内閣に関する次の記述のうち、憲法の規定に照らし、妥当なものはどれか。
- 内閣総理大臣は、国会の同意を得て国務大臣を任命するが、その過半数は国会議員でなければならない。
- 憲法は明文で、閣議により内閣が職務を行うべきことを定めているが、閣議の意思決定方法については規定しておらず、慣例により全員一致で閣議決定が行われてきた。
- 内閣の円滑な職務遂行を保障するために、憲法は明文で、国務大臣はその在任中逮捕されず、また在任中は内閣総理大臣の同意がなければ訴追されない、と規定した。
- 法律および政令には、その執行責任を明確にするため、全て主任の国務大臣が署名し、内閣総理大臣が連署することを必要とする。
- 内閣の存立は衆議院の信任に依存するので、内閣は行政権の行使について、参議院に対しては連帯責任を負わない。
【解説】
1.内閣総理大臣は、国会の同意を得て国務大臣を任命するが、その過半数は国会議員でなければならない。
1・・・妥当ではない
内閣総理大臣は、国務大臣を任命します(憲法68条1項)。
ただし、国務大臣の過半数は、国会議員の中から選ばれなければなりません(憲法68条1項但し書き)。
つまり、本肢のような「国会の同意」は不要です。
内閣総理大臣は、国務大臣を任命します(憲法68条1項)。
ただし、国務大臣の過半数は、国会議員の中から選ばれなければなりません(憲法68条1項但し書き)。
つまり、本肢のような「国会の同意」は不要です。
2.憲法は明文で、閣議により内閣が職務を行うべきことを定めているが、閣議の意思決定方法については規定しておらず、慣例により全員一致で閣議決定が行われてきた。
2・・・妥当ではない
憲法には、「閣議」についての規定はありません。
閣議により内閣が職務を行うべきことは、内閣法4条で定めています。
また、閣議の意思決定方法については規定しておらず、慣例により全員一致で閣議決定が行われています。
憲法には、「閣議」についての規定はありません。
閣議により内閣が職務を行うべきことは、内閣法4条で定めています。
また、閣議の意思決定方法については規定しておらず、慣例により全員一致で閣議決定が行われています。
3.内閣の円滑な職務遂行を保障するために、憲法は明文で、国務大臣はその在任中逮捕されず、また在任中は内閣総理大臣の同意がなければ訴追されない、と規定した。
3・・・妥当ではない
国務大臣は、その在任中、内閣総理大臣の同意がなければ、訴追されません。ただし、在任期間が切れると、訴追されます(=訴追の権利は、害されない)(憲法75条)。
その点は、妥当です。しかし、「国務大臣はその在任中逮捕されず」という記述は妥当ではありません。
国務大臣は、その在任中、内閣総理大臣の同意がなければ、訴追されません。ただし、在任期間が切れると、訴追されます(=訴追の権利は、害されない)(憲法75条)。
その点は、妥当です。しかし、「国務大臣はその在任中逮捕されず」という記述は妥当ではありません。
似たようなルールが憲法50条で規定されています。
国会議員は原則として国会の会期中逮捕されず、会期前に逮捕された議員は、その議院の要求があれば、会期中これを釈放しなければならないという特権があります(憲法50条)。
この2つとひっかける問題です。
国務大臣は過半数が国会議員であればよいので、国会議員でない可能性もあります。
そのため、「国務大臣はその在任中逮捕されず」という記述は妥当ではありません。
4.法律および政令には、その執行責任を明確にするため、全て主任の国務大臣が署名し、内閣総理大臣が連署することを必要とする。
5.内閣の存立は衆議院の信任に依存するので、内閣は行政権の行使について、参議院に対しては連帯責任を負わない。
5・・・妥当ではない
内閣は、行政権の行使について、国会(衆議院と参議院の両方)に対し連帯して責任を負います(憲法66条3項)。
したがって、「内閣は、参議院に対しては連帯責任を負わない」という記述は妥当ではありません。
内閣は、行政権の行使について、国会(衆議院と参議院の両方)に対し連帯して責任を負います(憲法66条3項)。
したがって、「内閣は、参議院に対しては連帯責任を負わない」という記述は妥当ではありません。
平成29年度(2017年度)|行政書士試験の問題と解説
問1 | 基礎法学 | 問31 | 民法:物権 |
---|---|---|---|
問2 | 基礎法学 | 問32 | 民法:債権 |
問3 | 人権 | 問33 | 民法:債権 |
問4 | 経済的自由 | 問34 | 民法:債権 |
問5 | 内閣 | 問35 | 民法:親族 |
問6 | 財政 | 問36 | 商法 |
問7 | 憲法の概念 | 問37 | 会社法 |
問8 | 取消しと撤回 | 問38 | 会社法 |
問9 | 無効な行政行為 | 問39 | 会社法 |
問10 | 執行罰 | 問40 | 会社法 |
問11 | 行政手続法 | 問41 | 憲法 |
問12 | 行政手続法 | 問42 | 行政法 |
問13 | 行政手続法 | 問43 | 行政法 |
問14 | 行政不服審査法 | 問44 | 行政法・40字 |
問15 | 行政不服審査法 | 問45 | 民法・40字 |
問16 | 行政不服審査法 | 問46 | 民法・40字 |
問17 | 行政事件訴訟法 | 問47 | 基礎知識・政治 |
問18 | 行政事件訴訟法 | 問48 | 基礎知識・社会 |
問19 | 行政事件訴訟法 | 問49 | 基礎知識・政治 |
問20 | 国家賠償法 | 問50 | 基礎知識・経済 |
問21 | 国家賠償法 | 問51 | 基礎知識・社会 |
問22 | 地方自治法 | 問52 | 基礎知識・社会 |
問23 | 地方自治法 | 問53 | 基礎知識・社会 |
問24 | 地方自治法 | 問54 | 基礎知識・情報通信 |
問25 | 行政法の判例 | 問55 | 基礎知識・その他 |
問26 | 行政不服審査法 | 問56 | 基礎知識・情報通信 |
問27 | 民法:総則 | 問57 | 基礎知識・個人情報保護 |
問28 | 民法:総則 | 問58 | 著作権の関係上省略 |
問29 | 民法:物権 | 問59 | 著作権の関係上省略 |
問30 | 民法:総則 | 問60 | 著作権の関係上省略 |