Aは、Bとの間で、BがCから購入した甲土地(以下「甲」という)を買い受ける契約を締結し、Bに対して代金全額を支払ったが、甲の登記名義はいまだCのままである。BC間の売買において、CがBへの移転登記を拒む理由は存在せず、また、BがCに対して移転登記手続をすべきことを請求している事実もない。一方、Aは、早期に甲の所有権取得の対抗要件として登記を具備したい。 このような場合、Aは、何のために、誰の誰に対するいかなる権利を、どのように行使できるか。40字程度で記述しなさい。
【答え】:Aは、移転登記請求権を保全するために、BのCに対する移転登記請求権を代位行使できる。(42字)
Aは、登記請求権を保全するため、BのCに対する登記請求権を代位行使できる。(42字)
【解説】
<問題の概要>
- AはBから甲土地を買い受け、代金も全額支払済み。
- しかし、甲の登記名義はCのままで、Bへの登記も未了。
- Cは登記を拒む理由なし。
- BはCに登記を請求していない。
- Aは早く自分の登記を得たいが、その前提として、まずC→Bの登記が必要。
<1. Aの立場と目的>
AはBから土地を買ったが、登記がないため第三者に対抗できません。
Aが自らの登記を得るには、次の2段階が必要です。
- C → Bの登記
- B → Aの登記
しかし現在、BがCに対して登記請求をしていないため、Aが自分の登記を得るためにはまずC→Bの登記が必要です。
<2. 法的手段:債権者代位権(特則)>
このような場合、Aは、BのCに対する登記請求権を代わりに行使することができます。
登記または登録をしなければ権利の得喪・変更を第三者に対抗できない財産を譲り受けた者は、
譲渡人が第三者に対して有する登記請求権を行使しないときは、
登記請求権を代位行使できる。
この条文は、債権者代位権の特則で、通常の代位要件(無資力など)を不要としています。
つまり、Aは自己の権利保全(登記による対抗要件の取得)のために、BのCに対する登記請求権を代位して行使できます。
<3. 行使の方法>
AがCに対して、Bの立場に立って「甲土地をB名義に登記せよ」と請求することができます(代位登記請求訴訟など)。
この請求が認められれば、まずC→Bの登記が実現し、その後、B→Aの登記をすることで、Aが第三者に対して自己の権利を主張できるようになります。
<まとめると>
- Aの目的は、「自己の登記を実現」すること(=登記請求権の保全)。
- 手段は、「BのCに対する登記請求権」を「代位行使」すること。
よって、Aは、移転登記請求権を保全するために、BのCに対する移転登記請求権を代位行使できる。(42字)
令和6年(2024年)過去問
問1 | 基礎法学 | 問31 | 民法 |
---|---|---|---|
問2 | 基礎法学 | 問32 | 民法 |
問3 | 憲法 | 問33 | 民法 |
問4 | 憲法 | 問34 | 民法 |
問5 | 憲法 | 問35 | 民法 |
問6 | 憲法 | 問36 | 商法 |
問7 | 憲法 | 問37 | 会社法 |
問8 | 行政法 | 問38 | 会社法 |
問9 | 行政法 | 問39 | 会社法 |
問10 | 行政法 | 問40 | 会社法 |
問11 | 行政手続法 | 問41 | 多肢選択 |
問12 | 行政手続法 | 問42 | 多肢選択 |
問13 | 行政手続法 | 問43 | 多肢選択 |
問14 | 行政不服審査法 | 問44 | 行政法・40字 |
問15 | 行政不服審査法 | 問45 | 民法・40字 |
問16 | 行服法・行訴法 | 問46 | 民法・40字 |
問17 | 行政事件訴訟法 | 問47 | 基礎知識 |
問18 | 行政事件訴訟法 | 問48 | 基礎知識 |
問19 | 行政事件訴訟法 | 問49 | 基礎知識 |
問20 | 国家賠償法 | 問50 | 基礎知識 |
問21 | 国家賠償法 | 問51 | 基礎知識 |
問22 | 地方自治法 | 問52 | 行政書士法 |
問23 | 地方自治法 | 問53 | 住民基本台帳法 |
問24 | 地方自治法 | 問54 | 基礎知識 |
問25 | 行政法 | 問55 | 基礎知識 |
問26 | 公文書管理法 | 問56 | 基礎知識 |
問27 | 民法 | 問57 | 個人情報保護法 |
問28 | 民法 | 問58 | 著作権の関係上省略 |
問29 | 民法 | 問59 | 著作権の関係上省略 |
問30 | 民法 | 問60 | 著作権の関係上省略 |
