衆議院が優越する理由
- 衆議院には解散があり、参議院に比べて任期が短くなっている分、選挙を通じて国民の意思を問う機会が多くなります。そのため,参議院よりも国民の意思を反映しやすいから。
- 衆議院と参議院が反対の議決ばかりしていると、いつまでも決まらなくなってしまうから。
権限上の優越
予算先議権
憲法第60条 予算は、さきに衆議院に提出しなければならない。衆議院に先に予算を提出するということは、予算については、衆議院が先に審議するということです。つまり、予算先議権とは、予算を先に審議する権利のことです。 予算の原資となるのは、国民から徴収した税金等です。つまり、国民の負担に関するものなので直接的に民意が反映する衆議院の意思を尊重すべきということで、予算については、衆議院が先に審議します。
内閣不信任決議権
憲法第69条 内閣は、衆議院で不信任の決議案を可決し、又は信任の決議案を否決したときは、十日以内に衆議院が解散されない限り、総辞職をしなければならない。上記条文の通り、内閣の不信任決議を行えるのは衆議院のみです。したがって、参議院には内閣不信任決議を行う権限はありません。 内閣不信任決議とは、「いまの内閣に国の政治を任せられないから、やめさせるべきだ!」という提案について決議することです。 これが可決された場合、内閣総理大臣は、10日内に下記2つのどちらかを選択します。
- 内閣総辞職(内閣のみを解体して、再度内閣総理大臣を決めて新しい内閣を作り直す)
- 衆議院解散(衆議院議員全員が辞めて、再度衆議院議員のみ選挙をする)
衆議院の議決の優越
法律案の議決
下記いずれかの場合、衆議院が出席議員の3分の2以上の賛成で再可決すれば法律となる- 衆議院が可決し、参議院が否決した場合
- 衆議院が可決し、参議院が60日以内に議決しない場合
憲法第59条 法律案は、この憲法に特別の定のある場合を除いては、両議院で可決したとき法律となる。 2 衆議院で可決し、参議院でこれと異なつた議決をした法律案は、衆議院で出席議員の三分の二以上の多数で再び可決したときは、法律となる。 3 前項の規定は、法律の定めるところにより、衆議院が、両議院の協議会を開くことを求めることを妨げない。 4 参議院が、衆議院の可決した法律案を受け取つた後、国会休会中の期間を除いて六十日以内に、議決しないときは、衆議院は、参議院がその法律案を否決したものとみなすことができる。
予算、条約の承認の議決
「予算の決議」と「条約承認の決議」は同じ流れになります。そして、下記1、2の2つのパターンがあります。- 衆議院が可決し、参議院が否決した場合 →両院協議会を必ず開き、両院協議会でも一致しなかった場合 →衆議院の議決を国会の議決とする
- 衆議院が可決し、参議院が30日以内に議決しなかった場合 →衆議院の議決を国会の議決とする
憲法第60条 予算は、さきに衆議院に提出しなければならない。 2 予算について、参議院で衆議院と異なつた議決をした場合に、法律の定めるところにより、両議院の協議会を開いても意見が一致しないとき、又は参議院が、衆議院の可決した予算を受け取つた後、国会休会中の期間を除いて三十日以内に、議決しないときは、衆議院の議決を国会の議決とする。
内閣総理大臣の指名の議決
内閣総理大臣の指名の決議については、下記2パターンあります。- 衆議院と参議院で異なる指名の議決がなされたとき →両院協議会を必ず開き、両院協議会でも一致しなかった場合 →衆議院の議決(指名)を国会の議決とする
- 衆議院が指名し、参議院が10日以内に議決しなかった場合 →衆議院の議決を国会の議決とする
憲法第67条 2 衆議院と参議院とが異なつた指名の議決をした場合に、法律の定めるところにより、両議院の協議会を開いても意見が一致しないとき、又は衆議院が指名の議決をした後、国会休会中の期間を除いて十日以内に、参議院が、指名の議決をしないときは、衆議院の議決を国会の議決とする。<<会期の種類・議決の方法(定足数と表決数) | 国会の権能>>