【問1】憲法
憲法25条2項は、社会的立法および社会的施設の創造拡充により個々の国民の生活権を充実すべき国の一般的責務を、同条1項は、国が個々の国民に対しそうした生活権を実現すべき具体的義務を負っていることを、それぞれ定めたものと解される。
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【解答】
×
「最大判昭57.7.7:堀木訴訟」の判例によると、下記のように判示しています。
『憲法25条1項は「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」と規定している。
この規定は、いわゆる福祉国家の理念に基づき、すべての国民が健康で文化的な最低限度の生活を営みうるよう国政を運営すべきことを国の責務として宣言したものである。
また、同条2項は「国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。」と規定している。
この規定は、同じく福祉国家の理念に基づき、社会的立法及び社会的施設の創造拡充に努力すべきことを国の責務として宣言したものである。
そして、同条1項は、国が個々の国民に対して具体的・現実的に右のような義務を有することを規定したものではなく、同条2項によって国の責務であるとされている社会的立法及び社会的施設の創造拡充(法令)により個々の国民の具体的・現実的な生活権が設定充実されてゆくものである。』
つまり、1項と2項の説明が逆になっているので妥当ではないです。
【問2】行政手続法
行政手続法は、申請に対する処分については、行政庁が標準処理期間を定めるよう努めるべきものとしているのに対し、不利益処分については、標準処理期間にかかわる規定を設けていない。
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【解答】
〇
行政庁は、申請がその事務所に到達してから当該申請に対する処分をするまでに通常要すべき標準的な期間を定めるよう努めるとともに、これを定めたときは、これらの当該申請の提出先とされている機関の事務所における備付けその他の適当な方法により公にしておかなければなりません(行政手続法6条)。
これは「申請に対する処分」にかかる標準処理期間のルールです。
「不利益処分」にかかる、標準処理期間のルールは規定されていません。
したがって、本肢は正しいです。
【問3】会社法
公開会社(指名委員会等設置会社を除く。)は、その発行する全部の株式の内容として、株主総会の決議によってその全部を会社が取得する旨の定款の定めがある株式を発行することができる。
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【解答】
×
本肢の「株主総会の決議によってその全部を会社が取得する旨の定款の定めがある株式」とは、「全部取得条項付の株式」です。
すべての株式について、上記株式にすることはできません。よって、本肢は「その発行する全部の株式の内容として」というのが誤りです。
2つ以上の種類の株式の1つとして「全部取得条項付種類株式」とすることは可能です(会社法108条7号:種類株式)。
全部の株式について発行できるものは下記3つです。
- 譲渡制限株式
- 取得請求権付株式
- 取得条項付株式