令和7年度の行政書士試験対策の個別指導開講

令和6年・2024|問42|多肢選択

次の文章の空欄[ ア ]~[ エ ]にあてはまる語句を、枠内の選択肢(1~20)から選びなさい。

特定の公益事業の用に供するために、私人の特定の財産権を強制的に取得し、または消滅させることを、[ ア ]といい、これについて定めた代表的な法律として土地収用法が存在する。 土地収用法は、土地収用の手続および補償について定めるが、補償の要否および範囲をめぐって訴訟が提起されることがある。同法88条は、他の条文で規定する損失に加えて、その他土地を収用し、または使用することによって発生する土地所有者または関係人の「[ イ ]損失」を補償する旨定めているが、この規定をめぐって、いわゆる輪中堤の文化財的価値が損失補償の対象となるか否かが争われた事案がある。 昭和63年1月21日の最高裁判決は、同条にいう「[ イ ]損失」とは、客観的社会的にみて収用に基づき被収用者が当然に受けるであろうと考えられる経済的・[ ウ ]な損失をいうと解するのが相当であって、経済的価値でない特殊な価値については補償の対象とならないとした。そして、由緒ある書画、刀剣、工芸品等のように、その美術性・歴史性などのいわゆる文化財的価値なるものが、当該物件の取引価格に反映し、その[ エ ]を形成する一要素となる場合には、かかる文化財的価値を反映した[ エ ]がその物件の補償されるべき相当な価格となるが、他方で、貝塚、古戦場、関跡などにみられるような、主としてそれによって国の歴史を理解し往時の生活・文化等を知り得るという意味での歴史的・学術的な価値は、特段の事情のない限り、当該土地の不動産としての経済的・[ ウ ]価値を何ら高めるものではなく、その[ エ ]の形成に影響を与えることはないから、このような意味での文化財的価値は、それ自体経済的評価になじまないものとして、土地収用法上損失補償の対象とはなり得ないと判示し、輪中堤の文化財的価値に対する損失補償を否定した。
1.強制徴収  2.特殊利益  3.受忍限度内の  4.財産的  5.適正な  6.社会通念  7.特別の犠牲  8.都市計画  9.合理的  10.市場価格  11.法律により保護された  12.絶対的  13.公用収用  14.所有権  15.反射的  16.権利利益  17.国家補償  18.通常受ける  19.精神的  20.行政上の強制執行

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【答え】:ア:公用収用、イ:通常受ける、ウ:財産的、エ:市場価格
【解説】
特定の公益事業の用に供するために、私人の特定の財産権を強制的に取得し、または消滅させることを、[ア:公用収用]といい、これについて定めた代表的な法律として土地収用法が存在する。 土地収用法は、土地収用の手続および補償について定めるが、補償の要否および範囲をめぐって訴訟が提起されることがある。同法88条は、他の条文で規定する損失に加えて、その他土地を収用し、または使用することによって発生する土地所有者または関係人の「[イ:通常受ける]損失」を補償する旨定めているが、この規定をめぐって、いわゆる輪中堤の文化財的価値が損失補償の対象となるか否かが争われた事案がある。 昭和63年1月21日の最高裁判決は、同条にいう「[イ:通常受ける]損失」とは、客観的社会的にみて収用に基づき被収用者が当然に受けるであろうと考えられる経済的・[ウ:財産的]な損失をいうと解するのが相当であって、経済的価値でない特殊な価値については補償の対象とならないとした。そして、由緒ある書画、刀剣、工芸品等のように、その美術性・歴史性などのいわゆる文化財的価値なるものが、当該物件の取引価格に反映し、その[エ:市場価格]を形成する一要素となる場合には、かかる文化財的価値を反映した[エ:市場価格]がその物件の補償されるべき相当な価格となるが、他方で、貝塚、古戦場、関跡などにみられるような、主としてそれによって国の歴史を理解し往時の生活・文化等を知り得るという意味での歴史的・学術的な価値は、特段の事情のない限り、当該土地の不動産としての経済的・[ウ:財産的]価値を何ら高めるものではなく、その[エ:市場価格]の形成に影響を与えることはないから、このような意味での文化財的価値は、それ自体経済的評価になじまないものとして、土地収用法上損失補償の対象とはなり得ないと判示し、輪中堤の文化財的価値に対する損失補償を否定した。
特定の公益事業の用に供するために、私人の特定の財産権を強制的に取得し、または消滅させることを、[ ア ]といい

ア・・・公用収用

「私人の特定の財産権を強制的に取得」「特定の公益事業の用に供するため」などのキーワードが出てきます。

このように個人の財産を公共の目的のために強制的に取得する制度を指す法律用語は「公用収用」です。

他の選択肢(強制徴収、行政上の強制執行など)は税や義務の履行に関する文脈で使われるので不適切です。

土地収用法は、土地収用の手続および補償について定めるが、補償の要否および範囲をめぐって訴訟が提起されることがある。同法88条は、他の条文で規定する損失に加えて、その他土地を収用し、または使用することによって発生する土地所有者または関係人の「[ イ ]損失」を補償する旨定めている

イ・・・通常受ける

キーワードは「その他土地を収用し、または使用することによって発生する損失」です。

土地収用法88条では、「通常生ずべき損失」、つまり「当然に受けるであろうと考えられる損失」に対して補償すると定めています。

判例でも「通常受ける損失」という文言が使われています。

「特別の犠牲」「特殊利益」など似たような語句もありますが、それらは憲法上の議論や別の補償原則に使われる用語なので不適切です。

同条にいう「[ イ:通常受ける ]損失」とは、客観的社会的にみて収用に基づき被収用者が当然に受けるであろうと考えられる経済的・[ ウ ]な損失をいうと解するのが相当であって、経済的価値でない特殊な価値については補償の対象とならないとした。

ウ・・・財産的

直前に「経済的」とあるので、それに続くものは同じく「金銭的価値」を表す単語です。

「精神的」だと補償の対象としてなじまないし、「合理的」「社会通念」などは形容詞的で合わないです。
判例の言い回しで「経済的・財産的損失」とワンセットで出るので、ここは「財産的」で確定します。

由緒ある書画、刀剣、工芸品等のように、その美術性・歴史性などのいわゆる文化財的価値なるものが、当該物件の取引価格に反映し、その[ エ ]を形成する一要素となる場合には、かかる文化財的価値を反映した[ エ ]がその物件の補償されるべき相当な価格となる

エ・・・市場価格

文脈は、「文化財的価値が取引価格に反映するかどうか」という話です。

土地や財産の補償を考えるときに、「相当な価格」というのは結局「市場で取引される価格」によって決まります。

「市場価格」は経済的価値を表す代表的な用語です。

他の選択肢(適正な、絶対的など)は抽象的すぎたり、法的用語としてはふさわしくないです。

令和6年(2024年)過去問

問1 基礎法学 問31 民法
問2 基礎法学 問32 民法
問3 憲法 問33 民法
問4 憲法 問34 民法
問5 憲法 問35 民法
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 多肢選択
問12 行政手続法 問42 多肢選択
問13 行政手続法 問43 多肢選択
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行服法・行訴法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識
問20 国家賠償法 問50 基礎知識
問21 国家賠償法 問51 基礎知識
問22 地方自治法 問52 行政書士法
問23 地方自治法 問53 住民基本台帳法
問24 地方自治法 問54 基礎知識
問25 行政法 問55 基礎知識
問26 公文書管理法 問56 基礎知識
問27 民法 問57 個人情報保護法
問28 民法 問58 著作権の関係上省略
問29 民法 問59 著作権の関係上省略
問30 民法 問60 著作権の関係上省略
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