憲法第28条
勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は、これを保障する。
憲法28条で、労働基本権を保障しているのですが、これは、国民一般としての権利ではなく、勤労者の立場にある者だけに保証される権利です。
そして、労働者が使用者と対等な立場で労働条件を決定するために、下記3つの権利が認められています。
- 団結権:労働組合を結成する権利
- 団体交渉権:労働組合と使用者の間で勤務条件などを交渉する権利
- 団体行動権:ストライキなどをする権利
これらの3つ併せて労働基本権と言います。
そして、この28条(労働基本権)の規定は、私人にも直接適用されます。例えば、労働者がストライキをした場合、労働者は働く義務を負っているにも関わらず、働いていないので、債務不履行により、使用者から損害賠償請求される可能性があります。しかし、この28条の労働基本権を直接使って、団体行動権を主張できるので、債務不履行に問われる心配もないわけです。
労働基本権に関する重要判例
- 「憲法第28条の労働基本権の保障は公務員に対して及ぶが、公務員の地位の特殊性と職務の公共性から、一般企業とは異なる制約を受ける。」として、公務員の争議行為は国民の利益に重大な影響を及ぼすので、規制されてもやむを得ず、国家公務員法第110条第1項第17号(あおり行為等の罪)の規定は憲法に違反しない。(最大判昭48.4.25:全農林警職法事件)
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