不当利得とは?
「不当利得」とは、契約などの法律上の原因がないのにも関わらず受けている利益のことを言います。
例えば、売主Aが、買主Bに対して、時計を売却し、代金として100万円を受け取った。その後、売買契約は解除となり、時計は売主Aに返還されたが、Aは代金を100万円を返還していない。
この状況において、上記100万円は不当利得となります。
この場合、売主Aは100万円を買主Bに返還する義務を負います(民法703条:不当利得の返還義務)。
言い換えると、買主Bは不当利得返還請求権を持ちます。
不当利得の成立要件
下記要件をすべて満たす場合、不当利得が成立します。
- 他人の財産または労務により利益を受けている(受益)
- 他人に損失が発生している(損失)
- 受益と損失の両者に因果関係がある
- 受益について法律上の原因がない
上記事例では、「売主Aが受益者」「買主Bが給付者」です。
善意の受益者の返還義務
善意の受益者(売主A)は、現存利益を返還する義務を負います(民法703条)
「善意の受益者」とは、「法律上の原因がないことを知らずに受益」していたAを指します。
悪意の受益者の返還義務
悪意の受益者(売主A)は、その受けた利益に利息を付して、Bに返還しなければなりません。また、Bに損害があるときは、損害賠償責任を負います(民法704条)。
つまり、上記事例で、売主Aが「法律上の原因がないことを知って受益」していた場合、利息を付けて返還しなければばりません。
債務の不存在を知ってした弁済
自分自身に債務がないことを知りながら、相手方に渡した物(給付したもの)については、返還請求ができません(民法705条)。
例えば、貸金契約がないにも関わらず、無理やりお金を渡して、相手方に対して「不当利得だ!」と主張する行為は認められず、この場合、お金の返還請求はできません。
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(不当利得の返還義務)
第703条 法律上の原因なく他人の財産又は労務によって利益を受け、そのために他人に損失を及ぼした者(以下この章において「受益者」という。)は、その利益の存する限度において、これを返還する義務を負う。(悪意の受益者の返還義務等)
第704条 悪意の受益者は、その受けた利益に利息を付して返還しなければならない。この場合において、なお損害があるときは、その賠償の責任を負う。(債務の不存在を知ってした弁済)
第705条 債務の弁済として給付をした者は、その時において債務の存在しないことを知っていたときは、その給付したものの返還を請求することができない。