ジェンダーに関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。
- 世界経済フォーラムが毎年発表しているジェンダーギャップ指数において、2006年の開始以来、日本は常に上位10位以内に入っている。
- 出生時に割り当てられた性別に対し苦痛を感じている人が受けるホルモン療法や性別適合手術等の医療技術のことを、フェムテックという。
- レインボーフラッグは、性の多様性を尊重するシンボルとして用いられている。
- 複数の大学の医学部の入学試験で、性別を理由に男性の受験生が不当に減点されていたことが2018年に明らかになり、訴訟となった例もある。
- 働く女性が妊娠・出産を理由に解雇・雇止めをされることや、妊娠・出産にあたって職場で受ける精神的・肉体的なハラスメントを、カスタマー・ハラスメントという。
【答え】:3
【解説】
1・・・妥当でない
日本は2006年の第1回調査では115カ国中80位、2024年の調査では146カ国中118位と、いずれも上位10位以内には入っていません。むしろ、日本の順位は世界的に見てかなり低く、G7諸国の中では常に最下位の水準です。
分野別の評価では、以下のような傾向があります。
- 教育分野や医療へのアクセスは比較的評価が高い
- 一方で、政治参加や経済活動への参画(女性管理職の割合など)は評価が非常に低い
【ジェンダーギャップ指数とは?】
- ジェンダーギャップ指数は、世界経済フォーラム(WEF)が毎年発表している指標です。
「経済」「教育」「政治」「健康」の4つの分野で、男女間の格差を数値化して評価します。 - 指数は 0.000〜1.000 の範囲で示され、1.000に近いほど男女平等を達成していることを意味します。
- 「男女平等の進展状況」を国際比較する際の重要な指標として使われています。
2・・・妥当でない
「フェムテック(Femtech)」とは、女性の健康に関する課題をテクノロジーによって解決しようとする製品やサービスを指す言葉です。
この語は、「Female(女性)」+「Technology(技術)」の合成語で、2010年代に欧米を中心に広まった概念です。
フェムテックの主な対象分野には以下のようなものがあります:
- 月経管理(生理予測アプリ、吸水ショーツなど)
- 妊活・不妊治療
- 妊娠・出産・育児支援
- 更年期ケア
- 性感染症の予防や治療
- 女性特有の疾患(子宮内膜症、乳がんなど)に関するサポート
したがって、性別に違和感を覚える人(トランスジェンダーなど)が受けるホルモン療法や性別適合手術は、フェムテックには含まれません。
それらは「ジェンダー医療」や「トランスジェンダー医療」といった別の分野に分類されます。
3・・・妥当である
レインボーフラッグは、LGBT(レズビアン・ゲイ・バイセクシュアル・トランスジェンダー)など性的マイノリティの尊厳や権利を象徴する旗として、世界中で広く用いられています。
性的指向や性自認を含む「性の多様性」を尊重する象徴として、パレードやイベント、SNSなどでも頻繁に使用されています。
この旗は1978年にアメリカのアーティスト、ギルバート・ベイカーによって初めてデザインされました。
当初は8色で構成されており、それぞれに「生命」「癒し」「太陽」「自然」などの意味が込められていました。
現在広く使われているバージョンは、6色(赤・橙・黄・緑・青・紫)で構成されています。
色 | 意味 |
---|---|
赤 | 生命 |
橙 | 癒し |
黄 | 太陽 |
緑 | 自然 |
青 | 調和・平和 |
紫 | 精神 |
4・・・妥当でない
2018年に発覚したのは、性別を理由に女性の受験生が不当に減点されていたという問題です。
対象となったのは複数の私立大学の医学部で、女子や浪人生が合格しにくくなるように意図的に点数を操作していたことが明らかになりました。
とくに大きな注目を集めたのは、東京医科大学の入試不正です。
同大学では、女子の合格者数を一定数に抑えるために、女子受験生の点数を一律に減点していたとされています。
【背景と影響】
背景には、「女性医師は結婚や出産で離職する可能性が高く、人手不足になる」といった偏見があったとされます。
この問題を受けて、文部科学省が全国の医学部入試の調査を実施。
元受験生が不当な差別を受けたとして、損害賠償を求める訴訟を起こしたケースもあります。
このような性差別的な入試操作は、教育の公平性やジェンダー平等の観点から大きな社会問題となりました。
5・・・妥当でない
この記述は用語の誤用であり、「カスタマー・ハラスメント」ではなく「マタニティー・ハラスメント(マタハラ)」の説明です。
<マタニティー・ハラスメント(マタハラ)>
マタハラとは、働く女性が妊娠・出産・育児を理由に、以下のような不当な扱いを受けることを指します。
- 解雇・雇止め・降格
- 退職の強要
- 職場での嫌がらせ(精神的・肉体的なものを含む)
このような行為は、男女雇用機会均等法に違反する可能性があり、違法となる場合があります。
特に注目されたのが、2014年の最高裁判決です。
この判決では、「妊娠を理由に女性を降格させることは、原則として違法である」とする判断が初めて示され、マタハラ問題への注目が一気に高まりました。
❌ 混同注意:カスタマー・ハラスメント(カスハラ)
一方、カスタマー・ハラスメントとは、顧客や利用者から従業員への暴言・暴力・不当な要求などの迷惑行為を指します。
例:
- 長時間のクレーム対応の強要
- 土下座の要求
- SNSなどでの執拗な攻撃
つまり、本肢の内容は「マタハラ」に関するものであり、「カスハラ」とは全く別のハラスメントです。
令和6年(2024年)過去問
問1 | 基礎法学 | 問31 | 民法 |
---|---|---|---|
問2 | 基礎法学 | 問32 | 民法 |
問3 | 憲法 | 問33 | 民法 |
問4 | 憲法 | 問34 | 民法 |
問5 | 憲法 | 問35 | 民法 |
問6 | 憲法 | 問36 | 商法 |
問7 | 憲法 | 問37 | 会社法 |
問8 | 行政法 | 問38 | 会社法 |
問9 | 行政法 | 問39 | 会社法 |
問10 | 行政法 | 問40 | 会社法 |
問11 | 行政手続法 | 問41 | 多肢選択 |
問12 | 行政手続法 | 問42 | 多肢選択 |
問13 | 行政手続法 | 問43 | 多肢選択 |
問14 | 行政不服審査法 | 問44 | 行政法・40字 |
問15 | 行政不服審査法 | 問45 | 民法・40字 |
問16 | 行服法・行訴法 | 問46 | 民法・40字 |
問17 | 行政事件訴訟法 | 問47 | 基礎知識 |
問18 | 行政事件訴訟法 | 問48 | 基礎知識 |
問19 | 行政事件訴訟法 | 問49 | 基礎知識 |
問20 | 国家賠償法 | 問50 | 基礎知識 |
問21 | 国家賠償法 | 問51 | 基礎知識 |
問22 | 地方自治法 | 問52 | 行政書士法 |
問23 | 地方自治法 | 問53 | 住民基本台帳法 |
問24 | 地方自治法 | 問54 | 基礎知識 |
問25 | 行政法 | 問55 | 基礎知識 |
問26 | 公文書管理法 | 問56 | 基礎知識 |
問27 | 民法 | 問57 | 個人情報保護法 |
問28 | 民法 | 問58 | 著作権の関係上省略 |
問29 | 民法 | 問59 | 著作権の関係上省略 |
問30 | 民法 | 問60 | 著作権の関係上省略 |
