令和7年度の行政書士試験対策の個別指導開講

令和6年・2024|問14|行政不服審査法

行政不服審査法における審査請求に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。

  1. 審査請求は、審査請求人本人がこれをしなければならず、代理人によってすることはできない。
  2. 審査請求人以外の利害関係人は、審査請求に参加することは許されないが、書面によって意見の提出をすることができる。
  3. 多数人が共同して審査請求をしようとする場合、1人の総代を選ばなければならない。
  4. 審査請求人本人が死亡した場合、当該審査請求人の地位は消滅することから、当該審査請求の目的である処分に係る権利が承継されるか否かにかかわらず、当該審査請求は当然に終了する。
  5. 法人でない社団または財団であっても、代表者または管理人の定めがあるものは、当該社団または財団の名で審査請求をすることができる。

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【答え】:5
【解説】
1.審査請求は、審査請求人本人がこれをしなければならず、代理人によってすることはできない。

1・・・妥当でない

審査請求は、審査請求人本人だけでなく、代理人によって行うことも可能です。行政不服審査法第12条第1項において、代理人は審査請求人のために審査請求に関する一切の行為をすることができるとされています。

ただし、審査請求の取下げについては、本人の意思確認が重要であるため、特別の委任がある場合に限り、代理人が行うことができます(同条第2項)。

よって、「代理人によってすることはできない」という記述は誤りです。

2.審査請求人以外の利害関係人は、審査請求に参加することは許されないが、書面によって意見の提出をすることができる。

2・・・妥当でない

この選択肢は、「審査請求人以外の利害関係人は、審査請求に参加することは許されない」という点で誤りです。

行政不服審査法第13条において、利害関係人審査請求人以外の者で、処分や不作為について法令上の利害関係を有する者)は、審理員の許可を得て、審査請求に「参加」することが認められています。

これは、審査請求の結果により直接影響を受ける可能性がある利害関係人に対して、主張・立証の機会を保障し、公正かつ適正な審理手続を確保することを目的とした制度です。

また、参加まではしない場合でも、利害関係人が書面で意見を提出することも可能です(同条第4項)。

したがって、「参加することは許されない」という記述は妥当ではありません。

3.多数人が共同して審査請求をしようとする場合、1人の総代を選ばなければならない。

3・・・妥当でない

この選択肢の誤りは、「1人の総代を選ばなければならない」という部分にあります。

行政不服審査法第11条第1項では、多数人が共同して審査請求をする場合には、3人を超えない範囲で総代を互選することができると定められています。

つまり、

  • 総代を選任することは義務ではなく任意であり、
  • 総代の人数も1人に限らず、最大で3人まで可能です。

したがって、「1人の総代を選ばなければならない」という記述は、制度の趣旨と条文に反する不適切な内容です。

4.審査請求人本人が死亡した場合、当該審査請求人の地位は消滅することから、当該審査請求の目的である処分に係る権利が承継されるか否かにかかわらず、当該審査請求は当然に終了する。

4・・・妥当でない

この選択肢の誤りは、「審査請求は当然に終了する」という点にあります。

行政不服審査法第15条第1項によると、審査請求人が死亡した場合でも、当該審査請求の目的である処分に係る権利が法令により承継される場合には、承継した者が審査請求人の地位を引き継ぐことができます。

したがって、処分に係る権利の承継が認められる限り、審査請求は当然に終了するわけではなく、承継人が手続を継続できるというのが正しい理解です。

たとえば、国家公務員共済組合法第44条では、支払未済の共済給付について、受給者の死亡後にその配偶者や子など一定の親族が給付を受けられると定めており、そのようなケースでは、これらの者が審査請求人の地位を承継して審査請求を続けることが可能です。

したがって、この選択肢は不適切(妥当でない)といえます。

5.法人でない社団または財団であっても、代表者または管理人の定めがあるものは、当該社団または財団の名で審査請求をすることができる。

5・・・妥当である

行政不服審査法第10条は、法人でない社団または財団であっても、代表者または管理人の定めがあるものについては、その名で審査請求をすることができると定めています。

これは、いわゆる「権利能力なき社団または財団」に審査請求の当事者能力が認められるということです。たとえ法人格を持たない団体であっても、社会的に一定の活動を行い、実質的に独立した団体として存在している以上、行政処分の対象になり得ることがあります。

そのため、実務上の必要性から、こうした団体にも審査請求を行う資格(当事者能力)が認められているのです。

したがって、この選択肢は正しい(妥当である)といえます。


令和6年(2024年)過去問

問1 基礎法学 問31 民法
問2 基礎法学 問32 民法
問3 憲法 問33 民法
問4 憲法 問34 民法
問5 憲法 問35 民法
問6 憲法 問36 商法
問7 憲法 問37 会社法
問8 行政法 問38 会社法
問9 行政法 問39 会社法
問10 行政法 問40 会社法
問11 行政手続法 問41 多肢選択
問12 行政手続法 問42 多肢選択
問13 行政手続法 問43 多肢選択
問14 行政不服審査法 問44 行政法・40字
問15 行政不服審査法 問45 民法・40字
問16 行服法・行訴法 問46 民法・40字
問17 行政事件訴訟法 問47 基礎知識
問18 行政事件訴訟法 問48 基礎知識
問19 行政事件訴訟法 問49 基礎知識
問20 国家賠償法 問50 基礎知識
問21 国家賠償法 問51 基礎知識
問22 地方自治法 問52 行政書士法
問23 地方自治法 問53 住民基本台帳法
問24 地方自治法 問54 基礎知識
問25 行政法 問55 基礎知識
問26 公文書管理法 問56 基礎知識
問27 民法 問57 個人情報保護法
問28 民法 問58 著作権の関係上省略
問29 民法 問59 著作権の関係上省略
問30 民法 問60 著作権の関係上省略

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