論点
事案
昭和22年、政府Yは、X所有の農地を、自作農創設特別措置法(自創法)6条3項に規定する最高価格で買収したが、Xは、下記理由により、自創法14条に基づき、買収対価の増額変更を求めて出訴した。
- 自創法には、農地買収計画による対価は、「田についてはその賃貸価格の40倍」と定めているが、価格算出方法がその後の経済事情の激変を少しも考慮していないため、正当な補償か否かを決定するための基準とはなりえない。
- 自創法に規定する買収価格だと、実質上、無償で取り上げられたものと異ならない結果になる。
判決
憲法29条3項にいう「正当な補償」とは?
→正当な補償とは、その当時の経済状態において成立することを考えられる価格に基づき合理的に算出される相当な額をいう
自創法における買収対価は「正当な補償」にあたるか?
→あたる
買収対価の算出方法は、自作収益価格によったことは、この法律の目的からいって当然である。
また、算出過程になんら不合理はなく、「自作収益価格」が「賃貸価格の40倍」となるため、当該自創法の買収対価は、憲法29条3項の正当な補償にあたる。