論点
事案
日本労働組合総評議会Xは昭和27年5月1日のメーデーに使用するため、皇居外苑を管理する厚生大臣(現厚生労働労働)Yに対して、外苑内の公園の使用許可を申請したが、Yは昭和27年3月13日に不許可の処分をした。そこでXは、同処分は憲法21条(表現の自由)、憲法28条(労働基本権:団体行動権)に違反するとして、不許可処分取消しの訴えを提起した。
メーデー:労働者が統一して権利要求と行進など活動を取り行う日(労働者の日)
判決
訴えの利益は、申請にかかる使用期日を経過すれば喪失するか?
→喪失する
厚生大臣は5月1日の使用を許可しなかっただけで、将来にわたり使用を禁じたものではない。そうであれば、Xの請求は、同日(5月1日)の経過により判決を求める法律上の利益を喪失したものといわなければならない。
本件不許可処分は、憲法21条、28条に違反しないか?
国民が皇居外苑に集合し利用することは、同公園の目的にそうから、その利用の許否(許可するか否か)は厚生大臣の自由裁量ではなく、公園としての使命を達成させるよう考慮した上で決しなければならない。
本件不許可処分は、公園が著しい損壊を受け管理保尊に著しい支障を被ること、長時間一般国民の本来の利用が阻害されること等を理由としてなされたものであり
自由裁量によったものではなく管理権の運用に誤りはない。
また、当該厚生大臣の許否は、厚生大臣の管理権の範囲内のことであり、
元来厚生大臣の権限ではない集会・示威運動を行うことの許否ではない、
したがって、本件不許可処分は何ら、表現の自由・団体行動権自体を制限することを目的とするものではないので、違法ではない。