無効の行政行為に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。
- 無効の行政行為については、それを争う訴訟として無効確認訴訟が法定されており、その無効を実質的当事者訴訟や民事訴訟において主張することは許されない。
- 無効の行政行為については、それを取り消すことはできないから、たとえ出訴期間内であっても、それに対して提起された取消訴訟は不適法とされる。
- 無効の行政行為については、当該処分の取消訴訟について、個別法に審査請求前置が規定されていても、直ちに無効確認訴訟を提起することが許される。
- 無効の行政行為については、客観的に効力が認められないのであるから、その無効を主張する者は、何人でも、無効確認訴訟を提起して、これを争うことができる。
- 無効の行政行為については、その執行は認められず、これを何人も無視できるから、無効確認訴訟には、仮の救済のための執行停止制度の準用はなされていない。
【解説】
1.無効の行政行為については、それを争う訴訟として無効確認訴訟が法定されており、その無効を実質的当事者訴訟や民事訴訟において主張することは許されない。
1・・・妥当ではない
無効の行政行為を争う場合、「無効確認訴訟」で争ってもよいですが、
処分の無効を前提として「当事者訴訟」や「民事訴訟(争点訴訟)」で争うことも可能です。
したがって、本肢は誤りです。
この問題は理解しないと本試験で得点できない部分なので、個別指導で解説します!
無効の行政行為を争う場合、「無効確認訴訟」で争ってもよいですが、
処分の無効を前提として「当事者訴訟」や「民事訴訟(争点訴訟)」で争うことも可能です。
したがって、本肢は誤りです。
この問題は理解しないと本試験で得点できない部分なので、個別指導で解説します!
2.無効の行政行為については、それを取り消すことはできないから、たとえ出訴期間内であっても、それに対して提起された取消訴訟は不適法とされる。
2・・・妥当ではない
無効な行政行為について、取消訴訟で争うことも可能です。
ただし、その場合、出訴期間内に訴えを提起する必要があります。
つまり、無効な行政行為について、出訴期間内に取消訴訟をすることは適法です。
したがって、本肢は妥当ではありません。
無効な行政行為について、取消訴訟で争うことも可能です。
ただし、その場合、出訴期間内に訴えを提起する必要があります。
つまり、無効な行政行為について、出訴期間内に取消訴訟をすることは適法です。
したがって、本肢は妥当ではありません。
3.無効の行政行為については、当該処分の取消訴訟について、個別法に審査請求前置が規定されていても、直ちに無効確認訴訟を提起することが許される。
3・・・妥当
審査請求前置主義が個別法で規定されている場合であったとしても、無効な行為については、初めから効力は発生しないので、審査請求をせずに、直ちに無効確認訴訟を提起することができます。
審査請求前置主義が個別法で規定されている場合であったとしても、無効な行為については、初めから効力は発生しないので、審査請求をせずに、直ちに無効確認訴訟を提起することができます。
4.無効の行政行為については、客観的に効力が認められないのであるから、その無効を主張する者は、何人でも、無効確認訴訟を提起して、これを争うことができる。
4・・・妥当ではない
無効確認訴訟については、誰でも訴訟できるわけではありません。
原告適格である必要があります。
「予防的無効確認の訴え」の場合、「処分や裁決に続く処分によって損害を受ける恐れのある者」
「補充的無効確認の訴え」の場合、「処分や裁決の無効確認を求めるにつき法律上の利益を有している者」に限られます。
無効確認訴訟については、誰でも訴訟できるわけではありません。
原告適格である必要があります。
「予防的無効確認の訴え」の場合、「処分や裁決に続く処分によって損害を受ける恐れのある者」
「補充的無効確認の訴え」の場合、「処分や裁決の無効確認を求めるにつき法律上の利益を有している者」に限られます。
5.無効の行政行為については、その執行は認められず、これを何人も無視できるから、無効確認訴訟には、仮の救済のための執行停止制度の準用はなされていない。
5・・・妥当ではない
執行停止についても、無効等確認訴訟に準用されています(行政事件訴訟法第38条3項)。
そもそも、無効な行為とは、処分に重大かつ明白な瑕疵がある場合です。
これは、訴訟提起して争って初めて、裁判所が判断する内容なので、判決が出るまで分かりません。
したがって、仮の救済のための執行停止制度は、取消訴訟の場合と同様必要です。
執行停止についても、無効等確認訴訟に準用されています(行政事件訴訟法第38条3項)。
そもそも、無効な行為とは、処分に重大かつ明白な瑕疵がある場合です。
これは、訴訟提起して争って初めて、裁判所が判断する内容なので、判決が出るまで分かりません。
したがって、仮の救済のための執行停止制度は、取消訴訟の場合と同様必要です。
平成29年度(2017年度)|行政書士試験の問題と解説
問1 | 基礎法学 | 問31 | 民法:物権 |
---|---|---|---|
問2 | 基礎法学 | 問32 | 民法:債権 |
問3 | 人権 | 問33 | 民法:債権 |
問4 | 経済的自由 | 問34 | 民法:債権 |
問5 | 内閣 | 問35 | 民法:親族 |
問6 | 財政 | 問36 | 商法 |
問7 | 憲法の概念 | 問37 | 会社法 |
問8 | 取消しと撤回 | 問38 | 会社法 |
問9 | 無効な行政行為 | 問39 | 会社法 |
問10 | 執行罰 | 問40 | 会社法 |
問11 | 行政手続法 | 問41 | 憲法 |
問12 | 行政手続法 | 問42 | 行政法 |
問13 | 行政手続法 | 問43 | 行政法 |
問14 | 行政不服審査法 | 問44 | 行政法・40字 |
問15 | 行政不服審査法 | 問45 | 民法・40字 |
問16 | 行政不服審査法 | 問46 | 民法・40字 |
問17 | 行政事件訴訟法 | 問47 | 基礎知識・政治 |
問18 | 行政事件訴訟法 | 問48 | 基礎知識・社会 |
問19 | 行政事件訴訟法 | 問49 | 基礎知識・政治 |
問20 | 国家賠償法 | 問50 | 基礎知識・経済 |
問21 | 国家賠償法 | 問51 | 基礎知識・社会 |
問22 | 地方自治法 | 問52 | 基礎知識・社会 |
問23 | 地方自治法 | 問53 | 基礎知識・社会 |
問24 | 地方自治法 | 問54 | 基礎知識・情報通信 |
問25 | 行政法の判例 | 問55 | 基礎知識・その他 |
問26 | 行政不服審査法 | 問56 | 基礎知識・情報通信 |
問27 | 民法:総則 | 問57 | 基礎知識・個人情報保護 |
問28 | 民法:総則 | 問58 | 著作権の関係上省略 |
問29 | 民法:物権 | 問59 | 著作権の関係上省略 |
問30 | 民法:総則 | 問60 | 著作権の関係上省略 |