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最判昭30.4.19:「公務員の個人的責任」と「国家賠償」

論点

  1. 国家賠償法の適用を受ける不法行為について、公務員個人も直接責任を負うか?

事案

A町では、「Xらを幹部とする小作人組合」と、「町長を組合長とする農民組合」とが対立していた。

この対立により、同町の農地委員選挙において両組合から同数の委員が選出された結果、会長互選の決定を行うことができなかった。

そのため農地調整法の規定を発動し、知事Y1が1人で小作組合長のBを農地委員の会長に選んだ。

その後、町長から農地委員会解散命令請求の決議を求める上申書が提出されたなどをきっかけに知事は、県農地部長Y2を現地に派遣し、実情を調査した上で、解散命令を発した。

Xらは、本件解散処分の無効を求めるとともに、Y1およびY2に対して損害賠償等を求める訴えを提起した。

判決

国家賠償法の適用を受ける不法行為について、公務員個人も直接責任を負うか?

→負わない

Xらの損害賠償等を請求する訴について考えてみるに、右請求は、Y1・Y2の職務行為を理由とする国家賠償の請求と解すベきである。

したがって、国または公共団体が賠償の責に任ずるのであって、公務員が行政機関としての地位において賠償の責任を負うものではない。

また、公務員個人もその責任を負うものではない

したがって、県知事Y1を相手方とする訴えは不適法であり、また県知事個人、農地部長個人を相手方とする請求は理由がない。

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