論点
- 私人の私生活上の行状が「公共の利害に関する事実」にあたるか?
- 「公共の利害に関する事実」にあたるか否かの判断基準は?
事案
雑誌「月刊ペン」の編集局長である被告人は、「月刊ペン」の中で、宗教法人創価学会を批判し、同会会長の池田大作氏の私的行動を取り上げ、当該雑誌上に、池田大作氏の女性関係の乱れを具体的に記載した上、約3万部を発行した。
これに対し、池田大作、女性2名、創価学会のそれぞれの名誉を棄損したとし告訴され、控訴を提起された。
判決
私人の私生活上の行状が「公共の利害に関する事実」にあたるか?
→私人の私生活の行状であっても、そのたずさわる社会的活動の性質や社会に及ぼす程度によっては、「公共の利害に関する事実」にあたる場合がある
私人の私生活の行状であっても、社会的活動の性質や社会に及ぼす程度によっては、その社会的活動に対する批判ないし評価の一資料として、刑法230条の2第1項の「公共の利害に関する事実」にあたる場合がある。
第230条の2(公共の利害に関する場合の特例)
第230条第1項の行為が公共の利害に関する事実に係り、かつ、その目的が専ら公益を図ることにあったと認める場合には、事実の真否を判断し、真実であることの証明があったときは、これを罰しない。第230条1項(名誉棄損)
公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず、3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処する。
「公共の利害に関する事実」にあたるか否かの判断基準は?
→摘示された事実自体の内容・性質に照らして客観的に判断されるべき