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最判昭47.12.5:理由付記の不備と瑕疵の治癒

論点

  1. 理由付記の不備(瑕疵)は、審査請求の裁決で処分理由が明らかにされた場合、治癒されるか?

事案

株式会社Xは、法人税の申告について青色申告の承認を受けていた。

Xは、事業年度の(法人)の確定申告をしたところ、税務署長Yから増額更正を受けた。

その際、更正通知書には付記理由(記載された理由)として、加算項目(何について増額されるか?)と加算額(いくら税金が増額されるか?)が簡単に記載されているに過ぎなかった。

これを不服としたXが、国税局長に審査請求をしたところ、国税局長は、前記更正処分の一部取消しをしたうえで、より詳細な理由を審査裁決書に付記した(付け加えた)。

Xは、この裁決にも不服であったため、理由付記の不備を主張して取消訴訟を提起した。

これに対して、Yは、更正処分の理由付記に不備はなく、仮に不備があったとしても、審査裁決書に十分な理由が付記されていることから、瑕疵は治癒された(不備はないこととなる)と反論した。

判決

理由付記の不備(瑕疵)は、審査請求の裁決で処分理由が明らかにされた場合、治癒されるか?

→瑕疵は治癒されない

処分庁(Y)と異なる機関(国税局長)の行為により付記理由不備の瑕疵が治癒されるとすることは、処分そのものの慎重、合理性を確保する目的にそわないばかりでなく、処分の相手方(X)としても、審査裁決によってはじめて具体的な処分根拠を知らされたのでは、それ以前の審査手続において十分な不服理由を主張することができないという不利益を免れない(不利益を受ける)

そして、更正が付記理由不備のゆえに訴訟で取り消されるときは、更正期間の制限により(その期間中も時間は過ぎてしまうことから)あらたな更正をする余地のないことがあるなど処分の相手方(X)の利害に影響を及ぼすのである。

したがって、審査裁決に理由が付記されたからといって、更正を取り消すことが所論のように無意味かつ不必要なこととなるものではない。

よって、更正における付記理由不備の瑕疵は、後日これに対する審査裁決において処分の具体的根拠が明らかにされたとしても、それにより治癒されるものではないと解すべきである。

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