令和7年度の行政書士試験対策の個別指導開講

令和6年・2024|問40|会社法

会社訴訟に関する次の記述のうち、会社法の規定に照らし、誤っているものはどれか。なお、定款に別段の定めがないものとする。

  1. 株主総会の決議の内容が法令に違反するときは、当該株主総会決議の日から3ヵ月以内に、訴えをもってのみ当該決議の取消しを請求することができる。
  2. 会社の設立無効は、会社の成立の日から2年以内に、訴えをもってのみ主張できる。
  3. 新株発行無効の訴えに係る請求を認容する判決が確定したときは、当該判決において無効とされた行為は、将来に向かってその効力を失う。
  4. 6ヵ月前から引き続き株式を有する株主は、公開会社に対し、役員等の責任を追及する訴えの提起を請求することができる。
  5. 株式会社の役員の解任の訴えは、当該株式会社および当該解任を請求された役員を被告とする。

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【答え】:1
【解説】
1.株主総会の決議の内容が法令に違反するときは、当該株主総会決議の日から3ヵ月以内に、訴えをもってのみ当該決議の取消しを請求することができる。

1・・・誤り

株主総会の決議法令に違反している場合、その決議は無効となります(会社法830条2項)。
無効な決議に対しては、取消しの訴えを提起する必要はなく、期間の制限もありません。つまり、いつでも・誰でも・どのような手続きでも無効を主張することができます。

一方、株主総会の決議が定款に違反している場合は、「取消しの訴え」によって対応する必要があり、この場合は決議の日から3ヵ月以内に訴えを提起しなければなりません(会社法831条1項2号)。

  • 法令違反の決議 → 無効(期間制限なし)
  • 定款違反の決議 → 取消し(3ヵ月以内に訴え)
2.会社の設立無効は、会社の成立の日から2年以内に、訴えをもってのみ主張できる。

2・・・正しい

会社が設立された後、その設立に重大な瑕疵があったとしても、いつまでも無効を主張できるようにしてしまうと、会社や関係者の法律関係が不安定になります。

そこで会社法は、設立の無効については、成立の日から2年以内に「設立無効の訴え」を提起することでしか主張できないと定めています(会社法828条1項1号、2項1号)。

つまり、一般の法律行為と違って、
「いつでも・誰でも・どのようにでも」無効を主張できるわけではありません。
会社の安定性と取引の安全を確保するため、期間制限と訴訟手続による限定が設けられているのです。

3.新株発行無効の訴えに係る請求を認容する判決が確定したときは、当該判決において無効とされた行為は、将来に向かってその効力を失う。

3・・・正しい

新株発行無効の訴え」において、裁判所が発行を無効と判断し、その判決が確定した場合でも、すでに成立した法律関係をさかのぼって消すことはしません。つまり、その判決には遡及効(過去にさかのぼる効力)がないのです(会社法839条)。

このようにして、株式を取得した第三者との間の法律関係や市場の安定性を守るのが目的です。
したがって、確定判決によって新株発行が無効になったとしても、その効力は将来に向かってのみ発生します。

本肢は理解した方が良いので、理解すべき部分は個別指導で解説します。

4.6ヵ月前から引き続き株式を有する株主は、公開会社に対し、役員等の責任を追及する訴えの提起を請求することができる。

4・・・正しい

株式会社に損害を与えた役員等に対して、本来その責任を追及すべきなのは会社自身です。
しかし、会社を代表して訴訟を起こすのは役員自身であるため、その役員が関与している場合、責任追及が行われないおそれがあります。

そこで会社法は、一定の条件を満たした株主に、代わりに会社へ「責任追及訴訟を起こすよう請求する権利(提訴請求権)」を認めています(会社法847条1項)。

請求できる株主の条件(公開会社の場合)

  • 6ヵ月前から引き続き株式を保有していること

この要件を満たす株主であれば、会社に対し、役員等の責任追及訴訟を起こすよう請求できます。
これにより、会社の内部統制が働かない場合でも、株主によって健全な経営が確保される仕組みになっています。

5.株式会社の役員の解任の訴えは、当該株式会社および当該解任を請求された役員を被告とする。

5・・・正しい

株式会社の役員(取締役・監査役など)は、原則として株主総会の決議によって解任されます(会社法339条1項など)。
しかし、解任すべき事情があるにもかかわらず、株主総会で解任決議が否決された場合、株主によるコントロールが効かなくなってしまいます。

そこで、一定の要件を満たす少数株主には、「役員解任の訴え」を提起する権利が認められています(会社法854条)。

誰を被告にするのか?

この「役員解任の訴え」は、以下の2者を被告として提起する必要があります(会社法855条)。

  1. 当該株式会社(=会社自身)
  2. 解任を求める対象の役員(=その役員個人)

これは、役員の地位に関する法的争いであると同時に、会社の機関構成に影響する問題でもあるため、会社と役員の両方が利害関係者になるからです。


令和6年(2024年)過去問

問1 基礎法学 問31 民法
問2 基礎法学 問32 民法
問3 憲法 問33 民法
問4 憲法 問34 民法
問5 憲法 問35 民法
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 多肢選択
問12 行政手続法 問42 多肢選択
問13 行政手続法 問43 多肢選択
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行服法・行訴法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識
問20 国家賠償法 問50 基礎知識
問21 国家賠償法 問51 基礎知識
問22 地方自治法 問52 行政書士法
問23 地方自治法 問53 住民基本台帳法
問24 地方自治法 問54 基礎知識
問25 行政法 問55 基礎知識
問26 公文書管理法 問56 基礎知識
問27 民法 問57 個人情報保護法
問28 民法 問58 著作権の関係上省略
問29 民法 問59 著作権の関係上省略
問30 民法 問60 著作権の関係上省略

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