行政不服審査法の定める不作為についての審査請求に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。
- 不作為についての審査請求は、当該処分についての申請をした者だけではなく、当該処分がなされることにつき法律上の利益を有する者がなすことができる。
- 不作為についての審査請求は、法令に違反する事実がある場合において、その是正のためにされるべき処分がなされていないときにも、なすことができる。
- 不作為についての審査請求の審査請求期間は、申請がなされてから「相当の期間」が経過した時点から起算される。
- 不作為についての審査請求の審理中に申請拒否処分がなされた場合については、当該審査請求は、拒否処分に対する審査請求とみなされる。
- 不作為についての審査請求がなされた場合においても、審査庁は、原則として、その審理のために、その職員のうちから審理員を指名しなければならない。
【解説】
1.不作為についての審査請求は、当該処分についての申請をした者だけではなく、当該処分がなされることにつき法律上の利益を有する者がなすことができる。
1・・・妥当でない
法令に基づき行政庁に対して処分についての申請をした者は、当該申請から相当の期間が経過したにもかかわらず、行政庁の不作為がある場合には、当該不作為についての審査請求をすることができる(行政不服審査法3条)。
したがって、「法律上の利益を有する者」ができる、としている本肢は妥当ではありません。 「申請をした者」のみ、不作為についての審査請求ができます。
法令に基づき行政庁に対して処分についての申請をした者は、当該申請から相当の期間が経過したにもかかわらず、行政庁の不作為がある場合には、当該不作為についての審査請求をすることができる(行政不服審査法3条)。
したがって、「法律上の利益を有する者」ができる、としている本肢は妥当ではありません。 「申請をした者」のみ、不作為についての審査請求ができます。
2.不作為についての審査請求は、法令に違反する事実がある場合において、その是正のためにされるべき処分がなされていないときにも、なすことができる。
2・・・妥当でない
不作為についての審査請求は、行政庁が法令に基づく申請に対して当該申請から相当の期間が経過したにもかかわらず何らの処分をもしない場合にすることができます(行政不服審査法3条)。したがって、本肢は妥当ではありません。
不作為についての審査請求は、行政庁が法令に基づく申請に対して当該申請から相当の期間が経過したにもかかわらず何らの処分をもしない場合にすることができます(行政不服審査法3条)。したがって、本肢は妥当ではありません。
【似たような内容:ヒッカケポイント】
何人も、法令に違反する事実がある場合において、その是正のためにされるべき処分又は行政指導(その根拠となる規定が法律に置かれているものに限る。)がされていないと思料するときは、当該処分をする権限を有する行政庁又は当該行政指導をする権限を有する行政機関に対し、その旨を申し出て、当該処分又は行政指導をすることを求めることができる(行政手続法36条の3:処分等の求め)。
3.不作為についての審査請求の審査請求期間は、申請がなされてから「相当の期間」が経過した時点から起算される。
3・・・妥当でない
処分についての審査請求は、処分があったことを知った日の翌日から起算して3ヵ月(正当な理由がある場合を除く)を経過したときは、することができません。(行政不服審査法18条1項)
一方、不作為についての審査請求にはこのような審査請求期間の規定はなく、不作為状態が続く限り、審査請求をすることができます。
したがって、本肢は妥当ではありません。
処分についての審査請求は、処分があったことを知った日の翌日から起算して3ヵ月(正当な理由がある場合を除く)を経過したときは、することができません。(行政不服審査法18条1項)
一方、不作為についての審査請求にはこのような審査請求期間の規定はなく、不作為状態が続く限り、審査請求をすることができます。
したがって、本肢は妥当ではありません。
4.不作為についての審査請求の審理中に申請拒否処分がなされた場合については、当該審査請求は、拒否処分に対する審査請求とみなされる。
4・・・妥当でない
本肢のような規定は、行政不服審査法には、存在しません。
本肢のような規定は、行政不服審査法には、存在しません。
5.不作為についての審査請求がなされた場合においても、審査庁は、原則として、その審理のために、その職員のうちから審理員を指名しなければならない。
5・・・妥当
審査請求がされた行政庁(審査庁)は、審査庁に所属する職員のうちから審理手続を行う者を指名するとともに、その旨を審査請求人及び処分庁等に通知しなければなりません(行政不服審査法9条1項)。
この審査請求には、処分に対する審査請求だけでなく、不作為に対する審査請求も含まれます。
したがって、本肢は妥当です。審査請求については、流れが重要なので、個別指導では、流れも一緒に解説いたします!関連ポイントも一緒に学習して、効率的に勉強を行っていきましょう!
審査請求がされた行政庁(審査庁)は、審査庁に所属する職員のうちから審理手続を行う者を指名するとともに、その旨を審査請求人及び処分庁等に通知しなければなりません(行政不服審査法9条1項)。
この審査請求には、処分に対する審査請求だけでなく、不作為に対する審査請求も含まれます。
したがって、本肢は妥当です。審査請求については、流れが重要なので、個別指導では、流れも一緒に解説いたします!関連ポイントも一緒に学習して、効率的に勉強を行っていきましょう!
平成30年度(2018年度)|行政書士試験の問題と解説
問1 | 著作権の関係上省略 | 問31 | 民法:債権 |
---|---|---|---|
問2 | 法令用語 | 問32 | 民法:債権 |
問3 | 判決文の理解 | 問33 | 民法:債権 |
問4 | 学問の自由 | 問34 | 民法:親族 |
問5 | 生存権 | 問35 | 民法:親族 |
問6 | 参政権 | 問36 | 商法 |
問7 | 天皇・内閣 | 問37 | 会社法 |
問8 | 行政代執行法 | 問38 | 会社法 |
問9 | 公法と私法 | 問39 | 会社法 |
問10 | 無効と取消し | 問40 | 会社法 |
問11 | 行政手続法 | 問41 | 憲法 |
問12 | 行政手続法 | 問42 | 行政事件訴訟 |
問13 | 行政手続法 | 問43 | 行政法 |
問14 | 行政不服審査法 | 問44 | 行政法・40字 |
問15 | 行政不服審査法 | 問45 | 民法・40字 |
問16 | 行政不服審査法 | 問46 | 民法・40字 |
問17 | 行政事件訴訟法 | 問47 | 基礎知識・社会 |
問18 | 行政事件訴訟法 | 問48 | 基礎知識・その他 |
問19 | 行政事件訴訟法 | 問49 | 基礎知識・社会 |
問20 | 国家賠償法 | 問50 | 基礎知識・経済 |
問21 | 国家賠償法 | 問51 | 基礎知識・社会 |
問22 | 地方自治法 | 問52 | 基礎知識・社会 |
問23 | 地方自治法 | 問53 | 基礎知識・その他 |
問24 | 地方自治法 | 問54 | 基礎知識・社会 |
問25 | 行政法の判例 | 問55 | 基礎知識・個人情報保護 |
問26 | 行政法の判例 | 問56 | 基礎知識・個人情報保護 |
問27 | 民法:総則 | 問57 | 基礎知識・個人情報保護 |
問28 | 民法:総則 | 問58 | 著作権の関係上省略 |
問29 | 民法:物権 | 問59 | 著作権の関係上省略 |
問30 | 民法:物権 | 問60 | 著作権の関係上省略 |