論点
事案
アメリカ人宣教師Xが、新規の外国人登録を申請した際に、指紋すべき部分に指紋の押印をしなかった。
このことが原因で、Xは、指紋押捺制度(外国人登録法に規定されている制度)に違反したとして起訴された。
それに対して、Xは、指紋押捺制度自体、憲法13条に違反していると主張した。
憲法第13条(幸福追求権)
すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。
判決
指紋押捺を強制されない自由は、憲法13条で保障されるか?
→保障される
指紋は、誰一人同じものはなく、一生涯変わらない。搾取された指紋の利用方法次第では、プライバシーの侵害の危険性もある。
そのため、何人もみだりに「指紋押捺を強制されない自由」を有しているといえる。
したがって、国家機関が正当な理由なく指紋押捺を強制することは、憲法13条の趣旨に反して許されない。
そして、指紋押捺を強制されない自由は、外国人にも等しく及ぶ。
※正当な理由があれば、指紋押捺を強制することができ、これが下記「指紋押捺制度」に当たります。
指紋押捺制度が、憲法13条に違反しないか?
→違反しない
外国人登録法が定める指紋押捺制度の目的は、外国人の居住関係および身分関係を明確にすることで在留外国人の公正な管理をすることです。
この指紋押捺制度には、十分な合理性があり、かつ必要性も肯定できる。
したがって、指紋押捺制度は、憲法13条に違反しない