行政法96【記述対策】

【問】
行政行為の附款とは、どのようなことをいうか。40字程度で記述しなさい。なお、附款の具体的な内容は、記述しなくてよい。

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【問】
行政行為の附款とは、どのようなことをいうか。40字程度で記述しなさい。なお、附款の具体的な内容は、記述しなくてよい。

【解答例】

主たる行政行為に付加して、主たる行政行為の効果を制限したり、特別の義務を課したりすること。(45字)

【問題文の状況】

行政行為の附款とは、どのようなことをいうか。

【解説】

行政行為の附款とは、
主たる行政行為に付加して、主たる行政行為の効果を制限したり、特別の義務を課したりすること。(45字)

これはそのまま覚えましょう。

具体的には、①条件、②期限、③負担、④取消権(撤回権)の留保、⑤法律効果の一部除外があります。

【配点】

主たる行政行為(4点)
付加(4点)
効果(4点)・・・「効力」でもよい
制限(4点)
特別の義務を課す(4点)

【条件とは?】

条件とは、民法でもある「停止条件」「解除条件」の2種類と同じです。「行政行為の効果の発生・消滅」を 将来到来するかどうかが不確実な事実にかからせる意思表示です。これも停止条件と解除条件の具体例が分かれば難しくありません。

■停止条件

停止条件とは、条件が成就することで(満たされることで)、行政行為の効果が発生する条件を言います。

例)  「会社が成立したら免許を与える」といった場合、会社が成立することで、「免許を与える」という行政行為の効果が発生します。( 会社が成立するかどうかは、不確実なこと)

■解除条件

解除条件とは、条件が成就することで(満たされることで)、行政行為の効果が消滅する条件を言います。

例)  「定められた期間内に事業報告をしないと免許を取り消す」といった場合、事業報告をしないことで、「免許付与」の効果が消滅することになります。(事業報告をするかどうかは、不確実なこと)

【期限】

期限とは、「行政行為の効果の発生・消滅」を 将来、到来することが確実な事実にかからせる意思表示です。

行政行為の効果が期限の到来によって発生する場合を「始期」といい、

行政行為の効果が期限の到来によって消滅する場合を「終期」と言います。簡単に言えば、期限の始まりと終わりです。

例)「宅建業の免許の有効期間:2021年4月1日から2026年3月31日まで」といった場合、2021年4月1日が始期で、2026年3月31日が終期です。(2021年4月1や2026年3月31日は、確実に到来する)

【負担】

行政書士試験では、この「負担」が一番重要です。一番上の事例でもある通り、運転免許に際して、免許の条件として記載されている「眼鏡等」は、負担です。「免許の条件」と書かれているにも関わらず「負担」に該当します。「負担」とは、主たる行政行為に付随して特別な義務を命ずる意思表示を言います。そして、負担は、「許可や認可」等に付けられます。

■条件と負担の違い

負担は、その負担に従わなくても、主たる行政行為の効果に影響しません。つまり、眼鏡着用という負担を無視して、眼鏡を付けずに運転しても、運転免許の効力に何の影響も与えない=それが理由で免許取消しとはならないです。

一方、条件は、条件が成就したら、必ず、効力が発生したり消滅したりして、主たる行政行為に直接影響します。上記例の通り「会社が成立したら免許を与える」といった場合、会社成立という条件が成就すれば、必ず、「免許付与」という主たる行政行為が発動します。

例)  「道路の占有許可の際に、占有料は毎月10万円」と定められた場合、占有料は「負担」です。占有料10万円を払わなかったとしても、いきなり許可取消しとはなりません。

例)  運転免許証の「免許の条件」の欄に「眼鏡等」と記載があったりします。これは、「条件」と書いてありますが「負担」です。つまり、眼鏡をかけていなかったとしても、運転免許の取消しにはなりません。

取消権(撤回権)の留保

「取消権の留保」も「撤回権の留保」も同じことで、特定の場合に、行政行為を取り消す(撤回する)ことを、あらかじめ予定しておく(=留保する)意思表示を言います。

例) 公共の体育館の使用許可に「公益上必要があるときは許可を取り消す」旨を付け加えることで、「公益上の必要があるとき」を予定して、許可を取消しできるようにしています。

ただし、この撤回権の留保は、行政庁が無制限に行えるわけではなく、合理的な理由が必要です。言い換えると、合理的な理由のない撤回権の留保は許されないということです。

法律効果の一部除外

「法律効果の一部除外」とは、文字通り、行政行為の効果を一部発生させないことを言います。

例) 「公務員の出張について、旅費が支給されるのですが、通常必要としない旅費は支給されない」と法律で規定されています。この「通常必要としない旅費は支給されない」という部分が法律効果の一部除外です。

そして、法律効果の一部除外は、法律に規定されている場合に限って付加することができます。つまり、法律に規定されていないことを行政庁の判断で一部除外することは許されないということです。

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