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博多駅事件(博多駅テレビフィルム事件)をわかりやすく解説|報道の自由と取材の自由

論点

  1. 報道の自由は、憲法21条によって保障されるか?
  2. 取材の自由は、憲法21条によって保障されるか?
  3. 取材の自由は、どのような場合に制約を受けるか?

事案

アメリカ原子力空母エンタープライズの佐世保寄港に対する反対運動に参加しようとしていた全学連(学生運動団体)の学生らが、博多駅で下車した。警備にあたっていた機動隊員は、当該学生らに対し、実力で駅構内から排除するとともに、改札口で検問と持物検査を行った。これに対して、護憲連合会等は、警察官の行為が特別公務員暴行陵虐罪・職権濫用罪にあたるとして告発したところ、地検が不起訴処分としたため、付審判請求を行った。

この裁判において、福岡地裁は、地元福岡のテレビ局4社に対し、事件当日のフィルムの任意提出を求めたが拒否されたため、フィルムの提出を命じた。 この命令に対して4社は、「報道の自由の侵害・提出の必要性が少ない」という理由に通常抗告を行った。

博多駅事件の論点整理|3つの憲法上の価値を対比する

博多駅テレビフィルム事件では、報道の自由取材の自由公正な裁判の実現という3つの憲法上の価値が衝突しました。それぞれの保障根拠・保護の程度・制約の可否を整理すると、判例の構造がより明確になります。

論点 保障根拠 保護の程度 制約の可否
報道の自由 憲法21条で直接保障 国民の「知る権利」に奉仕する重要な権利として明確に認定 直接の争点とはされていないが、絶対無制約ではない
取材の自由 憲法21条の「精神に照らし十分尊重に値する」 報道の自由より一段低い表現にとどまり、直接の保障とは明言されず 公正な裁判の実現など憲法上の要請がある場合には制約を受け得る
公正な裁判の実現 憲法37条(公平な裁判所の迅速な公開裁判を受ける権利)等 刑事司法の根幹をなす憲法上の要請 取材の自由に対する制約根拠として機能する

試験対策のポイント:最高裁は報道の自由を「保障される」と述べた一方、取材の自由は「尊重に値する」にとどめています。この表現の違いは行政書士試験の択一式で頻出です。「取材の自由は憲法21条で保障される」という誤りの選択肢に注意しましょう。

判決

報道の自由は、憲法21条によって保障されるか?

保障される

報道機関の報道は、国民の知る権利に奉仕するものである、

そのため、事実の報道の自由は、憲法21条の保障のもとにある。

取材の自由は、憲法21条によって保障されるか?

→憲法21条の精神に照らし十分尊重に値する

報道機関の報道が正しい内容を持つためには、報道のための取材の自由も、憲法21条の精神に照らし、十分尊重に値する。

取材の自由は、どのような場合に制約を受けるか?

公正な刑事裁判の実現というような憲法上の要請があるとき

取材の自由といっても、もとより何らの制約を受けないものではなく、たとえば公正な裁判の実現というような憲法上の要請があるときは、ある程度の制約を受けることがある。

具体的には、公正な刑事裁判を実現するために、報道機関の取材活動によって得られたものが証拠として必要と認められるような場合には、取材の自由がある程度制約をこうむることとなってもやむ得えないところというべきである。

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