を有する者」とは、日本国籍を有する者なので、日本国籍を有しないものは、そこに住所を有していても、条例の制定又は改廃を請求する権利は有しません。
3.公職選挙法上の住所とは、各人の生活の本拠、すなわち、その人の生活に最も関係の深い一般的生活、全生活の中心を指す。
3・・・正しい
判例によると
「公職選挙法第9条第2項の住所とは、その人の生活にもつとも関係の深い一般的生活、全生活の中心を指すものと解すべく、私生活面の住所、事業活動面の住所、政治活動面の住所等を分離して判断すべきものではない。」
と判示しています。
よって、本肢は正しいです。
判例によると
「公職選挙法第9条第2項の住所とは、その人の生活にもつとも関係の深い一般的生活、全生活の中心を指すものと解すべく、私生活面の住所、事業活動面の住所、政治活動面の住所等を分離して判断すべきものではない。」
と判示しています。
よって、本肢は正しいです。
公職選挙法9条2項
日本国民たる年齢満18年以上の者で、引き続き3か月以上市町村の区域内に「住所」を有する者は、その属する地方公共団体の議会の議員及び長の選挙権を有する。
4.都市公園内に不法に設置されたテントを起居の場所としている場合、テントにおいて日常生活を営んでいる者は、テントの所在地に住所を有するということはできない。
4・・・正しい
判例によると
「ホームレスXが、都市公園法に違反して、都市公園内に不法に設置されたキャンプ用テントを起居の場所とし、公園施設である水道設備等を利用して日常生活を営んでいるなど原判示の事実関係の下においては、Xは、上記テントの所在地に住所を有するものとはいえない。」
と判示しています。
よって、本肢は正しいです。
判例によると
「ホームレスXが、都市公園法に違反して、都市公園内に不法に設置されたキャンプ用テントを起居の場所とし、公園施設である水道設備等を利用して日常生活を営んでいるなど原判示の事実関係の下においては、Xは、上記テントの所在地に住所を有するものとはいえない。」
と判示しています。
よって、本肢は正しいです。
5.地方自治法に基づく住民訴訟は、当該地方公共団体内に住所を有する者のみが提起することができ、訴訟係属中に原告が当該地方公共団体内の住所を失えば、原告適格を失う。
5・・・正しい
判例によると
「普通地方公共団体の住民が、住民訴訟を提起した後、事実審の口頭弁論終結時までに当該普通地方公共団体から転出した場合には、右訴えは、当事者適格を欠く者の訴えとして不適法となる」
と判示しています。
よって、本肢は正しいです。
判例によると
「普通地方公共団体の住民が、住民訴訟を提起した後、事実審の口頭弁論終結時までに当該普通地方公共団体から転出した場合には、右訴えは、当事者適格を欠く者の訴えとして不適法となる」
と判示しています。
よって、本肢は正しいです。
平成25年度(2013年度)|行政書士試験の問題と解説
問1 | 基礎法学 | 問31 | 民法:債権 |
---|---|---|---|
問2 | 基礎法学 | 問32 | 民法:債権 |
問3 | 法の下の平等 | 問33 | 民法 |
問4 | 憲法と私法上の行為 | 問34 | 民法:債権 |
問5 | 権力分立 | 問35 | 民法:親族 |
問6 | 国会 | 問36 | 商法 |
問7 | 憲法・精神的自由 | 問37 | 会社法 |
問8 | 行政法 | 問38 | 会社法 |
問9 | 行政法 | 問39 | 会社法 |
問10 | 行政法 | 問40 | 会社法 |
問11 | 行政手続法 | 問41 | 憲法 |
問12 | 行政手続法 | 問42 | 行政法 |
問13 | 行政手続法 | 問43 | 行政法 |
問14 | 行政不服審査法等 | 問44 | 行政法・40字 |
問15 | 法改正のより削除 | 問45 | 民法・40字 |
問16 | 行政事件訴訟法 | 問46 | 民法・40字 |
問17 | 行政事件訴訟法 | 問47 | 基礎知識・政治 |
問18 | 行政事件訴訟法 | 問48 | 基礎知識・政治 |
問19 | 国家賠償法 | 問49 | 基礎知識・経済 |
問20 | 国家賠償法 | 問50 | 基礎知識・社会 |
問21 | 地方自治法 | 問51 | 基礎知識・社会 |
問22 | 地方自治法 | 問52 | 基礎知識・政治 |
問23 | 地方自治法 | 問53 | 基礎知識・社会 |
問24 | 地方自治法 | 問54 | 基礎知識・個人情報保護 |
問25 | 行政法 | 問55 | 基礎知識・個人情報保護 |
問26 | 行政法 | 問56 | 基礎知識・個人情報保護 |
問27 | 民法:総則 | 問57 | 基礎知識・情報通信 |
問28 | 民法:総則 | 問58 | 著作権の関係上省略 |
問29 | 民法:物権 | 問59 | 著作権の関係上省略 |
問30 | 民法:債権 | 問60 | 著作権の関係上省略 |