令和7年度の行政書士試験対策の個別指導開講

組合

組合とは?

組合契約は、各当事者がお金や労務等を出資をして共同の事業を営むことを約することによって、効力が生じます(民法667条)。

組合には、「マンションの管理組合」のように法人ではない組合もあれば、「マンションの管理組合法人や農業協同組合」のように法人の組合もあります。

組合財産の共有

組合の財産は、組合員全員の共有となります(民法668条)。

条文では「共有」となっていますが、一般的な「共有」と異なり「各組合員は持分の処分ができない」などの一定の制限があるため、講学上、「合有」という呼び方をします。

業務の決定・執行の方法

組合の業務は、組合員の過半数をもって決定します。そして、執行は、各組合員が行います(民法670条1項)。

■業務執行者がいる場合

そして、「組合の業務の決定及び執行」は、組合契約の定めるところにより、一人又は数人の組合員又は第三者に委任することができ(同条2項)、委任を受けた者を「業務執行者」と呼びます。

業務執行者がいる場合、組合の業務は、業務執行者の過半数をもって決定します。そして、執行は、各業務執行者が行います(同条3項)。

なお、業務執行者がいる場合であっても、総組合員の同意によって業務の決定ができるし、また、総組合員が執行することもできます(同条4項)。

組合の常務は、上記1項~4項の規定にかかわらず、各組合員又は各業務執行者が単独で行うことができます(同条5項本文)。

※「組合の常務」とは、日常、反復継続して行われる事務です。例えば、漁業組合であれば、魚を売ったりする行為は常務ですし、農協(農業協同組合)であれば、農産物を販売する行為も常務です。あと事務作業も常務です。

ただし、その完了前に他の組合員又は業務執行者が異議を述べたときは、単独で行うことはできません(同条5項ただし書)。

業務執行組合員の辞任・解任

業務執行組合員は、正当な事由がなければ、辞任することができません。また、業務執行組合員は、正当な事由がある場合に限り、他の組合員の一致によって解任することができます(民法672条)。

詳細解説は個別指導で解説します。

組合員の「組合の業務」・「財産状況に関する検査」

各組合員は、組合の業務の決定及び執行をする権利を有しないときであっても、その業務及び組合財産の状況を検査することができます(民法673条)。

組合員の損益分配の割合

損益分配の割合を定めなかったとき

損益(損失と利益)の割合は、各組合員の出資の価額に応じて配分します(民法674条1項)。

損益分配の割合を定めたとき

損益分配の割合を定めた場合、その定めに従います。

もし「利益又は損失についてのみ」分配の割合を定めたときは、その割合は、利益及び損失に共通であるものと推定します(民法674条2項)。

利益又は損失の片方だけ分配の割合を定めていた場合は、利益及び損失で共通であるものと推定する旨を規定しています。

「推定」なので、もしこれと異なる割合が定められていたことを証明したら、その証明された割合に従います。

なお、特定の組合員だけが利益を取得して、他の組合員が損失だけを負担するような定めは無効とされます。

ただ、特定の組合員が損失を全く負担せず、利益の一部を取得する定めは、この組合員の労務が貴重で、その者を加入させることが相当である場合には有効とされています(大判明44.12.26)。

組合員の加入

組合員は、①全員の同意によって、又は②組合契約の定めで、新たに組合員を加入させることができます(民法677条の2第1項)。

組合の成立後に加入した上記組合員は、加入前に生じた組合の債務については、これを弁済する責任を負いません(民法677条の2第2項)。

組合員の脱退

「①組合契約で組合の存続期間を定めなかったとき」、又は「②ある組合員の終身の間組合が存続すべきことを定めたとき」は、各組合員は、いつでも脱退することができます(民法678条1項本文)。

ただし、やむを得ない事由がある場合を除き、組合に不利な時期に脱退することができない(民法678条1項ただし書)。

「組合の存続期間を定めた場合」であっても、各組合員は、やむを得ない事由があるときは、脱退することができます(民法678条2項)。

脱退した組合員の持分の払戻し

組合員が脱退すると、脱退した組合員に財産の一部を払い戻します。その時の基準となる時点は「脱退した時」です(民法681条1項)。

脱退した組合員の持分は、その出資の種類を問わず、金銭で払い戻すことができます(民法681条2項)。

脱退の時にまだ完了していない事項については、その完了後に計算をすることができます(民法681条3項)。

組合の解散事由

組合は、下記のいずれかの事由にがいとうすると解散します(民法682条)。

  1. 組合の目的である事業の成功又はその成功の不能
  2. 組合契約で定めた存続期間の満了
  3. 組合契約で定めた解散の事由の発生
  4. 総組合員の同意

理解学習について

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民法テキストの目次

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参考条文

(組合契約)
第677条 組合契約は、各当事者が出資をして共同の事業を営むことを約することによって、その効力を生ずる。
2 出資は、労務をその目的とすることができる。

(組合財産の共有)
第668条 各組合員の出資その他の組合財産は、総組合員の共有に属する。

(業務の決定及び執行の方法)
第670条 組合の業務は、組合員の過半数をもって決定し、各組合員がこれを執行する。
2 組合の業務の決定及び執行は、組合契約の定めるところにより、一人又は数人の組合員又は第三者に委任することができる。
3 前項の委任を受けた者(以下「業務執行者」という。)は、組合の業務を決定し、これを執行する。この場合において、業務執行者が数人あるときは、組合の業務は、業務執行者の過半数をもって決定し、各業務執行者がこれを執行する。
4 前項の規定にかかわらず、組合の業務については、総組合員の同意によって決定し、又は総組合員が執行することを妨げない。
5 組合の常務は、前各項の規定にかかわらず、各組合員又は各業務執行者が単独で行うことができる。ただし、その完了前に他の組合員又は業務執行者が異議を述べたときは、この限りでない。

(委任の規定の準用)
第671条 第六百四十四条から第六百五十条までの規定は、組合の業務を決定し、又は執行する組合員について準用する。

(業務執行組合員の辞任及び解任)
第672条 組合契約の定めるところにより一人又は数人の組合員に業務の決定及び執行を委任したときは、その組合員は、正当な事由がなければ、辞任することができない。
2 前項の組合員は、正当な事由がある場合に限り、他の組合員の一致によって解任することができる。

(組合員の組合の業務及び財産状況に関する検査)
第673条 各組合員は、組合の業務の決定及び執行をする権利を有しないときであっても、その業務及び組合財産の状況を検査することができる。

(組合員の損益分配の割合)
第674条 当事者が損益分配の割合を定めなかったときは、その割合は、各組合員の出資の価額に応じて定める。
2 利益又は損失についてのみ分配の割合を定めたときは、その割合は、利益及び損失に共通であるものと推定する。

(組合員の加入)
第677条の2 組合員は、その全員の同意によって、又は組合契約の定めるところにより、新たに組合員を加入させることができる。
2 前項の規定により組合の成立後に加入した組合員は、その加入前に生じた組合の債務については、これを弁済する責任を負わない。

(組合員の脱退)
第678条 組合契約で組合の存続期間を定めなかったとき、又はある組合員の終身の間組合が存続すべきことを定めたときは、各組合員は、いつでも脱退することができる。ただし、やむを得ない事由がある場合を除き、組合に不利な時期に脱退することができない。
2 組合の存続期間を定めた場合であっても、各組合員は、やむを得ない事由があるときは、脱退することができる。

(脱退した組合員の持分の払戻し)
第681条 脱退した組合員と他の組合員との間の計算は、脱退の時における組合財産の状況に従ってしなければならない。
2 脱退した組合員の持分は、その出資の種類を問わず、金銭で払い戻すことができる。
3 脱退の時にまだ完了していない事項については、その完了後に計算をすることができる。

(組合の解散事由)
第682条 組合は、次に掲げる事由によって解散する。
一 組合の目的である事業の成功又はその成功の不能
二 組合契約で定めた存続期間の満了
三 組合契約で定めた解散の事由の発生
四 総組合員の同意

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