最判昭和47.5.19:公衆浴場営業許可申請と先願主義

論点

  1. 公衆浴場の営業許可の申請が重複し、距離制限規定との関係で、競願関係が生じた場合、先願主義が妥当か?

※競願関係とは、ある事柄の許可をめぐり、複数の者が官公署などに願い出ること

※距離制限規定とは、公衆浴場を設置する場合、既存の公衆浴場と一定距離を離して設置しなければならないという規定。

事案

Xは昭和34年6月8日、広島県知事Yに対し、尾道市内のa地を浴場の設置場所とする公衆浴場営業の許可申請書を尾道保健所に提出した。

A漁業協同組合は、Xの申請より2日前の6月6日に、a地から10以内の距離にあるb地を浴場の設置場所とする公衆浴場営業の許可申請書を提出していたが、添付書類に不備があり、補正を求められていた。しかし、結局補正は不要であることが判明したことから、6月11日にAの申請は先に提出していた書類のままで受理された。

申請の日にちが近く、AとXのいずれに対しても許可処分を下す前とのことから、AとXは競願関係となった。

これに対して、Yは、先に申請をしていたAに対して許可処分をすることとし、Xに対して不許可処分がなされた。

そこでXは、Aに対する許可処分はXの先願権を無視したものであると主張して、Aに対する許可処分の無効確認および事故に対する不許可処分の取消しを求めて出訴した。

※先願権とは、先に申請をした人が、その後に申請した人を排除する権利。

判決

公衆浴場の営業許可の申請が重複し、距離制限規定との関係で、競願関係が生じた場合、先願主義が妥当か?

先願者の申請が許可の要件を満たすものである限り、先願主義が妥当

公衆浴場法2条2項において「都道府県知事は、公衆浴場の設置の場所若しくはその構造設備が、公衆衛生上不適当であると認めるとき又はその設置の場所が配置の適正を欠くと認めるときは、営業許可を与えないことができる。」と規定している。

上記規定の趣旨およびその文言からすれば、許可の申請が所定の許可基準に適合するかぎり、行政庁は、これに対して許可を与えなければならないものと解される。

本件のように、営業許可をめぐって競願関係が生じた場合に、各競願者の申請が、いずれも許可基準をみたすものであって、そのかぎりでは条件が同一であるときは、行政庁は、その申請の前後により、先願者に許可を与えなければならないものと解するのが相当である。

なぜなら、許可の要件を備えた許可申請が適法になされたときは、その時点において、申請者と行政庁との間に許可をなすべき法律関係が成立したと考えることができるか。

(つまり、本件事案では、後で申請を出したXは負け=棄却)

 

 

 

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