使用者責任とは?
「使用者責任」とは、被用者(例えば従業員)が、業務中に第三者に損害を与えてしまった場合に、使用者(例えば、会社)も損害賠償責任を負うことを言います。
使用者責任の成立要件
使用者責任は下記をすべて満たす場合に成立します。
- 被用者と使用者との間に指揮・監督関係がある
→雇用関係がなくても、事実上の指揮・監督関係があれば足りる - 被用者の行為が一般不法行為の成立要件を満たしている
- 被用者の行為が、事業の執行についての行為である(事業執行性)
→行為の外形から見て被用者の職務の範囲に属するものと認められれば足りる(最判昭39.2.4) - 使用者が選任・事業の監督について相当の注意をしていなかった
- 被用者の行為により第三者に損害が生じる
使用者責任の効果
使用者責任が成立すると、被害者は、使用者に対して、損害賠償請求ができます(民法715条)。
被害者は、被用者に対しては一般不法行為に基づいて損害賠償請求ができます(民法709条)。
求償の範囲
使用者が、被害者に対して損害賠償をした場合、使用者は被用者に対して求償することができ(民法715条3項)、具体的には、「使用者は、事業の性格、規模など様々な事情を考慮して、損害の公平な分担という観点から、信義則上相当と認められる限度」について、被用者に対して請求ができます(最判昭51.7.8)。
その他の行政書士試験で重要な判例については個別指導で解説します。
理解学習について
行政書士試験に合格するためには、膨大な量の知識を頭に入れる必要があります。そのためには「丸暗記で勉強」しても、覚えて忘れての繰り返しで、一向に実力が上がりません。そのため、着実に実力を上げるためには、理解をしながら勉強することが重要です。 もちろんすべてを理解することは難しいですが、理解すべき部分は理解していけば、膨大な量の知識を頭に入れることが可能です。 個別指導では、理解すべき部分を理解していただくために、「具体例や理由」などを入れて、詳しく分かりやすく解説しています。 また、丸暗記でよいものは、語呂合わせを使ったりして、効率的に覚えていただけるようにしています! 令和4年の合格を目指しているのであれば、是非、個別指導で一緒に勉強をしましょう! 個別指導の概要はこちら>>民法テキストの目次
作成中・・・参考条文
(使用者等の責任)
第715条 ある事業のために他人を使用する者は、被用者がその事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。ただし、使用者が被用者の選任及びその事業の監督について相当の注意をしたとき、又は相当の注意をしても損害が生ずべきであったときは、この限りでない。
2 使用者に代わって事業を監督する者も、前項の責任を負う。
3 前二項の規定は、使用者又は監督者から被用者に対する求償権の行使を妨げない。