次の文章は、婚外子の法定相続分を嫡出である子の1/2と定めていた民法規定(以下「本件規定」という)を違憲とした最高裁判所の決定の一部である。空欄[ ア ]~[ エ ]にあてはまる語句を、枠内の選択肢(1~20)から選びなさい。
【答え】:ア:先例、イ:事実上の拘束性、ウ:法的安定性、エ:確定的
【解説】
ア・・・先例
「違憲判断が〇〇としての△△という形で…」という表現から、裁判所の判断が将来の判断に影響を与えるという文脈が読み取れます。
このような性質をもつのは、「先例(判例)」です。特に最高裁の違憲判断は、それ以降の裁判や実務に大きな影響を及ぼします。
❌間違いやすい選択肢でいうと、「公権力」や「裁量統制」がありますが、これらは文意に合いません(違憲判断が“公権力”になるわけではない)。
イ・・・事実上の拘束性
判例は厳密には法源ではありませんが、「実務上非常に強い影響力(拘束力)」を持ちます。
特に最高裁判所の判例には、下級審に対して「事実上の拘束力」があると言われます。
よって、「事実上の拘束性」が自然に当てはまります。
間違いやすい選択肢として、「法令審査」や「影響力の行使」などがありますが意味は近いですが文脈に適合しません。
ウ・・・法的安定性
解決済みの遺産分割に遡って影響が及ぶとすると、「法律関係が不安定になる」という文脈です。
このとき重視される法的価値は「法的安定性」です。
判例の変更や違憲判断がある場合、「法的安定性」と「実質的正義(衡平)」のバランスが常に問題になります。
間違いやすい選択肢として、「衡平」や「実質的正義」があります。「衡平」や「実質的正義」も価値判断ですが、この文脈では「安定性」を重視しているので不適切です。
エ・・・確定的
ここでは、「すでに確定している法律関係」と「未確定な法律関係」を区別しています。
つまり、「すでに協議や裁判で最終的に決着がついているか」が分かれ目です。
よって「確定的」が最も適切です。
間違いやすい選択肢として「具体的」「終審裁判所」などがありますが、これらを入れると意味が合いません。
令和6年(2024年)過去問
問1 | 基礎法学 | 問31 | 民法 |
---|---|---|---|
問2 | 基礎法学 | 問32 | 民法 |
問3 | 憲法 | 問33 | 民法 |
問4 | 憲法 | 問34 | 民法 |
問5 | 憲法 | 問35 | 民法 |
問6 | 憲法 | 問36 | 商法 |
問7 | 憲法 | 問37 | 会社法 |
問8 | 行政法 | 問38 | 会社法 |
問9 | 行政法 | 問39 | 会社法 |
問10 | 行政法 | 問40 | 会社法 |
問11 | 行政手続法 | 問41 | 多肢選択 |
問12 | 行政手続法 | 問42 | 多肢選択 |
問13 | 行政手続法 | 問43 | 多肢選択 |
問14 | 行政不服審査法 | 問44 | 行政法・40字 |
問15 | 行政不服審査法 | 問45 | 民法・40字 |
問16 | 行服法・行訴法 | 問46 | 民法・40字 |
問17 | 行政事件訴訟法 | 問47 | 基礎知識 |
問18 | 行政事件訴訟法 | 問48 | 基礎知識 |
問19 | 行政事件訴訟法 | 問49 | 基礎知識 |
問20 | 国家賠償法 | 問50 | 基礎知識 |
問21 | 国家賠償法 | 問51 | 基礎知識 |
問22 | 地方自治法 | 問52 | 行政書士法 |
問23 | 地方自治法 | 問53 | 住民基本台帳法 |
問24 | 地方自治法 | 問54 | 基礎知識 |
問25 | 行政法 | 問55 | 基礎知識 |
問26 | 公文書管理法 | 問56 | 基礎知識 |
問27 | 民法 | 問57 | 個人情報保護法 |
問28 | 民法 | 問58 | 著作権の関係上省略 |
問29 | 民法 | 問59 | 著作権の関係上省略 |
問30 | 民法 | 問60 | 著作権の関係上省略 |