論点
- 行政庁の処分とは?
- 本件ごみ焼却場の設置行為は行政庁の処分にあたるか?
事案
東京都Yは、ごみ焼却場設置のために土地を購入し、都議会のごみ焼却場設置計画案を提出した。都議会が計画案を可決したので、Yは、その旨を東京都の広報に記載した上で、建設会社とごみ焼却場の建設にかかる請負契約を締結した。
これに対し、本件土地の近隣住民Xらは、ごみ焼却場の設置の選定が環境衛生上もっとも不適当な土地になされている等を理由に、ごみ焼却場の設置行為の無効確認を求めて出訴した。
判決
行政庁の処分とは?
→「公権力の主体たる国または公共団体が行う行為のうち、その行為によつて、直接国民の権利義務を形成しまたはその範囲を確定することが法律上認められているもの」をいう
行政事件訴訟特例法1条にいう「行政庁の処分」とは、行政庁の法令に基づく行為のすべてを意味するものではなく、公権力の主体たる国または公共団体が行う行為のうち、その行為によつて、直接国民の権利義務を形成しまたはその範囲を確定することが法律上認められているものをいうものであることは、当裁判所の判例とするところである。
本件ごみ焼却場の設置行為は行政庁の処分にあたるか?
→あたらない
本件ごみ焼却場は、東京都Yが先に私人から買収した都所有の土地の上に、私人との間に対等の立場に立って締結した私法上の契約により設置されたものである。
Yが、本件ごみ焼却場の設置を計画し、その計画案を都議会に提出した行為はY自身の内部的手続行為にとどまる。
そのため、右設置行為によってXらが、不利益を被ることがあるとしても、右設置行為は、Yが公権力の行使により直接Xらの権利義務を形成し、またはその範囲を確定することを法律上認められている場合に該当するとは言えない。
したがって、行政事件訴訟特例法にいう「行政庁の処分」にあたらないからその無効確認を求める上告人らの本訴請求を不適法である。