令和7年度の行政書士試験対策の個別指導開講
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法定地上権

法定地上権とは?

土地や建物に抵当権が設定されて、競売にかかることにより、土地と建物の所有者が異なることとなると、建物所有者は、建物を所有する権利がなくなるので、土地所有者から、「建物を取り壊して、立ち退いてください!」と言われたら困ります。そのため、一定要件を満たす場合、自動的に建物に地上権(土地を使う権利)が設定されます。これを「法定地上権」と言います。この法定地上権が成立すると、建物所有者は、土地について地上権を有することとなるので、引き続き建物を使い続けることができます

法定地上権の成立要件

下記4つの要件をすべて満たすことで、法定地上権は成立します。

  1. 抵当権設定当時に、土地の上に建物が存在していること
    →更地に抵当権が設定されていた場合、法定地上権は成立しない
  2. 抵当権設定当時に、土地と建物の所有者が同一であること
  3. 土地と建物の一方または双方に抵当権が設定されていること
  4. 競売により、土地と建物の所有者が異なる者となったこと

法定地上権に関する判例

土地にのみ抵当権が設定され、建物を取り壊して再築した場合

【事案】 土地及び建物の所有者が土地に抵当権を設定後、建物を取り壊して再築した。

【判例】 旧建物のために法定地上権が成立する場合におけると同一の範囲内において法定地上権が成立する(大判昭10.8.10)

土地・建物の両方に抵当権が設定され、建物を取り壊して再築した場合

【事案】 土地及び地上建物に共同抵当権を設定した後、建物が取り壊され、土地上に新建物を再築された。

【判例】 新建物の所有者が土地の所有者と同一であり、かつ、「新建物が建築された時点での土地の抵当権者」が新建物について土地の抵当権と同順位の共同抵当権の設定を受けたとき等特段の事情のない限り新建物のために法定地上権は成立しない(最判平9.2.14)。

分かりやすい解説については個別指導で解説します。

抵当権設定当時に土地と建物の所有者が別人だった場合

【事案】 抵当権設定当時において土地及び建物の所有者が異なる人である。

【判例】 その土地又は建物に対する抵当権実行による競落の際、たまたま、当該土地及び建物の所有権が同一の者に帰していたとしても、成立要件2を満たさないため法定地上権は成立しない(最判昭44.2.14)

土地に1番抵当権・2番抵当権が設定され、2番抵当権のみ要件を満たす場合

【事案】 土地に先順位抵当権が設定された当時は土地と建物の所有者が異なっていたため成立要件を満たしていなかった。しかし、その後、土地と建物が同一人所有者となった後に後順位抵当権が設定され、後順位抵当権者を基準にすると、成立要件を満たしていた。

【判例】 土地の先順位抵当権が実行されたときであっても、土地に対する法定地上権は成立しない(最判平2.1.22)。

理由については個別指導で解説します。

建物に1番抵当権・2番抵当権が設定され、2番抵当権のみ要件を満たす場合

【事案】 建物に抵当権設定当時、土地・建物が所有者が異なっていたため成立要件を満たしていなかった。しかし、その後、土地と建物が同一人所有者となった後に後順位抵当権が設定され、後順位抵当権者を基準にすると、成立要件を満たしていた。

【判例】 建物の先順位抵当権が実行された時であっても、法定地上権が成立する(大判昭14.7.26)。

理由については個別指導で解説します。

単独所有の建物があり、土地が共有で、土地の共有持分に抵当権が設定された場合

【事案】 「A・B共有の土地」の上に「単独でAが建物を所有」していて、Aが、土地の共有持分について抵当権を設定していた。

【判例】 法定地上権は成立しない(最判昭29.12.23)。

理由については個別指導で解説します。

建物が共有で、単独所有の土地に抵当権が設定された場合

【事案】 「Aが単独所有する土地」の上に「A・B共有の建物」があり、Aが土地について抵当権を設定していた。

【判例】 法定地上権が成立する(最判昭46.12.21)

理由については個別指導で解説します。

共有である土地・建物に抵当権が設定された場合

【事案】 「A・B共有の土地」上に「A・C共有の建物」があるとき、土地の共有者A・Bが「Aの債務」を担保するため、「Aの土地の持分」および「Bの土地の持分」それぞれに抵当権を設定していた。

【判例】 法定地上権は成立しない(最判平6.12.20)

理由については個別指導で解説します。

また上記以外の判例についても、個別指導で解説します。

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民法テキストの目次

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参考条文

(法定地上権)
第388条 土地及びその上に存する建物が同一の所有者に属する場合において、その土地又は建物につき抵当権が設定され、その実行により所有者を異にするに至ったときは、その建物について、地上権が設定されたものとみなす。この場合において、地代は、当事者の請求により、裁判所が定める。

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