論点
- 安全保障条約に司法審査が及ぶか?
事案
国は、米軍立川飛行場の拡張計画を考えていたが、当該計画に反対した砂川町の住民が反対運動をした。それにもかかわらず、国が拡張のための測量を開始したので、1000名以上の集団が境界柵の外側に集合し、その中の一部の者が境界柵を破壊した。破壊された境界柵から立ち入り禁止場所に入ったところ、この行為が法律に違反するとして、起訴された。
判決
安全保障条約に司法審査が及ぶか?
→及ばない
本件安全保障条約は、主権国としてのわが国の存立の基礎に極めて重大な関係をもつ高度の政治性を有するものというべきであって、安全保障条約の内容が違憲か否かの法的判断は、その条約を締結した内閣およびこれを承認した国会の高度の政治的ないし自由裁量的判断と表裏をなす。
それ故、右違憲か否かの法的判断は、司法裁判所の審査には、原則としてなじまない性質のものであり、一見極めて明白に違憲無効であると認められない限りは、裁判所の司法審査権の範囲外のものである。
そして、本件安全保障条約は、違憲無効であることが一見きわめて明白であるとは到底認められないため、司法審査は及ばない。