物の貸借に関する次のア~オの記述のうち、民法の規定に照らし、それが、使用貸借の場合にも賃貸借の場合にも当てはまるものの組合せはどれか。
ア.借主は、契約またはその目的物の性質によって定まった用法に従い、その物の使用および収益をしなければならない。
イ.借主は、目的物の使用および収益に必要な修繕費を負担しなければならない。
ウ.借主は、目的物を返還するときに、これに附属させた物を収去することはできない。
エ.貸借契約は、借主の死亡によって、その効力を失う。
オ.契約の本旨に反する使用または収益によって生じた損害の賠償および借主が支出した費用の償還は、貸主が借主から目的物の返還を受けた時から1年以内に請求しなければならない。
- ア・イ
- ア・オ
- イ・ウ
- ウ・エ
- エ・オ
【解説】
ア.借主は、契約またはその目的物の性質によって定まった用法に従い、その物の使用および収益をしなければならない。
ア・・・両方当てはまる
使用貸借の借主は、契約又はその目的物の性質によって定まった用法に従い、その物の使用及び収益をしなければなりません(民法594条)。
上記ルールは「賃貸借」でも準用されます(民法616条)。
よって、本肢の内容は、使用貸借にも賃貸借にも当てはまります。
使用貸借の借主は、契約又はその目的物の性質によって定まった用法に従い、その物の使用及び収益をしなければなりません(民法594条)。
上記ルールは「賃貸借」でも準用されます(民法616条)。
よって、本肢の内容は、使用貸借にも賃貸借にも当てはまります。
イ.借主は、目的物の使用および収益に必要な修繕費を負担しなければならない。
イ・・・使用貸借に当てはまるが、賃貸借に当てはまらない
使用貸借の場合
借主は、借用物の通常の必要費を負担します(民法595条)。
使用貸借の場合
借主は、借用物の通常の必要費を負担します(民法595条)。
一方、賃貸借の場合、
賃貸人が、賃貸物の使用及び収益に必要な修繕をする義務を負います(民法606条1項本文)。
よって、本肢の内容は、使用貸借には当てはまるが、賃貸借には当てはまりません。
ウ.借主は、目的物を返還するときに、これに附属させた物を収去することはできない。
ウ・・・両方当てはまらない
使用貸借の場合
借主は、借主は、借用物を受け取った後にこれに附属させた物がある場合において、使用貸借が終了したときは、その附属させた物を収去する義務を負います。
そして、借用物の返還の際、借主は、借用物を受け取った後にこれに附属させた物を収去することができます(民法599条2項)。
上記ルールは「賃貸借」でも準用されます(民法622条)。
よって、本肢の内容は、使用貸借にも賃貸借にも当てはまりません。
使用貸借の場合
借主は、借主は、借用物を受け取った後にこれに附属させた物がある場合において、使用貸借が終了したときは、その附属させた物を収去する義務を負います。
そして、借用物の返還の際、借主は、借用物を受け取った後にこれに附属させた物を収去することができます(民法599条2項)。
上記ルールは「賃貸借」でも準用されます(民法622条)。
よって、本肢の内容は、使用貸借にも賃貸借にも当てはまりません。
エ.貸借契約は、借主の死亡によって、その効力を失う。
エ・・・使用貸借に当てはまるが、賃貸借に当てはまらない
使用貸借は、借主の死亡によって終了します(民法597条3項)。
一方、賃貸借の場合、借主が死亡したら、賃貸借契約は相続されます(大判大13.3.13)。
よって、本肢の内容は、使用貸借には当てはまるが、賃貸借には当てはまりません。
使用貸借は、借主の死亡によって終了します(民法597条3項)。
一方、賃貸借の場合、借主が死亡したら、賃貸借契約は相続されます(大判大13.3.13)。
よって、本肢の内容は、使用貸借には当てはまるが、賃貸借には当てはまりません。
オ.契約の本旨に反する使用または収益によって生じた損害の賠償および借主が支出した費用の償還は、貸主が借主から目的物の返還を受けた時から1年以内に請求しなければならない。
オ・・・両方当てはまる
使用貸借の場合、
契約の本旨に反する使用又は収益によって生じた損害の賠償及び借主が支出した費用の償還は、貸主が返還を受けた時から1年以内に請求しなければなりません(民法600条1項)。
上記ルールは「賃貸借」でも準用されます(民法622条)。
よって、本肢の内容は、使用貸借にも賃貸借にも当てはまります。
使用貸借の場合、
契約の本旨に反する使用又は収益によって生じた損害の賠償及び借主が支出した費用の償還は、貸主が返還を受けた時から1年以内に請求しなければなりません(民法600条1項)。
上記ルールは「賃貸借」でも準用されます(民法622条)。
よって、本肢の内容は、使用貸借にも賃貸借にも当てはまります。
平成30年度(2018年度)|行政書士試験の問題と解説
問1 | 著作権の関係上省略 | 問31 | 民法:債権 |
---|---|---|---|
問2 | 法令用語 | 問32 | 民法:債権 |
問3 | 判決文の理解 | 問33 | 民法:債権 |
問4 | 学問の自由 | 問34 | 民法:親族 |
問5 | 生存権 | 問35 | 民法:親族 |
問6 | 参政権 | 問36 | 商法 |
問7 | 天皇・内閣 | 問37 | 会社法 |
問8 | 行政代執行法 | 問38 | 会社法 |
問9 | 公法と私法 | 問39 | 会社法 |
問10 | 無効と取消し | 問40 | 会社法 |
問11 | 行政手続法 | 問41 | 憲法 |
問12 | 行政手続法 | 問42 | 行政事件訴訟 |
問13 | 行政手続法 | 問43 | 行政法 |
問14 | 行政不服審査法 | 問44 | 行政法・40字 |
問15 | 行政不服審査法 | 問45 | 民法・40字 |
問16 | 行政不服審査法 | 問46 | 民法・40字 |
問17 | 行政事件訴訟法 | 問47 | 基礎知識・社会 |
問18 | 行政事件訴訟法 | 問48 | 基礎知識・その他 |
問19 | 行政事件訴訟法 | 問49 | 基礎知識・社会 |
問20 | 国家賠償法 | 問50 | 基礎知識・経済 |
問21 | 国家賠償法 | 問51 | 基礎知識・社会 |
問22 | 地方自治法 | 問52 | 基礎知識・社会 |
問23 | 地方自治法 | 問53 | 基礎知識・その他 |
問24 | 地方自治法 | 問54 | 基礎知識・社会 |
問25 | 行政法の判例 | 問55 | 基礎知識・個人情報保護 |
問26 | 行政法の判例 | 問56 | 基礎知識・個人情報保護 |
問27 | 民法:総則 | 問57 | 基礎知識・個人情報保護 |
問28 | 民法:総則 | 問58 | 著作権の関係上省略 |
問29 | 民法:物権 | 問59 | 著作権の関係上省略 |
問30 | 民法:物権 | 問60 | 著作権の関係上省略 |