論点
- 景表法に基づく不服申立について、一般消費者に不服申立人適格が認められるか?
事案
公正取引委員会Yは、社団法人日本果汁協会らの申請に基づき、昭和46年3月、果実飲料等の表示に関する公正競争規約を認定した。
これに対して、主婦連合会Xは、この規約の認定は「不当景品類及び不当表示防止法(景表法)」の要件に該当していないとして、Yに不服申し立てをした。
判決
景表法に基づく不服申立について、一般消費者に不服申立人適格が認められるか?
→認められない
一般消費者も国民を消費者としての側面からとらえたものというべきであり、景表法の規定により一般消費者が受ける利益は、公正取引委員会による同法の適正な運用によって実現されるべき公益の保護を通じ国民一般が共通してもつにいたる抽象的、平均的、一般的な利益である。
言い方をかえると、同法の規定の目的である公益の保護の結果として生ずる反射的な利益ないし事実上の利益であって、本来私人等権利主体の個人的な利益を保護することを目的とする法規により保障される法律上保護された利益とはいえないものである。
もとより、一般消費者といっても、個々の消費者を離れて存在するものではないが、景表法上かかる個々の消費者の利益は、同法の規定が目的とする公益の保護を通じその結果として保護されるべきものである。
言い方をかえると、公益に完全に包摂されるような性質のものにすぎないと解すべきである。
したがって、仮に、公正取引委員会による公正競争規約の認定が正当にされなかったとしても、一般消費者としては、景表法の規定の適正な運用によて得られるべき反射的な利益ないし事実上の利益が得られなかったにとどまり、その本来有する法律上の地位には、なんら消長はない(変化はない)といわなければならない。
そこで、単に一般消費者であるというだけでは、公正取引委員会による公正競争規約の認定につき景表法による不服申立をする法律上の利益をもつ者であるということはできず、不服申立人適格は認められない。