論点
事案
八幡製鉄の代表取締役Yが、自民党に対して政治資金を寄付した(政治献金をした)。これについて株主Xは、この寄付は、定款所定の目的範囲外であり、Yの行為は商法で規定されている「取締役の忠実義務違反」だとして、Yに対して損害賠償責任を追及する訴えを提起するよう会社に求めた。しかし、会社は訴えを提起しなかったので、株主Xは、Yを被告として、株主代表訴訟を提起した。
判決
1.政党は、憲法上その存在を当然に予定しているか?
→予定している
政党は、議会制民主主義を支える不可欠な要素として、憲法上その存在を当然予定されている。
2.法人にも憲法上の人権が保障されるか?
3.法人に政治献金の自由が認められるか?
→認められる
上記2の通り、性質上可能な限り、法人にも憲法上の人権が保障されているため、会社は、自然人たる国民と同様、国や政党の特定の政策を支持したり、反対したりするなどの政治的行為をなす自由を有する。
そして、政治資金の寄付(政治献金)もまさに、政治的行為の一環であり、
会社により政治献金がなされた場合、政治の動向に影響を与えることがあったとしても、これを自然人たる国民による寄付と別異に扱うべき憲法上の要請があるものではない。
(憲法上、法人献金と個人献金を別々に扱うべき、とはしていない)
したがって、法人についても政治資金の寄付の自由が認めれられる。