論点
- 点字ブロック等が駅のホームに設置されていないことが、国家賠償法2条1項にいう設置又は管理の瑕疵にあたるか否かの判断基準
事案
視力障害者であるXは、昭和48年、国鉄Yの大阪にあるA駅のホームから線路上に転落し、進入してきた電車にひかれて、両足切断の重傷を負った。
そこで、XはYに対して損害賠償請求の訴えを提起した。
判決
点字ブロック等が駅のホームに設置されていないことが、国家賠償法2条1項にいう設置又は管理の瑕疵にあたるか否かの判断基準
→安全設備が、全国的ないし当該地域における道路及び駅のホーム等に普及しているかどうか、当該駅のホームにおける構造又は視力障害者の利用度との関係から予測される視力障害者の事故の発生の危険性の程度、右事故を未然に防止するため右安全設備を設置する必要性の程度及び右安全設備の設置の困難性の有無等の諸般の事情を総合考慮して判断する
点字ブロック等のように、新たに開発された視力障害者用の安全設備を駅のホームに設置しなかったことをもって当該駅のホームが通常有すべき安全性を欠くか否かを判断するに当たっては、
①その安全設備が、視力障害者の事故防止に有効なものとして、その素材、形状及び敷設方法等において相当程度標準化されて全国的ないし当該地域における道路及び駅のホーム等に普及しているかどうか、
②当該駅のホームにおける構造又は視力障害者の利用度との関係から予測される視力障害者の事故の発生の危険性の程度、右事故を未然に防止するため右安全設備を設置する必要性の程度及び右安全設備の設置の困難性の有無等
の諸般の事情を総合考慮することを要するものと解するのが相当である。