令和7年度の行政書士試験対策の個別指導開講

令和6年・2024|問57|個人情報保護法

個人情報保護法 * に関する次の記述のうち、妥当でないものはどれか。 (注) * 個人情報の保護に関する法律

  1. 個人情報取扱事業者は、個人データの漏えい等が発生し、個人の権利利益を害するおそれが大きい場合には、個人情報保護委員会への報告を行わなければならない。
  2. 個人情報取扱事業者は、違法または不当な行為を助長し、または誘発するおそれがある方法により個人情報を利用してはならない。
  3. 個人情報取扱事業者は、個人データの第三者提供をした場合には、原則として、当該個人データを提供した年月日、当該第三者の氏名または名称その他の個人情報保護委員会規則で定める事項を記録しなければならない。
  4. 学術研究機関が学術研究目的で個人情報を取り扱う場合には、個人情報取扱事業者の義務に関する規定は適用されない。
  5. 国の行政機関や地方公共団体の機関にも、個人情報保護法の規定は適用される。

>解答と解説はこちら


【答え】:4
【解説】
1.個人情報取扱事業者は、個人データの漏えい等が発生し、個人の権利利益を害するおそれが大きい場合には、個人情報保護委員会への報告を行わなければならない。

1・・・妥当である

個人情報取扱事業者には、個人データの安全管理措置を講じる義務がありますが、万が一、以下のような事態が発生した場合には、報告義務が生じます。

  • 個人データの漏えい
  • 滅失(データが消えてしまうこと)
  • 毀損(データが壊れること)

そして、これらの事態により個人の権利利益を害するおそれが大きいと判断される場合には、個人情報保護委員会規則に従って、個人情報保護委員会に報告しなければならないとされています。

これは、個人情報保護法第26条第1項本文に定められています。

2.個人情報取扱事業者は、違法または不当な行為を助長し、または誘発するおそれがある方法により個人情報を利用してはならない。

2・・・妥当である

個人情報取扱事業者は、個人情報を利用する際に、単に目的の範囲内で利用すればよいというだけではなく、その利用方法自体が違法または不当な行為を助長・誘発するおそれがある場合には、そのような方法で利用してはならないとされています。

これは、個人情報保護法第19条に規定されているルールです。

具体例

  • 詐欺に利用されることが明らかな名簿業者への販売
  • 就職差別につながるようなデータ分析の提供
  • 犯罪組織などに対する顧客情報の提供

などは、「不当な行為を助長・誘発するおそれがある利用方法」とされ、法令違反になります。

3.個人情報取扱事業者は、個人データの第三者提供をした場合には、原則として、当該個人データを提供した年月日、当該第三者の氏名または名称その他の個人情報保護委員会規則で定める事項を記録しなければならない。

3・・・妥当である

個人情報取扱事業者が、個人データを第三者に提供した場合には、
後でその提供内容を確認できるように、一定の記録を残す義務があります。

この記録義務は、以下のような情報を含むものです。

  • 提供した年月日
  • 提供先となる第三者の氏名または名称
  • その他、個人情報保護委員会規則で定められた事項

これは、個人情報保護法第29条第1項に規定されています。

なぜ記録が必要?

後になって個人データの流通経路や提供先について確認・検証できるようにすることで、
不正利用や漏えいのリスクを抑え、本人の権利を保護するためです。

例外に注意!

この記録義務には例外規定もあります。
たとえば、法令に基づく提供や緊急時の提供など、一定の条件下では記録義務が免除されるケースもありますが、
「原則として記録が必要」というこの問題文の記述は正しいです。

4.学術研究機関が学術研究目的で個人情報を取り扱う場合には、個人情報取扱事業者の義務に関する規定は適用されない。

4・・・妥当でない

学術研究機関には一律の適用除外はありません。

たしかに、個人情報保護法には、一部の機関や団体に対して、特定の目的で個人情報を取り扱う場合に限り、
個人情報取扱事業者としての義務が適用除外となるケースがあります(個人情報保護法57条1項)。

たとえば、

  • 報道機関 → 報道目的
  • 著述業 → 著述目的
  • 宗教団体 → 宗教活動
  • 政治団体 → 政治活動

→ これらは法律上、明確に適用除外とされているのです。

では学術研究機関は?

→ 学術研究機関は「一律に適用除外されているわけではありません」。

つまり、他の機関のように、学術研究を目的としているからといって、個人情報保護法の規定が完全に適用されないわけではありません

ただし、実際の運用においては、学術研究の重要性に配慮しつつ、特定の義務については柔軟に扱われるよう調整されています。

これは、義務ごとの例外規定(個人情報保護法第76条以下)として規定されており、
例えば、利用目的の明示義務や第三者提供に関する義務などについて、研究の性質に応じた特例措置が認められているのです。

5.国の行政機関や地方公共団体の機関にも、個人情報保護法の規定は適用される。

5・・・妥当である

個人情報保護法の適用範囲は「民間」だけではありません。
一般に「個人情報保護法」というと、民間企業などに対するルールを想像しがちですが、
実はこの法律は、公的部門(行政機関や地方公共団体)にも適用されます。

ただし、適用される章や条文が異なります。

対象 適用される章(主な部分)
民間企業などの事業者 第4章(第16条〜)
国の行政機関 第5章(第57条〜)
地方公共団体の機関 第6章(第65条〜)

つまり、章ごとに適用対象が異なるだけで、法律自体は国や地方公共団体にも適用されているのです。

具体的には?

例えば:

国の行政機関には、「行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律」がかつて別に存在していましたが、現在では、個人情報保護法の中に統合されて一体化されています。

地方公共団体も、個人情報の取り扱いについては、個人情報保護法の枠組みに従う義務があります(条例との整合を図りつつ)。


令和6年(2024年)過去問

問1 基礎法学 問31 民法
問2 基礎法学 問32 民法
問3 憲法 問33 民法
問4 憲法 問34 民法
問5 憲法 問35 民法
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 多肢選択
問12 行政手続法 問42 多肢選択
問13 行政手続法 問43 多肢選択
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行服法・行訴法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識
問20 国家賠償法 問50 基礎知識
問21 国家賠償法 問51 基礎知識
問22 地方自治法 問52 行政書士法
問23 地方自治法 問53 住民基本台帳法
問24 地方自治法 問54 基礎知識
問25 行政法 問55 基礎知識
問26 公文書管理法 問56 基礎知識
問27 民法 問57 個人情報保護法
問28 民法 問58 著作権の関係上省略
問29 民法 問59 著作権の関係上省略
問30 民法 問60 著作権の関係上省略

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