令和7年度の行政書士試験対策の個別指導開講
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相殺

相殺とは?

相殺とは、2人が互いに同種の債権・債務を持っている場合、その債権債務を消滅させること(帳消しにすること)です(民法505条1項)。

そして、相殺は一方的な意思表示によって行うことができます。

自働債権と受働債権

AがBに対して「金銭債権X」を有し、逆に、
BがAに対して「金銭債権Y」を有していた。

ここで、Aから相殺を主張する場合、相殺を主張する側Aの有する金銭債権Xを「自働債権」と呼び
相殺を主張される側Bの有する債権を「受働債権」と呼びます。

相殺ができる要件(相殺適状)

相殺を主張するためには、下記4つの要件を全て満たす必要があります。

  1. お互いが相手方に対して債権を持っている(505条1項本文)
    →例)AがBに対して債権を有し、逆にBもAに対して債権を有している
  2. お互いが有する債権が同種の目的である(505条1項本文)
    →例)AとB、それぞが相手方に有する債権がいずれも金銭債権である
  3. 両債権が弁済期にある(505条1項本文)
    →原則、お互いの債権が弁済期でないといけないが、自働債権(相殺を主張する者が有する債権)が弁済期であれば、受働債権は弁済期が到来していなくてもよい
  4. 債務の性質上相殺が許されている(505条1項ただし書)
    →例)「同時履行の抗弁権がついている場合」や、「受働債権が人の生命又は侵害の侵害による損害賠償債権である場合」等は、相殺が禁止されているため、相殺できません。

ここはしっかり理解した方が良いので、個別指導で具体例を出しながら解説いたします。

相殺禁止の特約をした場合

当事者が相殺を禁止する特約をした場合、第三者が相殺禁止特約を知り(悪意)、又は重大な過失によって知らなかったとき(重過失)に限り、その第三者に対抗することができます=第三者がいても相殺できる(民法505条2項)。

具体例については個別指導で解説します。

相殺ができない場合

下記のいずれかに該当する場合、上記要件を満たしていても相殺をすることができません。

  1. 受働債権が悪意による不法行為に基づく損害賠償請求権である場合(民法509条1号)
    →「悪意」とは、積極的な意思を持って行った不法行為を指します。
  2. 受働債権が、不法行為や債務不履行に基づく人の生命又は身体の侵害による損害賠償請求権である場合(民法509条2号)
  3. 受働債権が差押禁止の債権である場合(民法510条)
    →例)扶養請求権や賃金債権
  4. 受働債権が差押えられ、その後、反対債権を取得した場合(民法511条)

細かい具体例については個別指導で解説します。

相殺の方法

相殺は、当事者の一方から相手方に対する意思表示によって行います(民法506条1項前段)。

つまり、相手方の承諾なく、単独で相殺することができます。

また、相殺をする際、条件又は期限を付することができません(民法506条1項後段)。

相殺の効果

相殺の意思表示は、双方の債務が互いに相殺適状となった時にさかのぼってその効力を生じます(民法506条2項)。

つまり、相殺適状後の遅延損害金は発生しません。

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民法テキストの目次

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参考条文

(相殺の要件等)
第505条 二人が互いに同種の目的を有する債務を負担する場合において、双方の債務が弁済期にあるときは、各債務者は、その対当額について相殺によってその債務を免れることができる。ただし、債務の性質がこれを許さないときは、この限りでない。
2 前項の規定にかかわらず、当事者が相殺を禁止し、又は制限する旨の意思表示をした場合には、その意思表示は、第三者がこれを知り、又は重大な過失によって知らなかったときに限り、その第三者に対抗することができる。

(相殺の方法及び効力)
第506条 相殺は、当事者の一方から相手方に対する意思表示によってする。この場合において、その意思表示には、条件又は期限を付することができない。
2 前項の意思表示は、双方の債務が互いに相殺に適するようになった時にさかのぼってその効力を生ずる。

(履行地の異なる債務の相殺)
第507条 相殺は、双方の債務の履行地が異なるときであっても、することができる。この場合において、相殺をする当事者は、相手方に対し、これによって生じた損害を賠償しなければならない。

(時効により消滅した債権を自働債権とする相殺)
第508条 時効によって消滅した債権がその消滅以前に相殺に適するようになっていた場合には、その債権者は、相殺をすることができる。

(不法行為等により生じた債権を受働債権とする相殺の禁止)
第509条 次に掲げる債務の債務者は、相殺をもって債権者に対抗することができない。ただし、その債権者がその債務に係る債権を他人から譲り受けたときは、この限りでない。
一 悪意による不法行為に基づく損害賠償の債務
二 人の生命又は身体の侵害による損害賠償の債務(前号に掲げるものを除く。)

(差押禁止債権を受働債権とする相殺の禁止)
第510条 債権が差押えを禁じたものであるときは、その債務者は、相殺をもって債権者に対抗することができない。

(差押えを受けた債権を受働債権とする相殺の禁止)
第511条 差押えを受けた債権の第三債務者は、差押え後に取得した債権による相殺をもって差押債権者に対抗することはできないが、差押え前に取得した債権による相殺をもって対抗することができる。
2 前項の規定にかかわらず、差押え後に取得した債権が差押え前の原因に基づいて生じたものであるときは、その第三債務者は、その債権による相殺をもって差押債権者に対抗することができる。ただし、第三債務者が差押え後に他人の債権を取得したときは、この限りでない。

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