令和7年度の行政書士試験対策の個別指導開講

平成25年・2013|問21|地方自治法

地方自治法の規定による住民監査請求と事務監査請求の相違について、妥当な記述はどれか。

  1. 住民監査請求をすることができる者は、当該地方公共団体の住民のみに限られているが、事務監査請求については、当該事務の執行に特別の利害関係を有する者であれば、当該地方公共団体の住民以外でもすることができることとされている。
  2. 住民監査請求については、対象となる行為があった日または終わった日から一定期間を経過したときは、正当な理由がある場合を除き、これをすることができないこととされているが、事務監査請求については、このような請求期間の制限はない。
  3. 住民監査請求の対象となるのは、いわゆる財務会計上の行為または怠る事実であるとされているが、こうした行為または怠る事実は、事務監査請求の対象となる当該地方公共団体の事務から除外されている。
  4. 住民監査請求においては、その請求方式は、当該行為の一部または全部の差止の請求などの4種類に限定されており、それ以外の請求方式は認められていないが、事務監査請求については、このような請求方式の制限はない。
  5. 住民監査請求においては、監査の結果に不服のある請求者は、住民訴訟を提起することができることとされているが、事務監査請求においては、監査の結果に不服のある請求者は、監査結果の取消しの訴えを提起できることとされている。

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【答え】:2

【解説】

1.住民監査請求をすることができる者は、当該地方公共団体の住民のみに限られているが、事務監査請求については、当該事務の執行に特別の利害関係を有する者であれば、当該地方公共団体の住民以外でもすることができることとされている。
1・・・誤り
普通地方公共団体の住民は、住民監査請求ができます(地方自治法242条)。
したがって、住民監査請求をすることができる者は、当該地方公共団体の住民のみに限られています。一方、
日本国民たる普通地方公共団体の住民は、地方自治法の定めるところにより、その属する普通地方公共団体の事務の監査を請求(事務監査請求)する権利を有します地方自治法12条2項)。
よって、事務監査請求をすることができる者も、「地方公共団体の住民のみ」に限られています。
したがって、この点が誤りです。
2.住民監査請求については、対象となる行為があった日または終わった日から一定期間を経過したときは、正当な理由がある場合を除き、これをすることができないこととされているが、事務監査請求については、このような請求期間の制限はない。
2・・正しい
住民監査請求は、当該行為のあった日又は終わった日から1年を経過したときは、原則できなくなります。ただし、正当な理由があるときは、1年経過をしても住民監査請求は可能です(地方自治法242条2項)。一方、
事務監査請求は、請求期間の制限はありません
したがって、正しいです。
3.住民監査請求の対象となるのは、いわゆる財務会計上の行為または怠る事実であるとされているが、こうした行為または怠る事実は、事務監査請求の対象となる当該地方公共団体の事務から除外されている。
3・・・誤り
住民監査請求の対象となるのは、「財務会計上の行為または怠る事実」です(地方自治法242条1項)。
よって、この点は正しいです。一方、
事務監査請求の対象は「当該普通地方公共団体の事務の執行」であり、「財務会計上の行為または怠る事実」も含まれます(地方自治法75条1項)。
よって、「こうした行為または怠る事実は、事務監査請求の対象から除外されている。」という記述が誤りです。
4.住民監査請求においては、その請求方式は、当該行為の一部または全部の差止の請求などの4種類に限定されており、それ以外の請求方式は認められていないが、事務監査請求については、このような請求方式の制限はない。
4・・・誤り
本肢のように4種類に限定されているのは「住民訴訟」です。
住民監査請求も、事務監査請求も、請求内容は「監査してください!」という「監査」です(地方自治法242条1項、75条1項)。住民訴訟では、下記、4種類の請求のみ可能です(地方自治法242条の2の1項)。
  1. 差止めの請求
  2. 取消し又は無効確認の請求
  3. 怠る事実の違法確認の請求
  4. 相手方に損害賠償又は不当利得返還の請求をすることを求める請求
5.住民監査請求においては、監査の結果に不服のある請求者は、住民訴訟を提起することができることとされているが、事務監査請求においては、監査の結果に不服のある請求者は、監査結果の取消しの訴えを提起できることとされている。
5・・・誤り
住民監査請求においては、監査の結果に不服のある請求者は、住民訴訟を提起することができます地方自治法242条の2の1項)。
よって、この点は正しいです。一方、
事務監査請求では、その監査の結果に不服があっても、その後何もできません(取消しの訴えもできません)。
よって、本肢は、「事務監査請求においては、監査の結果に不服のある請求者は、監査結果の取消しの訴えを提起できる」という記述が誤りです。

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平成25年度(2013年度)|行政書士試験の問題と解説

問1 基礎法学 問31 民法:債権
問2 基礎法学 問32 民法:債権
問3 法の下の平等 問33 民法
問4 憲法と私法上の行為 問34 民法:債権
問5 権力分立 問35 民法:親族
問6 国会 問36 商法
問7 憲法・精神的自由 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 憲法
問12 行政手続法 問42 行政法
問13 行政手続法 問43 行政法
問14 行政不服審査法等 問44 行政法・40字
問15 法改正のより削除 問45 民法・40字
問16 行政事件訴訟法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識・政治
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識・政治
問19 国家賠償法 問49 基礎知識・経済
問20 国家賠償法 問50 基礎知識・社会
問21 地方自治法 問51 基礎知識・社会
問22 地方自治法 問52 基礎知識・政治
問23 地方自治法 問53 基礎知識・社会
問24 地方自治法 問54 基礎知識・個人情報保護
問25 行政法 問55 基礎知識・個人情報保護
問26 行政法 問56 基礎知識・個人情報保護
問27 民法:総則 問57 基礎知識・情報通信
問28 民法:総則 問58 著作権の関係上省略
問29 民法:物権 問59 著作権の関係上省略
問30 民法:債権 問60 著作権の関係上省略

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