取消訴訟に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 取消訴訟の原告は、処分行政庁に訴状を提出することにより、処分行政庁を経由しても訴訟を提起することができる。
- 裁判所は、必要があると認めるときは、職権で証拠調べをすることができるが、その結果について当事者の意見をきかなければならない。
- 取消訴訟の訴訟代理人については、代理人として選任する旨の書面による証明があれば誰でも訴訟代理人になることができ、弁護士等の資格は必要とされない。
- 裁判所は、処分の執行停止の必要があると認めるときは、職権で、処分の効力、処分の執行又は手続の続行の全部又は一部の停止をすることができる。
- 取消訴訟の審理は、書面によることが原則であり、当事者から口頭弁論の求めがあったときに限り、その機会を与えるものとされている。
【解説】
1.取消訴訟の原告は、処分行政庁に訴状を提出することにより、処分行政庁を経由しても訴訟を提起することができる。
1・・・誤り
取消訴訟の訴状の提出については、行政事件訴訟法には規定されていないので、民事訴訟法が適用されます(行政事件訴訟法7条)。
民事訴訟法には、訴えの提起は、訴状を裁判所に提出してしなければならない(民事訴訟法133条)と規定されているので、本肢の「処分行政庁」は誤りです。
取消訴訟の訴状の提出については、行政事件訴訟法には規定されていないので、民事訴訟法が適用されます(行政事件訴訟法7条)。
民事訴訟法には、訴えの提起は、訴状を裁判所に提出してしなければならない(民事訴訟法133条)と規定されているので、本肢の「処分行政庁」は誤りです。
2.裁判所は、必要があると認めるときは、職権で証拠調べをすることができるが、その結果について当事者の意見をきかなければならない。
2・・正しい
裁判所は、必要があると認めるときは、職権で、証拠調べをすることができます。ただし、その証拠調べの結果について、当事者の意見をきかなければなりません(行政事件訴訟法24条)。
よって、本肢は正しいです。
裁判所は、必要があると認めるときは、職権で、証拠調べをすることができます。ただし、その証拠調べの結果について、当事者の意見をきかなければなりません(行政事件訴訟法24条)。
よって、本肢は正しいです。
3.取消訴訟の訴訟代理人については、代理人として選任する旨の書面による証明があれば誰でも訴訟代理人になることができ、弁護士等の資格は必要とされない。
3・・・誤り
取消訴訟の訴訟代理人の資格については、行政事件訴訟法に定めがないので、民事訴訟法のルールが適用されます(行政事件訴訟法7条)。民事訴訟法では、法令により裁判上の行為をすることができる代理人のほか、弁護士でなければ訴訟代理人となることができない、としています(民事訴訟法54条)。よって、弁護士資格が必要なので、本肢は誤りです。
取消訴訟の訴訟代理人の資格については、行政事件訴訟法に定めがないので、民事訴訟法のルールが適用されます(行政事件訴訟法7条)。民事訴訟法では、法令により裁判上の行為をすることができる代理人のほか、弁護士でなければ訴訟代理人となることができない、としています(民事訴訟法54条)。よって、弁護士資格が必要なので、本肢は誤りです。
4.裁判所は、処分の執行停止の必要があると認めるときは、職権で、処分の効力、処分の執行又は手続の続行の全部又は一部の停止をすることができる。
4・・・誤り
処分の取消しの訴えの提起があった場合において、処分、処分の執行又は手続の続行により生ずる重大な損害を避けるため緊急の必要があるときは、裁判所は、申立てにより、決定をもって、処分の効力、処分の執行又は手続の続行の全部又は一部の停止(執行停止)をすることができます(行政事件訴訟法25条2項)。
上記の通り、「職権」で行うことはできず、「申立て」がないと執行停止はできません。
よって、誤りです。
処分の取消しの訴えの提起があった場合において、処分、処分の執行又は手続の続行により生ずる重大な損害を避けるため緊急の必要があるときは、裁判所は、申立てにより、決定をもって、処分の効力、処分の執行又は手続の続行の全部又は一部の停止(執行停止)をすることができます(行政事件訴訟法25条2項)。
上記の通り、「職権」で行うことはできず、「申立て」がないと執行停止はできません。
よって、誤りです。
5.取消訴訟の審理は、書面によることが原則であり、当事者から口頭弁論の求めがあったときに限り、その機会を与えるものとされている。
5・・・誤り
取消訴訟の審理については、行政事件訴訟法で規定されていないので、民事訴訟法のルールが適用されます(行政事件訴訟法7条)。
当事者は、訴訟について、裁判所において口頭弁論をしなければなりません(民事訴訟法87条)。
よって、本肢は「原則、書面審理」となっているので誤りです。
取消訴訟の審理については、行政事件訴訟法で規定されていないので、民事訴訟法のルールが適用されます(行政事件訴訟法7条)。
当事者は、訴訟について、裁判所において口頭弁論をしなければなりません(民事訴訟法87条)。
よって、本肢は「原則、書面審理」となっているので誤りです。
平成25年度(2013年度)|行政書士試験の問題と解説
問1 | 基礎法学 | 問31 | 民法:債権 |
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問2 | 基礎法学 | 問32 | 民法:債権 |
問3 | 法の下の平等 | 問33 | 民法 |
問4 | 憲法と私法上の行為 | 問34 | 民法:債権 |
問5 | 権力分立 | 問35 | 民法:親族 |
問6 | 国会 | 問36 | 商法 |
問7 | 憲法・精神的自由 | 問37 | 会社法 |
問8 | 行政法 | 問38 | 会社法 |
問9 | 行政法 | 問39 | 会社法 |
問10 | 行政法 | 問40 | 会社法 |
問11 | 行政手続法 | 問41 | 憲法 |
問12 | 行政手続法 | 問42 | 行政法 |
問13 | 行政手続法 | 問43 | 行政法 |
問14 | 行政不服審査法等 | 問44 | 行政法・40字 |
問15 | 法改正のより削除 | 問45 | 民法・40字 |
問16 | 行政事件訴訟法 | 問46 | 民法・40字 |
問17 | 行政事件訴訟法 | 問47 | 基礎知識・政治 |
問18 | 行政事件訴訟法 | 問48 | 基礎知識・政治 |
問19 | 国家賠償法 | 問49 | 基礎知識・経済 |
問20 | 国家賠償法 | 問50 | 基礎知識・社会 |
問21 | 地方自治法 | 問51 | 基礎知識・社会 |
問22 | 地方自治法 | 問52 | 基礎知識・政治 |
問23 | 地方自治法 | 問53 | 基礎知識・社会 |
問24 | 地方自治法 | 問54 | 基礎知識・個人情報保護 |
問25 | 行政法 | 問55 | 基礎知識・個人情報保護 |
問26 | 行政法 | 問56 | 基礎知識・個人情報保護 |
問27 | 民法:総則 | 問57 | 基礎知識・情報通信 |
問28 | 民法:総則 | 問58 | 著作権の関係上省略 |
問29 | 民法:物権 | 問59 | 著作権の関係上省略 |
問30 | 民法:債権 | 問60 | 著作権の関係上省略 |