令和7年度の行政書士試験対策の個別指導開講

令和6年・2024|問39|会社法

株式交換に関する次の記述のうち、会社法の規定に照らし、正しいものはどれか。

  1. 株式交換完全親会社は、株式会社でなければならない。
  2. 株式交換完全親会社は、株式交換完全子会社の発行済株式の一部のみを取得することとなる株式交換を行うことができる。
  3. 株式交換完全親会社は、株式交換完全子会社の株主に対し、当該株式交換完全親会社の株式に代わる金銭等を交付することができる。
  4. 株式交換完全親会社の反対株主は、当該株式交換完全親会社に対し、自己の有する株式を公正な価格で買い取ることを請求することはできない。
  5. 株式交換契約新株予約権が付された、株式交換完全子会社の新株予約権付社債の社債権者は、当該株式交換完全子会社に対し、株式交換について異議を述べることはできない。

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【答え】:3
【解説】
1.株式交換完全親会社は、株式会社でなければならない。

1・・・誤り

株式交換とは、ある会社(完全子会社となる会社)がその発行済株式のすべてを、他の会社(完全親会社)に取得させる制度です(会社法2条31号)。

このとき、株式交換完全親会社になれるのは、株式会社だけではなく、合同会社も含まれます。
つまり、合同会社も株式交換完全親会社になることが可能です(会社法767条 かっこ書き)。

2.株式交換完全親会社は、株式交換完全子会社の発行済株式の一部のみを取得することとなる株式交換を行うことができる。

2・・・誤り

株式交換とは、ある会社が他の会社の発行済株式「すべて」を取得して、その会社を完全子会社にする制度です(会社法2条31号。肢1の解説も参照)。

したがって、株式の「一部のみ」を取得する形での株式交換は認められていません。

会社法769条1項でも、株式交換完全親会社は、株式交換の効力発生日に完全子会社の発行済株式「すべて」を取得すると定められています。

つまり、株式交換は“全部取得”が原則であり、一部取得では成立しません

3.株式交換完全親会社は、株式交換完全子会社の株主に対し、当該株式交換完全親会社の株式に代わる金銭等を交付することができる。

3・・・正しい

株式交換では、通常、完全子会社となる会社の株主に対して、完全親会社の「株式」を交付します。
しかし、会社法768条1項2号により、親会社の株式に代えて「金銭・社債・新株予約権」などの他の財産を交付することも認められています。

このように、対価の内容を柔軟に選べるようになったことを、平成29年の会社法改正では「対価の柔軟化」と呼びます。

したがって、本肢の内容は正しいといえます。

4.株式交換完全親会社の反対株主は、当該株式交換完全親会社に対し、自己の有する株式を公正な価格で買い取ることを請求することはできない。

4・・・誤り

株式交換は、株主総会で特別決議(議決権の2/3以上)によって決定されれば、株主が反対していても実施される強制力のある制度です。

そのため、少数株主の保護のために、「反対株主には株式の買取請求権」が認められています(会社法797条)。
つまり、反対する株主は、株式交換完全親会社に対し、自分の株式を公正な価格で買い取るよう請求することができます。

このような制度は、少数派株主の権利保護として重要な役割を果たしています。

5.株式交換契約新株予約権が付された、株式交換完全子会社の新株予約権付社債の社債権者は、当該株式交換完全子会社に対し、株式交換について異議を述べることはできない。

5・・・誤り

株式交換では、対象となるのは株式だけでなく、新株予約権新株予約権付社債も含まれることがあります。
これは、新株予約権が残っていると、それを行使することで新たな株主が生まれ、完全子会社の状態が崩れてしまう可能性があるためです。

そのため、新株予約権付社債についても、株式交換完全親会社がそれを引き継ぐことになり、結果として債務者が変更されることになります。

このような債務者変更によって、社債権者に不利益が生じるおそれがあるため、会社法789条1項3号により、社債権者には「異議を述べる権利」が認められています

よって、本肢の「異議を述べることはできない」という記述は誤りです。


令和6年(2024年)過去問

問1 基礎法学 問31 民法
問2 基礎法学 問32 民法
問3 憲法 問33 民法
問4 憲法 問34 民法
問5 憲法 問35 民法
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 多肢選択
問12 行政手続法 問42 多肢選択
問13 行政手続法 問43 多肢選択
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行服法・行訴法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識
問20 国家賠償法 問50 基礎知識
問21 国家賠償法 問51 基礎知識
問22 地方自治法 問52 行政書士法
問23 地方自治法 問53 住民基本台帳法
問24 地方自治法 問54 基礎知識
問25 行政法 問55 基礎知識
問26 公文書管理法 問56 基礎知識
問27 民法 問57 個人情報保護法
問28 民法 問58 著作権の関係上省略
問29 民法 問59 著作権の関係上省略
問30 民法 問60 著作権の関係上省略

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