行政不服審査法(以下「行審法」という。)と行政事件訴訟法(以下「行訴法」という。)の比較に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
- 行訴法は、行政庁が処分をすべき旨を命ずることを求める訴訟として「義務付けの訴え」を設けているが、行審法は、このような義務付けを求める不服申立てを明示的には定めていない。
- 法改正により削除
- 行訴法は、取消訴訟の原告適格を処分等の取消しを求めるにつき「法律上の利益を有する者」に認めているが、行審法は、このような者に不服申立て適格が認められることを明示的には定めていない。
- 行訴法は、訴訟の結果により権利を害される第三者の訴訟参加に関する規定を置いているが、行審法は、利害関係人の不服申立てへの参加について明示的には定めていない。
- 行訴法は、取消訴訟における取消しの理由の制限として、自己の法律上の利益に関係のない違法を理由とすることはできないと定めているが、行審法は、このような理由の制限を明示的には定めていない。
【解説】
1.行訴法は、行政庁が処分をすべき旨を命ずることを求める訴訟として「義務付けの訴え」を設けているが、行審法は、このような義務付けを求める不服申立てを明示的には定めていない。
1・・・正しい
行政事件訴訟法は、行政庁が処分をすべき旨を命ずることを求める訴訟として「義務付けの訴え」を設けています(行政事件訴訟法3条6号)。行政不服審査法は、そのような義務付けを求める不服申し立ては、ありません。
行政事件訴訟法は、行政庁が処分をすべき旨を命ずることを求める訴訟として「義務付けの訴え」を設けています(行政事件訴訟法3条6号)。行政不服審査法は、そのような義務付けを求める不服申し立ては、ありません。
2.法改正により削除
2・・-
3.行訴法は、取消訴訟の原告適格を処分等の取消しを求めるにつき「法律上の利益を有する者」に認めているが、行審法は、このような者に不服申立て適格が認められることを明示的には定めていない。
3・・・正しい
行政事件訴訟法では、
取消訴訟は、当該処分又は裁決の取消しを求めるにつき「法律上の利益を有する者」に限り、提起することができる(行政事件訴訟法9条)と規定されています。一方、行政不服審査法には、不服申立て適格(誰が不服申し立てか)については明確に定めておらず、「行政庁の処分に不服がある者」は、審査請求をすることができる(行政不服審査法2条)としか定めていません。
行政事件訴訟法では、
取消訴訟は、当該処分又は裁決の取消しを求めるにつき「法律上の利益を有する者」に限り、提起することができる(行政事件訴訟法9条)と規定されています。一方、行政不服審査法には、不服申立て適格(誰が不服申し立てか)については明確に定めておらず、「行政庁の処分に不服がある者」は、審査請求をすることができる(行政不服審査法2条)としか定めていません。
なお、「最判昭53.3.14:主婦連ジュース事件」では、不服申立をするについて「法律上の利益をもつ者」を不服申立て適格と判示しています。
つまり、行政事件訴訟法と同じであると解しています。
4.行訴法は、訴訟の結果により権利を害される第三者の訴訟参加に関する規定を置いているが、行審法は、利害関係人の不服申立てへの参加について明示的には定めていない。
4・・・誤り
行政事件訴訟法では、
裁判所は、訴訟の結果により権利を害される第三者があるときは、当事者若しくはその第三者の申立てにより又は職権で、決定をもって、その第三者を訴訟に参加させることができる(行政事件訴訟法22条)としています。
よって、前半部分は正しいです。行政不服審査法では、
利害関係人は、審理員の許可を得て、当該審査請求に参加することができる(行政不服審査法13条)と明示的に定めています。
よって、この点が誤りです。
行政事件訴訟法では、
裁判所は、訴訟の結果により権利を害される第三者があるときは、当事者若しくはその第三者の申立てにより又は職権で、決定をもって、その第三者を訴訟に参加させることができる(行政事件訴訟法22条)としています。
よって、前半部分は正しいです。行政不服審査法では、
利害関係人は、審理員の許可を得て、当該審査請求に参加することができる(行政不服審査法13条)と明示的に定めています。
よって、この点が誤りです。
5.行訴法は、取消訴訟における取消しの理由の制限として、自己の法律上の利益に関係のない違法を理由とすることはできないと定めているが、行審法は、このような理由の制限を明示的には定めていない。
5・・・正しい
行政事件訴訟法では、
取消訴訟においては、自己の法律上の利益に関係のない違法を理由として取消しを求めることができない(行政事件訴訟法10条)と規定しています。一方、行政不服審査法は、このような理由の制限を明示的には定めていません。
行政事件訴訟法では、
取消訴訟においては、自己の法律上の利益に関係のない違法を理由として取消しを求めることができない(行政事件訴訟法10条)と規定しています。一方、行政不服審査法は、このような理由の制限を明示的には定めていません。
平成25年度(2013年度)|行政書士試験の問題と解説
問1 | 基礎法学 | 問31 | 民法:債権 |
---|---|---|---|
問2 | 基礎法学 | 問32 | 民法:債権 |
問3 | 法の下の平等 | 問33 | 民法 |
問4 | 憲法と私法上の行為 | 問34 | 民法:債権 |
問5 | 権力分立 | 問35 | 民法:親族 |
問6 | 国会 | 問36 | 商法 |
問7 | 憲法・精神的自由 | 問37 | 会社法 |
問8 | 行政法 | 問38 | 会社法 |
問9 | 行政法 | 問39 | 会社法 |
問10 | 行政法 | 問40 | 会社法 |
問11 | 行政手続法 | 問41 | 憲法 |
問12 | 行政手続法 | 問42 | 行政法 |
問13 | 行政手続法 | 問43 | 行政法 |
問14 | 行政不服審査法等 | 問44 | 行政法・40字 |
問15 | 法改正のより削除 | 問45 | 民法・40字 |
問16 | 行政事件訴訟法 | 問46 | 民法・40字 |
問17 | 行政事件訴訟法 | 問47 | 基礎知識・政治 |
問18 | 行政事件訴訟法 | 問48 | 基礎知識・政治 |
問19 | 国家賠償法 | 問49 | 基礎知識・経済 |
問20 | 国家賠償法 | 問50 | 基礎知識・社会 |
問21 | 地方自治法 | 問51 | 基礎知識・社会 |
問22 | 地方自治法 | 問52 | 基礎知識・政治 |
問23 | 地方自治法 | 問53 | 基礎知識・社会 |
問24 | 地方自治法 | 問54 | 基礎知識・個人情報保護 |
問25 | 行政法 | 問55 | 基礎知識・個人情報保護 |
問26 | 行政法 | 問56 | 基礎知識・個人情報保護 |
問27 | 民法:総則 | 問57 | 基礎知識・情報通信 |
問28 | 民法:総則 | 問58 | 著作権の関係上省略 |
問29 | 民法:物権 | 問59 | 著作権の関係上省略 |
問30 | 民法:債権 | 問60 | 著作権の関係上省略 |